固定ファンがいるのに…“お金の事情”で時代劇は減る一方

更新日:2025-11-08 17:03
投稿日:2025-11-08 17:00

【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】

 前回のコラムで、昨今の映画やドラマ界は良い作品や人気シリーズを作りにくい環境であることを伝えたが、僕も好きで根強いファンもかなりいると思われる「時代劇」は輪をかけて制作しにくい状態だそうだ。

 時代劇といえば、現状はNHK大河ドラマ(来年は「豊臣兄弟!」)だけといっていいほど新しい作品を目にすることがない。しかし、もうすぐ隻眼片腕の剣士「丹下左膳」を放送するBSでは、再放送でも一定の固定ファンがついているようだし、CS放送の中でも時代劇専門チャンネルは人気だそうで、ここでは新作も制作し続けていて、人気作品が登場することもある。

 知り合いの映画プロデューサーによれば、ロケをする場所が「本当に少なくなった」という。

 例えば、城をバックに武士たちを撮影するシーンはよく見るが、見上げるような格好で撮るという。なぜなら、地べたが映り込むと、そこはアスファルトだからだ。しかもカメラを固定しておかないと、ちょっと動かしただけでビル群が映り込んでしまう。斬り合いのシーンを山の中腹で撮っていたら、バックの山道を軽トラが頻繁に走っていて、そのたびに撮影がストップするのだとか。

 そこで、やむを得ずセットでの撮影となるが、時代劇のセットは金もかかるし、時代考証も怪しくなる。故・松方弘樹さんが晩年の映画撮影の時のこと。監督やスタッフが若手で勝手がわからなかったようで、セットの和室を見るなり「おい、この時代にこんな置物はないぞ」とアドバイス。結局、作品全体の時代考証を務め、「主演料だけじゃ足りないよ」とボヤいていたそうだ。

 身分に応じたカツラも必要で、それを演者の頭にあわせる「結髪」と呼ばれる担当者も必要なのに、高齢化で極端に数が少なくなっているらしい。いや、“斬られ役”まで老齢化しており、うまい斬られ方をする役者が減ってしまったという。

 くだんのプロデューサーによると、普通の映画なら1日200万円のところ、「時代劇のロケはその倍以上に費用がかさむ」のだとか。祭りのシーンは出店や屋台がバックに映るものだが、今は予算上、奥行きが出せない。映り込むエキストラの衣装・カツラ代もバカにならず少数精鋭。「もう無理ですよ」と言うのだ。

 いい時代劇を見たい私としては、真田広之の「SHOGUN 将軍」のように“アメリカ作品”に頼るしかないのかと頭を抱えてしまう。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


羽生結弦のお相手が判明! “ママと仲良し”男性の妻に必要な素養とは?
 8月4日、電撃結婚を発表したフィギュアスケーター・羽生結弦(28)。世界中が注目していた相手について、今月16日に「週...
さすが!寿恵子の娘・千鶴(本田望結)は最先端をいくモダンガール
 関東大震災で被災した万太郎(神木隆之介)たちは、寿恵子(浜辺美波)の店のある渋谷へ向かった。渋谷一帯は被害が少なく、「...
桧山珠美 2023-09-21 15:50 エンタメ
万太郎と徳永(田中哲司)の名シーン、別れも「万葉集」で心ぴたり
 万太郎(神木隆之介)は徳永(田中哲司)に辞表を提出。植物学教室を去る日、佑一郎(中村蒼)が大学へやってくる。翌年度から...
桧山珠美 2023-09-19 16:57 エンタメ
東出昌大「5時に夢中」で謙虚炸裂! 出演映画では私生活の修業を生かす
 東出昌大(35)の評判が爆上がり中です。  現在、映画「福田村事件」(森達也監督)に出ており、宣伝を兼ね、ぼちぼ...
「そんな若じゃき、ワシは愛したじゃが」竹雄の言葉に蘇る2人の歴史…
 逸馬(宮野真守)が連れてきた資産家の永守(中川大志)は、万太郎(神木隆之介)の図鑑の出版や標本の保存に投資をしたいと申...
桧山珠美 2023-09-16 16:20 エンタメ
田中みな実「三太郎」CMの鬼嫁が好評、元彼ネタ散りばめ行きつく先は?
 フリーアナウンサーで俳優の田中みな実(36)が絶好調だ。12日にはティファニー表参道のオープニングイベントにベージュの...
野暮な演出はナシ!万太郎と早川(宮野真守)感動の再会までテンポよく
 徳永教授(田中哲司)から、国が推し進める神社合祀令を神狩りだと断じ、反対する南方熊楠には深入りするな、と釘を刺された万...
桧山珠美 2023-09-14 14:50 エンタメ
配役に一本の筋…小林一三役・海宝直人は日本のミュージカル界を背負う男
 日本全国の植物を載せた図鑑がまもなく完成しようとしていた。が、浮かない様子の万太郎(神木隆之介)。これまで応援してくれ...
桧山珠美 2023-09-11 16:10 エンタメ
ジャニーズ会見で水がぶ飲みの東山新社長、イノッチは結婚指輪はめる派だった【写真付き】
 先週のトピックはなんといっても、7日に行われた故・ジャニー喜多川氏の性加害問題についてのジャニーズ事務所会見でしょう。...
安藤美姫は私生活の切り売りも辞さない…愛娘との2SHOTの先に“奥の手”
 フィギュアスケートの元世界選手権女王、安藤美姫(35)が6日に自身のInstagramに投稿した10歳の娘・ひまわりち...
万太郎夫婦の2カ月ぶりの夜…寿恵子お手製渋谷マップは一見価値あり!
「歩いて、観察して、万太郎さんならそうする。行こう、渋谷が私の横倉山になるまで」  新たな決意を胸に、再び渋谷へ向...
桧山珠美 2023-09-08 16:06 エンタメ
ただ落涙!去りゆくひとに“花道”、万太郎の手には亡き長女・園子の絵
 大学に辞表を提出した野宮(亀田佳明)、東京を去る前に長屋を訪れ、生まれたばかりの千鶴を含む槙野家の肖像画を描く。 ...
桧山珠美 2023-09-06 14:11 エンタメ
竹雄と綾の屋台「土佐」開店が超高速すぎる! 材料はいつ調達したの?
 十徳長屋の古参住人、牛久亭久兵衛(住田隆)が真打に昇進し、長屋を去ることに。万太郎(神木隆之介)らの前で落語を一席、披...
桧山珠美 2023-09-04 18:19 エンタメ
市原隼人のセクシービーム“大量注入”で盛り上がったのは間違いない
 市原隼人(36)はいつも眩しそうです。どうしてあんなに眩しそうなのか。私が考えるに、自分が放つセクシービームが乱反射し...
アイクぬわらの“おはガール”自宅連れ込み報道も「新社屋の呪い」にぴたり
 お笑いタレントのアイクぬわら(37)が8月28日、テレビ東京系の子供向けバラエティ番組「おはスタ」の卒業を突然、発表し...
2023-09-01 06:00 エンタメ
お見事!寺田心から濱田龍臣への人気子役リレー、キャスティングの妙
 万太郎(神木隆之介)が台湾に旅立ってしばらくのこと。大荷物を背負って、ひとりの青年が、万太郎を訪ねて長屋にやってきた。...
桧山珠美 2023-08-31 15:10 エンタメ