もう我慢しない! 私の生活から彼女を消すために動き出した

うかみ綾乃 小説家
更新日:2020-03-18 06:00
投稿日:2020-03-18 06:00

 私がGにセクハラ、パワハラを受けている事実に、気づいてくれる人がいた。言えば、信じてくれる人がいた。このことは、ひとりで抱えるしかないと思い込んでいた私には衝撃でした。同時に目が覚めました。

 最初は「仕事のため」「自分の恥を晒さないため」との理由で我慢していたのが、そのうち、理由もなく我慢することが当たり前になっていました。自分を支える言い訳も見失うほどに消耗し、諦めきっていたのです。

 もう我慢はしない。

 こんな簡単な言葉を、なぜ見つけられなかったんだろう。そしていま、ようやくつかんだ。

 一刻も早く、私の生活から彼女を消すことにしました。まずは、職場の最高責任者である彼女の上司に、仕事を辞める旨を伝えました。同時に未払いの金銭の請求もしました。辞める理由は、Gへの不信感であるとだけ伝えました。

彼女の上司と金銭面で揉めることに

 ところが上司は、その返答をGに任せました。Gは、反旗を翻した私への怒りを含んだ文章で、金銭面はスムーズに解決する旨を伝えてきました。支払いのスケジュールと金額も、堂々とした文面で詳細に記していました。

 ところが改めて私から上司に確認したところ、

「いや、それは支払えない」

 私としては金銭的解決よりも、早くすっきりとしたかっただけですが、上司はさらに、

「彼女がそんなメールを送っていたなんて知らなかった」

 私の作品が不自然に抹消されている件についても、

「僕にはそこはわからない」

 もうここはぜんぶ吐き出してすっきりするしかない、と、Gからセクハラパワハラを受けていたことを伝えました。すると、

「僕は、現場を見たことがないからわからない。それで、お金の件ですが──」

 現場を見られては堪りませんが、こちらの神経を逆撫でする言葉を吐くほど、上司は金銭面で追い詰められているようでした。加えて、職場の業績が悪化する中(私のGへの邪推混じりの見方もありますが、若い女性スタッフが入ってもすぐに次々と辞めていく状況でもあり)、彼にとって頼りになる存在はGしかいませんでした。

結論はまだ出せていないけれど

 上司とGの結びつきの強さを、不倫関係だと噂する人間もいますが、私には追い詰められた人間が陥りやすい「依存」や「洗脳」が、ここでも起こっているように思えました。というのは勝手な想像ですが、少なくとも彼はいま、私が初めて会った頃のような正義感や心の余裕を失っているようでした。

私「私が御社での仕事を頑張りたかったのは、貴方の期待に応えたいとの思いも強かったからですが、改めて残念です。それではGさんの件は、弁護士に相談させていただきます」

上司「待ってください。このお金を支払えば、Gのことで法的手段は取らないということですか?」

私「違います。私は最後に、貴方と心と心で話せるかと期待していただけです。たとえ支払われても、それとこれとは話が別となりました。泥仕合を避けるため、いまから対応の準備を進めてくださってけっこうです」

 そういうわけでその後、弁護士や関係者と相談をはじめました。そして訴訟を起こすか否かの結論は、いまもまだ出してはいません。

 ちなみに金銭のほうは、上司との話し合いの後、契約書上では問題にならない、最低限のギャラだけは支払われました。私は契約書を逸脱したGのセクハラパワハラと、それによって損なわれた利益についての、せめてもの説明と謝罪を期待していたのですが、そこは民事で訴えるしかないのが現状です。

うかみ綾乃
記事一覧
小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

ライフスタイル 新着一覧


もう嫌!「節約疲れ」する前に…ストレスなく試せる5つの貯金方法
「毎日毎日節約のために出費を抑えた生活をしていて、全然楽しくない」と感じているそこのあなた! それは、節約疲れが出てきて...
ツー“にゃんたま”撮影に成功!さらに茶色のイケ猫が…♡ 可愛いアクシデントあるある
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お客は昔の恋人か? 傲慢な一言に「じゃあ、あんたがやってみろよ」と反論するか問題
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
酔っ払い同士のLINEに爆笑! きのこたけのこ論争から記憶喪失コンビまで恥ずかしっ…
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...
商店街で「縄張り荒らし」騒動が勃発! ムキムキお兄さんを近隣おじさまと奪い合う…顛末はいかに
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
中年のニラが歯に挟まる問題。口内インフラも老朽化するのだ。治療は保険治療か、それとも自費か
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ワーママも専業主婦も、みんな違ってみんないい。それでも女は“自分の収入”を持った方がいいと思う
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。
切ない…親の老いを実感したエピソード。ゴミ屋敷一歩手前、母の死から父の独り言が急増
 GWや年末年始など、長期休みに帰省する人は多いですよね。実家で過ごすと「懐かしい」「ホッとする」と感じ、心身ともに満た...
アラフィフ独女が『人事の人見』を見て思うこと。平成の働き方はもう通用しない…私たちはどう振る舞うべき?
 アラフィフ独女ライターのmiraeです。前回のコラムでもお伝えしたとおり、アラフィフである私は、氷河期世代として社会に...
夫のいびきがうるせえ! 約6割の人が悩んでいる睡眠問題、「対処法がわからない」は卒業しましょ
 眠い眠い眠すぎる! 「春眠暁を覚えず」昔の人はよく言ったもので、つい昼間でもうとうと…。  この眠気、我が家に関して...
2025-04-29 06:00 ライフスタイル
シッポがピン!「今日のご飯は鯛だニャン♪」ご機嫌“たまたま”たちが集結したよ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
脱「片づけられない女」宣言! この連休中こそ実行したい“断捨離”4つのコツ
 自宅の床には片方だけの靴下や、ぐちゃぐちゃのハンカチが転がり、デスク回りは書類と資料の山で作業するのも一苦労。そんなあ...
何気ない街の風景
 何気ない街の風景。  ここにいるよ…って呼ばれて振り返る。  心地良い風が吹いた。
【動物&飼い主ほっこり漫画】第95回「おーい! コテツ!」
【連載第95回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
夫よ「育休=自由」じゃないんだよ! 病む寸前まで追い詰められた女たちの叫び
 子供を出産してから、育休を取得する女性は多いですよね。また、出産後の妻を支えるために、育休を取得する夫は少なくありませ...
【女偏の漢字探し】「桂」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...