三笠宮家「分裂」と前例なき「新宮家」創設のドロドロ

更新日:2025-10-12 17:03
投稿日:2025-10-12 17:00

【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】

 石破茂首相の“最後っ屁”は痛快だった。国連演説のことである。

 国連の安保理事会がロシアなどの常任理事国が拒否権を乱用していることで、「機能不全に陥っている」、早急な安保理改革を断行せよ。イスラエルのガザ攻撃を「この上なく強い言葉で非難」した。パレスチナの国家承認は、「するか否かの問題ではなく、いつするかの問題だ」。これまで日本は中国や韓国、東南アジアの「寛容の精神」に支えられてきた。これからは「分断よりも連帯、対立よりも寛容を」と訴えたのである。

 石破らしさが“爆発”した演説だった。もっと早く「らしさ」を前面に出していれば、リベラルな有権者の支持を得られ、参院選であれほど惨敗することはなかったと思う。さすれば教育勅語を無批判に礼賛する“ゴリゴリ保守”の高市早苗が新総裁になることもなかった。残念である。

 高市政権は、未曽有を「みぞうゆう」と読んだ麻生太郎(85)の傀儡である。自ら副総裁に返り咲き、自分の義弟・鈴木俊一を党の幹事長に据えた。

 永田町の「老害」とそしりを受ける麻生が、長きにわたって権力の座にいられるのは、皇室にまでつながる華麗なる一族のおかげである。

 麻生の妹・信子は、上皇(明仁)のいとこである三笠宮寬仁親王(2012年に薨去<こうきょ>)の妃。子どもは彬子(あきこ)と瑶子。

 寛仁親王の生前から信子との夫婦仲が“剣呑”だったことはつとに有名で、夫が亡くなる前から別居していた。だが、そんな母親が彬子には許せなかったようで、「信子さまは病院に足を運んでも、彬子さまらの意向で最後まで寛仁さまと面会させてもらえなかった」(週刊文春10月9日号)そうだ。

 しかし、「寛仁親王家」の次期当主を決める必要が出てきた。親王妃である信子が継ぐのが慣例だが、寛仁親王の母親・百合子は彬子を推挙したため、信子との話し合いがまとまらなかった。だが、その百合子も昨年薨去。

 宮家の当主選びについては皇室典範に定めがなく、信子と彬子との話し合いは事実上不可能。宮内庁は悩んだ末に、「すでに当主のような役割を果たされている」(文春)彬子を当主にすることを決めた。だが、信子の処遇に困り果てた。そこで持ち出したのが「三笠宮家から独立して新しい宮家を創設する」という案。皇族費も倍増すると囁いたという。信子は「三笠宮寛仁親王妃家」を名乗ることになった。

 しかし、三笠宮は天皇から賜った皇族個人の固有名詞で、宮号を賜った崇仁親王のみを指す。寛仁親王も、かつて“俺は「三笠宮寛仁親王」ではなく「寛仁親王」だ”といっていたと、皇室解説者の山下晋司が話している。当然ながら彬子側は「親王妃家」案に猛反発しているといわれる。

 森暢平成城大教授はサンデー毎日(10月19.26日号)で、「前例にない制度をつくるくらいなら信子妃は皇籍離脱すべきだ」「皇族が望めば誰でも『独立』して宮家が持てることになってしまう」と指摘している。経済的に困るわけでもない信子妃はなぜ皇籍離脱せず、三笠宮家「分裂」を選んだのだろうか。

 森教授は、現在検討されている旧宮家養子案との関連を指摘する。麻生太郎も進めるこの案では、宮家当主が望めば、旧宮家の流れをくむ男子を養子にできる。信子妃も養子を取り、新・宮家を継承できるのだ。森教授は、「信子妃は、旧宮家養子案を進めたい兄・太郎のために、新しい宮家をつくったと批判されても仕方がない」と、鋭く問題提起する。

 あの兄にしてこの妹ありか。兄の太郎の高笑いが聞こえてきそうだが、おごる者久しからずになってほしい。 (文中一部敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)

エンタメ 新着一覧


優三のいい人キャラさく裂!予告でヒヤリとした梅子の断崖絶壁シーンも〇
 涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)...
桧山珠美 2024-05-09 16:30 エンタメ
『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?朝ドラ人気の要因は公平な目線
 NHK連続テレビ小説『虎に翼』が好評だ。主人公は日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルとした猪爪寅子。彼女が投げかける疑...
竹もとで勉強する寅子たちは今時のノマド?法律事務所の初仕事はお茶入れ
 昭和13年春、明律大学を卒業した寅子(伊藤沙莉)たち。寅子は雲野(塚地武雅)の法律事務所で働きながら高等試験合格を再び...
桧山珠美 2024-05-07 14:20 エンタメ
あさイチで光った令和の“料理男子”の新星、キスマイ横尾のライバル現る!?
 ゴールデンウィークといっても、どこかにお出掛けの予定になんの予定もなく、ただ漫然とテレビを見ていたら、神様から思わぬご...
直言ら16名全員無罪!憲法記念日に放送された寅子が語る「法」の解釈
 昭和11年12月。1年半に及んだ直言(岡部たかし)の「共亜事件」がいよいよ結審の日を迎えた。  寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-05-04 06:00 エンタメ
直言の判決いかに? 寅子の表情、優三腹くだり…テンポ絶妙な法廷シーン
 公判中に倒れた直言(岡部たかし)は、自分の無実を信じる寅子(伊藤沙莉)の気持ちに応え、取り調べで自白を強要されたことを...
桧山珠美 2024-05-02 17:13 エンタメ
『虎に翼』の週タイトルになぜ「?」はる記“主婦乃手帖”で一発逆転なるか
 直言(岡部たかし)は寝たきりでろくに食事も取ろうとしない。そんな様子をはる(石田ゆり子)は心配していた。  一方...
桧山珠美 2024-04-30 13:50 エンタメ
大谷結婚モロ被りの不穏も何のその!各世代イケメン網羅のキムタクドラマ
 木村拓哉(51)主演ドラマ「Believe-君にかける橋-」(木曜21時、テレビ朝日系)がスタートしました。待ちに待っ...
永瀬廉は大人の色気、髙橋海人はヘタレの真逆 確かに築くキンプリ2人体制
 昨年より、2人体制となったKing & Prince(以下、キンプリ)の永瀬廉(25)と髙橋海人(25)。4月期に始ま...
こじらぶ 2024-04-27 06:00 エンタメ
岩ちゃんか仲野太賀か…優三株の上昇、高等試験に落ち続ける原因判明!?
 突然、猪爪家に検察が押しかけ、はる(石田ゆり子)は直言(岡部たかし)が贈賄で逮捕されたと告げられる。  証拠品と...
桧山珠美 2024-04-26 16:45 エンタメ
まるでコント!寅子との恋フラグは立たず、崖から落ちる花岡(岩ちゃん)
 親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡(岩田剛典)たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-04-24 14:35 エンタメ
ガンちゃん登場! 目の前にビール瓶2本…寅子の酒豪ぶりは母のはる譲り説
 本科と呼ばれる明律大学法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たち。法改正が行われ、女子も正式に弁護士になるための試験を受けら...
桧山珠美 2024-04-22 15:40 エンタメ
「366日」、髙橋海人「95」学生服コスプレ繚乱!関口メンディー何留?
 新ドラマを見ていて気づいたことがあります。それは過去と現在を行き来するドラマで、俳優さんたちがそのまま高校時代や大学時...
すわ、嫁姑戦争勃発か!? 月のもので結束力まで描く脚本の妙
 実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子(伊藤沙莉)たち。すると涼子(桜井ユキ)が急に謝罪したいと...
桧山珠美 2024-04-19 15:50 エンタメ
「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い
 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを...
桧山珠美 2024-04-18 16:50 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ