「抱きたいでしょ!」名場面が誕生!? これぞ『ばけばけ』、シリアスとコミカルの絶妙な塩梅が最高

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-11-13 13:05
投稿日:2025-11-13 13:05

この時代にGoogle翻訳があれば…

 そこへ、ヘブン先生のあさげを持ってくるおウメ(野内まる)。おフミに「どなたのかしら」「いくら貰っちょる」などと詰め寄られます。おトキが花田旅館で働いているのではなく、ヘブンの女中をしていると悟った松野家御一行、そのまま屋敷に押し入ります。

「ラシャメンだが。こげなことでもせんと暮らしていけん」と言うおトキに対して、「お金より大事なものがあるけん」とおフミ。その緊張感が、「異人は…ペリーはどこじゃ、ペリーは」と刀を振り回すおじじ様の声で吹っ飛びました。

 なぜかそこに都合よく錦織(吉沢亮)がいて、ヘブンは「どっちも」のラシャメンを希望していたのではなく、女中が欲しかったということがわかります。自分の思いを伝えようと辞書を引いて出てきた言葉が、「ダキタクナイ」。

 それを聞いたおトキが「それはそれで失礼だけん」と言えば、「抱きたいでしょ」とおフミ。見事な連携プレイで、のちに「ばけばけ」名場面と呼ばれそうな、シリアスなのにコミカル、絶妙な塩梅の名シーンが生まれました。

 ともすれば深刻になりがちなところ、コミカルな味付けのおかげで、見ているこちらもどんよりすることなく、むしろワクワクしてしまうところが「ばけばけ」の素敵なところです。言葉が通じないもどかしさ、この時代にGoogle翻訳があれば、と思ったり…。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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