会場のあちこちで「ヤバい、凄すぎた」の声
長濱や二期生、日向坂46も戻っての全員整列後、締めくくりの挨拶を他メンバーが爽やかにしている中でも、黒い羊の“僕”が抜けないままの平手は下を向き切ない表情で伏し目がちだった。
特に最後の大阪会場では全てを出し切った平手は、他メンバーの話も聞いているのかいないのか、幾度かパチパチと拍手をしている周りにも気が付かず入り込んだままだった。
ただ最後に全員でファンへお礼をする際は平手はゆっくりしっかりと、いつも通り、どのメンバーより深くお辞儀をした。
他メンバーがファンに手を振りながら会場を順々に後にする中、全力パフォーマンスで髪は激しく乱れ、汗をたれ流し、鼻を何度もすすっていたが、黒い羊の“僕”のまま、平手はもう一度誰より深くお辞儀をして去って行った。
会場にいた誰もが、平手推しか否かに関わらず、黒い羊フルバージョン生披露は「ヤバい、凄すぎた」と漏らしていた。
黒い羊のラストシーンは前述の通り、各音楽番組で演出が異なったが、このミニライブ前に放送されたものでは、他メンバー=“白い羊”の群れが去っていく中、最も自分を受け入れてくれたように思えた小林に対しても諦めの感情から離れ、彼岸花を持ったままぼう然とした平手=“僕”で終わっていた。
だがミニライブで平手が小林に“僕”のアイデンティティーであり、心である彼岸花を託したことがのちに物議を醸した。
この少し前に発売された雑誌「ROCKIN'ON JAPAN」(19年4月号)のインタビューで、平手が「小林にセンターを任せた方がいいのかな」と思っていたことを明かしていたからだ。
「響 -Hibiki-」の出演で欅坂46の平手友梨奈を改めて自覚
平手は17年のNHK紅白歌合戦後に欅坂46を辞めたい旨をキャプテン菅井に伝えていた(「シネマトゥデイ」20年3月26日配信)。18年、自身初出演にして初主演の映画「響 -Hibiki-」を経験し、同年4月から6月の撮影期間中は欅坂46の活動から、そしてその重圧から離れ、戻りたくないとも思っていた。
しかし、映画に出演できたのは自身が欅坂46の一員だったから叶ったことであり、欅坂46に恩返しするためにグループに戻ると決めた。
そうして迎えた19年、グループ初期からの盟友で共に欅坂46ツートップを担ってきた長濱の卒業報告を受け、また自身も満身創痍の中、高校生活最後の年を控えて残りのグループ活動の区切り方を模索していた時期だったのかもしれない。
※もはやアイドルMVの次元を超えたアカデミー女優平手友梨奈主演の「黒い羊」MV
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