「朝から挿れてくんの? どうやって?」
わたしはといえば、“ベビーシッター”代わりに充てがわれたOの秘書と銀座の「CINQ」で夕食がスタート。体よく追い払われ超絶しまくる感のモヤモヤは、どんどんひどくなっていきます。
Oは絶対今夜、そのミーティングとやらに女性を連れてくるはず。そしてひろしが相好を崩すのが容易に想像できます。
動悸が激しくなり、目の奥がツンとしてきます。それを隠して、2本目のワインに突入しひたすらグラスを煽り続けます。お酒がまわり、わたしと秘書の間にフワフワと漂う雰囲気を感じつつ、会話は男と女の話題に……。どうやら秘書はわたしとの距離感を異常に詰めることにしたようで、艶やかな会話を楽しむモードにスイッチをした模様。
秘書「彼氏はいるの?」
わたし「いるというか、遊ばれているだけというか……。一緒に住んでいるのに、どうしても他に目がいくようで、浮ついてるんです。でも一緒に住むのをやめるとヤツが糸の切れた凧になりそうで、怖いから一緒に住み続けているんですけど、でも新鮮味がないからこそ、わたしだけを見てくれないのかな」
秘書「一緒に住んでて、男のほうは浮ついている感じが出ちゃってるんだね。セックスはしてるの?」
きょ、距離を詰めてくるな、このひと。キャハなんて笑ってごまかしたり、恥ずかしそうに「そんなことないですぅ」なんて言うた方がいいのは百も承知。でもわたしはそんな気分じゃありません。
わたし「そうですね。朝も夜も必ずしますね。なんなら、夜も疲れ切って寝ちゃうまで執拗だし、朝も挿入されて目が覚めるっていうか……」
秘書「朝から挿れてくんの? どうやって?」
わたし「寝ていたら、いきなり突っ込んできます。横からでも正常位からでも。突然亀頭で唇をなぞられながら、ディープスロートが始まったこともあります。膝で私の肘を押さえながら」
秘書「中出しはするの? 毎回? どれくらい? 中出しするときは、精液、どれくらい出てるの? 減ってったりする?」
HP強すぎやろ、このおっさん。
わたし「毎回、中出しですね。量はマチマチ」
秘書「そっかー。それは全然大事にしてないか、めちゃくちゃ大事にしてるかのどっちかだねえ」
このふたりで話しているのになんにも話してない感じ! 全然話になってない感じ! 内容ゼロ感!
こうして4本のワインを飲み、港区女衒おやじのまたその一段下の、港区こやじはもう一軒行きたそうでしたが、別々にタクシーで帰宅しました。
わたしはタクシーの運転手さんにコンビニへ寄ってもらい、ストロングゼロを3本買って帰宅しました。
王道の、あの香り
帰宅して、携帯をチェックしても、もちろんひろしから、うんともすんともありません。遅くなるときは必ず言い訳でも絶対に連絡してくるのに、23時を過ぎても一切連絡はありませんでした。
ストロングゼロの3缶目を開けた頃から、涙が止まりません。これは、絶対になにかあった、これは絶対に……。
酩酊した頭で「他の女とセックスをしている」という言葉が、確信に満ちていきます。一切の音沙汰がないまま、ストロングゼロを飲み干し、ダイニングの床で号泣していた25時ごろ、ようやく玄関が開く音がしました。
「あ~~~~~!!! おかあちゃん! 会いたかったで~~~!!! 寂しかったか」
「なに泣いとるんや。なんや寂しかったんか。かわいいところもあるんやな」
「どしたんや、浮気? はぁ? するわけないやろ!! こんな時間まで仕事して帰ってきた亭主に言う言葉か! お前は! 足を開け、ドアホが」
こう言うなりわたしの服を乱暴に剥ぎ取り、おっぱいにむしゃぶりついてきます。涙でぐしゃぐしゃになった顔で、キスをしながらも、ようやく会えた嬉しさと帰ってきた安堵感で、わたしはひろしに抱きつきます。
なにも考えず、ただ、会えた喜びだけで、ひろしの身体にしがみつき大きく息を吸い込んだわたしの鼻腔に石鹸の香りが広がりました。
次回に続きます!
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