あれ?誰とも喋ってない… 「コミュニケーションにはお金がかかる」という現実。孤独と戦うおばさんの生存術

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-11-12 11:45
投稿日:2025-11-12 11:45
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第53話は「コミュニケーションには金がかかる」。

誰とも会わない日

「…やばい、今日、仕事の打ち合わせばかりで誰ともまともにしゃべっていない」

 これは一日、デスクに向かって仕事をしていた私の夕方の独り言。座業が生業のメインなうえに、独身、パートナー不在となればこういう日は冗談ではなく、本当にある。加えてコロナ禍のリモートワークの通常化によって、人との接触が格段に減った。打ち合わせや取材など、対面せずともオンラインで完結ができると皆が気づいてしまった。このおかげで地方移住や二拠点生活が理想ではなく現実となった背景を鑑みると、いい影響も確かに及ぼしている。けれど、やっぱり寂しい。


【こちらもどうぞ】お前はアイドルグループか? 更年期の味方「HRT」との出会い。婚活ぐらいマッチングが難しいやつめ

 人的コミュニケーションや社会的なつながりは医学的見地からも、兼ねてからの必要性が叫ばれている。孤独でいるとうつ病のリスクが高まる云々(米国疾病対策センター /2024年調べによる)。確かに私も今年の夏は更年期うつとやらを発症して参った経験がある。あっという間に戻ったけれど、それはまだ50代前半の体力による回復であって、これから先、年老いた時にどうなるのかは想像がつかない。でも確かに人的コミュニケーションは必要だ。

 もやっと考えてみると、コミュニケーションとは金がかかる。例えば私、デスクワークに辟易してきたので、飲みにでも行こう…となると当たり前だけど飲食代がかかる。10年ほど前までは下町へ一人でフラッと出かけると、2000円もあれば濃い酒を飲んで、串でも食べて満足して帰宅したけれど、物価高の昨今はそうもいかない。おまけに酒を飲んでいると気が大きくなるので、ブルジョアでもないのに金遣いが荒くなる。

「〇〇ちゃん、今日は一杯奢るよ〜〜」

 仮に4,000円ほどかかったとすれば、それが1ヶ月続くと136,400円。あまりにも現実的ではない食費設定だ。では店にはいかず、友人とコミュニケーションを取ろうとする。食事に行かなかったとしても、お茶くらいはするだろう。ここでお茶代。相手の自宅に訪問するなら手土産代金も交通費もかかる。パートナーがいても同じく、会うためには金がかかる。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


げっ困った! 超苦手なカラオケに誘われたら…場の空気を壊さずに切り抜ける方法
 冬が近づいてきて、そろそろ忘年会のシーズン。忘年会の二次会といえば、カラオケが定番ですよね。でも、「カラオケ、苦手だか...
秋の京阪神「穴場あり」グルメ旅。外国人観光客にバレていない!? 胃で溶けるカツレツ、会館飲み…
 何もかも揃っているような東京に住みながら、関西でいただく食事はなんであんなにうまいのか。そんな気持ちにかられて、先日、...
「う、うまい…」秋の京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで
 先日、遅めの夏休みとして京都を中心に旅行へ出かけました。京都は「ここが私のアナザースカイ!」と両腕を広げたいほど、大好...
ツンデレorガチ避け? つれない“たまたま”太郎についてゆきます!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
年末年始に増えるご不幸と葬儀。花屋が心底思う「後悔しない直葬」とは?
 寒くなり、アノ不思議現象がボチボチ起こり始めております。それは、年末から年明けにかけて頻発する「お亡くなり現象」。...
「卓越下着術」「胸囲ない」セクハラかと思いきや…!職場&家族へのおもしろ誤変換LINE7連発
 日常の連絡ツールとして欠かせないLINE。気軽に送れるぶん、おもしろ誤変換が生まれます。特に職場LINEや家族への誤変...
「オレ忙しいアピール」って何様よ? 昭和オヤジの怠慢さに怒りの沸点越え
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
更年期、私はこれで対処しています②賛否両論のプラセンタ、筋肉注射で痛みもこの上ないが…
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
40歳、セルフプレジャーより睡眠が優先!?フルタイム正社員に転職で痛感
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  つい先日ま...
仕事ができないけど愛される人の特徴5つ。ポンコツなのになんで?
 あなたの職場にも仕事ができないポンコツなのになぜか周りに愛されている人、いませんか? 今回は、仕事ができないけど愛され...
気は優しくて力持ちってこんな感じかな
 そして、  思わずほっこりしてしまうのはなぜ?  
ダークヒーロー参上! 木の上から睨みを利かせるアウトロー“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
息抜きは絶対必要!忙しいワーママが自分時間を確保する4つのアイディア
 世の中のワーママは、仕事や家事、育児と朝から夜まで大忙し! 自分の時間なんてほとんどありませんよね。しかし、人には息抜...
「糟糠の妻」の意味は? 出世しても〇〇してはいけないんだゾ
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
ほっこり癒し漫画/第85回「食べる! 食べるでござるーッ!」
【連載第85回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
酔っ払い同士の胸熱&ちょっと恥ずいLINE3選。きのこたけのこ戦争の和解にもおすすめ?
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...