NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人気がジワジワ広がっている。視聴率もこれまでの最高を更新、普通はスタート時が高く、徐々に下がっていくのに、8週目以降に最高というのは珍しい。
作家・小泉八雲と妻の地味なストーリーと聞いてパスしていた朝ドラファンが、ちょっとのぞいてみたら、「あら、結構面白いね」と戻ってきているのだという。
どこがウケているのか。ヒロインの松野トキ(髙石あかり)をはじめ、登場人物たちの悲しくておかしい絶妙なセリフの魅力だ。
実父が看病の甲斐なく死んでしまったとき、養子に出されていたトキは「一人になって取り乱したい」と泣く。「取り乱したい」という、やや場違いなセリフに悲しみの深さが表れている。
かと思うと、結婚が決まってはしゃぐ友人に、「呪うけんね」と自分が残されたことを笑いにしたり、明治になっても髷を切らない頑迷固陋な父親に縁談を壊されると、「せめて他人の邪魔をしない武士やってよ」と噛みつく。
トキだけではない。母親のフミ(池脇千鶴)も、ダメ亭主を甲斐性なしと思っているが、「思っていても口にしません」と面と向かってぴしゃり。もうほとんどコントで、女性視聴者は大笑いだっただろう。
ほかにも、「無類の親戚好き」「夜だけど朝なのよ」「幸せが歩いてくる」「私は薄情な人になりたくないの」「通りすがりの異人」などなど、印象的なセリフの連発である。
「『ばけばけ』の背景は極貧、零落、偏見、死別、失意と暗い話ばかりですが、朝から重いドラマではつらい。そこで、脚本のふじきみつ彦は、悲しみや滑稽を笑いにするコメディーに仕立てたんです。トキは初めて見るビールの瓶を振って部屋中を泡だらけにし、映画『国宝』の名演技でうならせた吉沢亮がスキップのできない英語教師役で笑わせ、阿佐ヶ谷姉妹の蛙と蛇のユーモラスな語りと、はっきり言ってドタバタですよ。この明るさが好感されているんでしょう。トキを演じる高石はコメディエンヌとしても達者で、毎回楽しみです」(ドラマ制作会社プロデューサー)
物語は第12週から「怪談編」が始まる。夜な夜なトキがヘブン先生(小泉八雲)に怪談を語って聞かせるのだが、そこで巻き起こる珍騒動と恋のさや当て……。まずはお楽しみに。
(コラムニスト・海原かみな)
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