更新日:2020-04-30 07:03
投稿日:2020-04-29 06:00
後ろを振り返った男性
間もなく列車が終点の奈良駅に近づき、ふたりが立ちあがりました。私も立ち、ドアの前に並んだ彼らの後ろにつきました。
目の前で、ふと大柄な男性の手が動きました。その手が、小柄な彼の手を握りました。小柄な彼は驚いたように、肩をビクッとさせました。そしてすぐに、後ろを振り返ったのでした。私がふたりの手を見ていることに気づくと、彼はすかさず、握られた手を離そうとしました。
あ……。私は自分の軽率を恥じました。先刻の彼の顔を伏せた仕草には、明らかな怯えがありました。いま手を引っ込めようとする仕草にも、板についた畏縮がありました。
私自身は観光地かつエロ仕事という、異国人、異邦人だらけの世界で生きているので、男性カップルを珍しくは感じません。いまはふたりの、寡黙に寄り添い合い、ふたりでひとつを象るような雰囲気に目が惹かれていただけでした。でもその視線は、彼らにとっては凶器でした。
お揃いの黄色いウエストポーチは、この旅行のために買ったもので、今日はそれを堂々と身に着けられる、数少ない機会だったのかもしれません。幸せでなければならない彼らの時間を、私は無頓着な視線だけで、いとも簡単に傷つけてしまったのでした。
ラブ 新着一覧
あなたは結婚に対してどのような理想を持っているでしょうか? 理想の結婚生活を求めて婚活している人もいるでしょう。
...
「冷酷と激情のあいだvol.247〜女性編〜」では、何度も浮気を繰り返す夫・ツヨシさん(仮名)と、離婚をしたくても経済的...
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
男性には庇護欲があるもの。「守ってあげたい」と思った瞬間、相手の女性を意識したり好意を持ったりしがちです。あなたも意中...
菜々美さん(28歳ホステス/独身)はアフターで連れて行ってもらった「女装バー」で、女装が趣味の直樹さん(43歳エンター...
マッチングアプリやSNSなどが普及し、多くの異性と気軽に出会える時代。だからこそ、いい男を見つけた瞬間「他の女に取られ...
「勇気をふりしぼってデートに誘ったのに断られちゃった」と嘆く女性は少なくありません。その一方で、お誘いに全部OKをもらえ...
世田谷乃たらこと申します。30歳でフリーランス(とは名ばかりのフリーター寄り)ですが、この度婚活を始めることにしました...
「好きな人からメッセージが来ると、つい即レスしてしまう」このような女性が多い一方で、なかには「好きだからこそ返信が遅れて...
昨今では、永野芽衣さんと田中圭さんのように、不倫が発覚しようものなら大変な非難に晒される時代。でも、2人の世界に溺れた...
「男は浮気する生き物だから……」と寛大な心で許す女性なんてひと握り。大半の女性は、許しているフリをしているだけのようです...
彼氏のことが大好きなのに、お酒の勢いや元カレからの連絡に流されて、つい一夜を共にしてしまった人もいるかもしれません。そ...
「彼女は俺がいなくても大丈夫そう」。そう思った彼はあなたから離れていくかもしれません。求めたり頼ったりせずにいると誤解さ...
「冷酷と激情のあいだvol.246〜女性編〜」では、仕事の売上が激減した夫・ヨウスケさん(仮名)への不満を募らせる妻・紗...
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
好きな彼が体調を崩したとき、あなたならどんなLINEを送るでしょうか? 彼が嬉しく感じるLINEを送れば、さらに距離が...