「あの人、闇ルートだよ」AD時代に聞いた芸能界のウラ事情。実力だけじゃ残れない“生々しい”駆け引き

おがわん ライター
更新日:2025-10-16 11:45
投稿日:2025-10-16 11:45

複雑な力学に現場は翻弄されるばかり

 もちろん、すべての出演者が裏ルートに頼っているわけではない。純粋に才能で勝ち抜く人も確かにいる。

 ただし現場にいると、「誰かの後ろ盾」で押し上げられる存在を否応なく目にする。

 それは往々にして一過性で、後援が途切れれば露出は一気に減った。光の当たる舞台の影には、常に複雑な力学が渦巻いていた。

 こうした事情は、現場の士気にも影を落とした。私たちが時間をかけて準備した企画より、突然決まった“推されタレント”が優先される。

 番組は成立するものの、現場の空気は冷める。「あの人が決まったなら、また裏だろ」とスタッフ同士で囁き合うこともあった。

 いま思えば、それもまた芸能界の現実だ。

 スポンサー、代理店、事務所、局——それぞれの思惑が交錯する中で、タレントは駒のように動かされる。本人が気づかぬうちに、いつの間にか“闇ルート”に組み込まれることすらある。

華やかな舞台の裏で渦巻くもの

 ただ、私の中にはいまも迷いが残る。先輩が“闇ルート”と呼んだ人たちが本当に裏金やコネだけで仕事を得ていたのか、それとも噂に現場の人間が尾ひれをつけていただけなのか。

 境界線は曖昧で、確かめる術もなかった。ただ一つ確かに言えるのは、業界が常に“不透明さ”と隣り合わせであるという事実だ。

「芸能界は夢を売る場所」とよく言われる。だが現場で見たのは、夢をどう形にするかを巡る生々しい駆け引きだった。

 ADとして汗をかきながら、ときどき自問した。「この番組は誰のために作られているんだろう?」——視聴者か、スポンサーか、それともタレントか。その答えはいまも出ていない。

 ただ一つ確かなのは、テレビに映る光景だけが芸能界のすべてではないということだ。ひな壇で笑うタレントの背後には、数えきれない力の交錯が絡んでいる。

 華やかな舞台を支える人間ほど、その現実を知りながら働いているのだ。

おがわん
記事一覧
ライター
かつてちょっとだけ芸能の世界に所属。現在は縁あって、雑誌やWebメディアなどでライターとして活動中。エンタメ系から日常ネタまで、気になるあれこれを取材。楽しく読んでもらえる文章を目指して、日々ゆるっと執筆中です。

ライフスタイル 新着一覧


出産で疎遠に…結婚後に態度が変わる女友達の特徴&無理しない付き合い方
 学生時代に仲の良かった女友達も、結婚した途端に疎遠になってしまったというのはよくある話です。どうせなら、結婚しても長く...
発達障害グレーゾーンの長男が憎い…ある一言で私の何かがプツンと切れた
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
パーフェクト“たまたま”の精悍&クールな眼差しに痺れちゃう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ゴールデンボンバーの「女々しくて」は言い得て妙だった!
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
LINEのない生活は無理!父の死、仕事の失敗、自分の病…心が救われた話
 仕事で大きなミスをして落ち込んだり、大事な人を失って悲しんだりと、気持ちが沈んでしまう瞬間がありますよね。そんなとき、...
他人の不幸は蜜の味でも不倫より「よろめき」のほうが風情があっていい
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
義母が若すぎるとこうなるのか!介護の心配もジョークで交わせるって素敵
 年下の男性と結婚した場合や、夫の母親が若くして出産している場合には、若すぎる義母が誕生するケースがあります。中には、義...
ほっこり読み切り漫画/第59回「ボクは君で、君はボク」
【連載第59回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「「しっ...
「たかが、ものもらい」じゃなかった 30代女、霰粒腫の手術をしました
 先日、眼科で右目のまつ毛の生え際にあった“しこり”の切除手術をしました。「たかが、ものもらい」と思っていたのですが、こ...
久々に会ったペルシャ料理店の友人は変わらず元気だった
 お互いにいい歳。出合った頃より額は広くなったし、シワも増えた。  そして、なぜだか年々服装がハデになっていくんだ...
木下優樹菜はイチャイチャ公開…子の将来に悪影響を及ぼす母親の恋愛は?
 元タレントの木下優樹菜(35)が“アクセル全開”、SNSの投稿や出演番組があれやこれやと話題になっている。  た...
子供の言葉遣いが悪い時はどうすれば? 考えられる4つの原因
 子供が保育園や小学校に通い出すと、悪い言葉遣いを覚えて帰ってきます。また、悪い言葉遣いはSNSや動画サイトなどからも大...
“たまたま”の日常♡ この写真にぴったりな名前を選んでニャ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
コクハク専属ライバー コクハクリーダーズ第1期生を大募集!
 日刊ゲンダイが運営する女性webメディア「コクハク」では、メディア制作に協力してくださる「コクハクリーダーズ第1期生」...
金木犀の香りが空前のブーム!甘く懐かしくアンチエイジングに運気UPも
 とある量販店に行った時のことです。入り口付近に黄金色の商品ばかりが並び、遠巻きに見ると店舗全体が黄金色に輝いてみえる。...
タイパ? なにそれ。映画館で初対面の作品と出会う胸のときめき
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...