更新日:2020-09-01 06:05
投稿日:2020-09-01 06:00
差出人不明の白い封筒を手に取った夫は…
「ねぇ……、聞いてる……? なんで私がこんなこと言っているのか、わかるよね!?」
陽介の口から、なかなかきちんとした説明を得られないことに、咲子は苛立ちを感じ始めた。
(なんで何にも言わないの? 言い訳すら用意してなかったってこと!? それとも、このままシラを切るつもりなわけ……!?)
普段の夫なら、妻の咲子が何かを尋ねれば即答する。しかし今日は、やはり妻に言いにくいことがあるのか、じっと黙ったままなかなか言葉を発しない。
「じゃあさ……、もうはっきり言うね」
夫の態度にしびれを切らせた咲子は急いで寝室から出て、夫宛の白い封筒を、隠していたスキップフロアーの収納スペースから取り出した。
(これを見せたら、手の内を明かすことになるけど仕方ないよね……。はっきり陽介の口から真実が聞きたいし、出すなら今よね)
夫が待つ寝室に再び戻ると、先ほどから姿勢を変えていない陽介が咲子の目に入る。正気のない顔をしている夫に、咲子は勢いよく封筒を差し出す。
「はい、これ。陽介宛に今日届いてた。なんなの? この手紙は?」
「……。あぁ……、これか」
白い封筒の裏面をちらりと見た陽介は、ようやく重い口を開き始めた。
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