「下手やねん」だからこそ ロッチ・中岡が生み出す素朴な″素人感″の魅力
【今週グサッときた名言珍言】
「見透かされた! 頑張らなあかん! いい機会やった!と思いました」
(中岡創一/フジテレビ系「全力!脱力タイムズ」11月7日放送)
◇ ◇ ◇
ロッチ・中岡創一(47)は番組で、アメリカの政治やボクシングの世界戦などについて聞かれ、コメント。すると、「見ていただきたいVTRがある」と9年前に中岡が出演したVTRが流れた。まったく同じような質問に答えている。そして「9年前」と「現在」とを比べられ、「緊張感がなくなってる」「こなしている感じがする」などと痛烈なダメ出しをされてしまう。企画を終えた中岡は、最近の自分を見て、「気抜けてんな」と思われたから企画したのだろうと推測し、「ツラかったよ……」と吐露して語った言葉を今週は取り上げたい。
中岡が痛烈なダメ出しをされたのは、ロッチ結成直後にもあった。中岡は芸人となったが、程なく辞めて、彼女との結婚資金を貯めるため就職。5年後、プロポーズをするも断られ、コカドケンタロウを誘い沖縄へ傷心旅行に。それが楽しすぎて芸人熱が再燃。ちょうどコンビを解散して一人になっていたコカドとコンビを組んだ。
その1カ月後、ネタ番組に出演できる機会があったが、そこで審査をしていた山城新伍に「お前が足引っ張ってんだ!」と言われたのだ(光文社「WEB女性自身」25年6月20日)。5年のブランクがあり、素人のように声も小さく、ネタも飛ばしてしまっていたからだ。そこからしばらく、中岡はイップスのような状態になってしまったという。
そんな中岡を見捨てず、彼がやりやすいネタをコカドが作っていくうちに、ネタに定評のあるコンビとして頭角を現していった。だが、思わぬ形で中岡は“大ブレーク”を果たす。ドッキリ番組での素直なリアクションが評価されて「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)に抜擢されたのだ。
その中岡に対し、公私ともに仲の良い出川哲朗から「リアクションするな。中岡はそのままの人間だから、わざとらしくしないほうが面白いから。ただただ一生懸命やったらいい」(朝日放送「やすとものいたって真剣です」20年9月24日)と助言された。笑福亭鶴瓶もロッチが「大好き」と評している。
「アマチュア感がめっちゃあんねん。大事なんですよ、新鮮さが。マンネリがないんですよ。下手やから。特に中岡は下手やねん」(テレビ東京系「チマタの噺」20年10月27日)
冒頭の番組では「のんびりロケが増えてきて、それは居心地がいいんですよ。『そっちに甘えすぎてるな』って思ってたところ」と語っていた中岡だが、その素朴な“素人感”こそが、彼の魅力だ。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)
エンタメ 新着一覧
















