近年の『M-1グランプリ』は優勝より過程が面白い?『タイプロ』のような“熱狂”が生まれる理由

小政りょう ライター
更新日:2025-11-05 11:45
投稿日:2025-11-05 11:45

無名時代から「見守る楽しさ」も

 過程を可視化することで、参加者のキャラクターが浮き彫りになり、誰もに感情移入をしやすくなる。まるで参加者の親になったかのような当事者感がでる。

 落選者にも注目が行くことで、プロジェクトがさらなる盛り上がりを呼び込める――そして、見守っているだけなのに、どこか「自分は前から知っている」と優越感を抱くことができる。近年のM-1も、そんなオーディション番組のようです。

 M-1では、数年前から各会場1回戦のTOP3通過者がYoutube上で公開され、その後、3回戦、準々決勝の動画が逐一アップされています。(敗退者のみ。昨年までは3回戦通過者も公開)この動画はファンのみならず、業界人も注目し、「全組見る」という人も珍しくありません。

 面白かったコンビはXなどでネタと共に拡散され、話題になることもしばしばです。ここから注目を集め、メディアから声がかかってきたコンビも多数います。

 現在、ドラマ、音楽活動に大忙しのサーヤさんが所属するラランドは、2019年にアマチュアながら準決勝まで進出し、業界内の話題を集め、メディアに出るようになりました。

 演劇・コントユニット・ダウ90000も、M-1の1回戦動画で爪痕を残し、業界内に存在が気づかれた結果、その他の活動も注目されていったようなものです。

 令和ロマンも、魔人無骨というコンビ名だった無名時代に再生回数で進出者を決めるワイルドカードで疑惑の?(一番TOPに動画が配置されていた)準決勝進出をしてから、ことさらM-1ファンに一目を置かれていました。

 昨年、準決勝に進出した大阪吉本所属の例えば炎は、まだ芸歴5年程度の無名漫才師でしたが、彼らは、2022年のM-1三回戦で敗退したネタの評価がお笑いファンの中で異常に高く、それをきっかけとして今年はTBSチャンネル1で冠特番が放映されるほどに。

 M-1は予選から宝探しの場所です。ファンはそこから原石を見出し、のちに活躍していく姿を見守る迄が年末で終わらないM-1の楽しみなのです。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ