手を上げられても元夫との自宅に戻った理由
case2-2.椎名さとみさん(仮名/50歳)
前回に続き今回もお話を伺った椎名さとみさんは、46歳で再婚。23歳のときの初婚相手である、大澄賢也さんを垂れ目にしたような感じの顔立ちの元夫と結婚3年目に大ゲンカをします。
つかみ合いのケンカになり、“偶然”元夫の手がさとみさんの顔に当たったとのこと。さとみさんの鼻は曲がってみるみる腫れ上がるほどの惨事だったにもかかわらず、病院にもついてこず、謝罪もなく。
そういった元夫の態度を目の当たりにして自宅に戻る気になれず、実家に帰ったときも先方から一度も連絡はなかったそうです。それでもみずから、元夫との自宅に帰った事情とはーー。
離婚を決意→独り立ちするには経済力が必要
当時、私は子どもがほしかったので、仕事をセーブしていたんです。家に戻ると決めた時点で彼への愛情は薄れていて離婚をしたかったのですが、離婚をするには独り立ちできる経済力が必要です。
実家にずっとい続けるわけにはいかないので一度帰り、仕事に現役復帰しつつ、貯蓄を始めました。本格的に働き始めても、私のほうが家事分担は多めなので大変ではありましたが。
結婚当初はどちらかの誕生日は別として、お金はある方が出す。家事は折半の予定でした。ですが仕事をセーブしたことで、なる予定のなかった専業主婦状態になったんです。1年間ほど家にいたので家事を担当していたら、その習慣が定着した、という感じでしょうか」
その後、さとみさんは黙々と計画を実行。大ゲンカ後の2年後、結婚5年目に自分から離婚の意思を伝えたそうです。
「一緒にごはんを食べて楽しく笑い合うでもなく、冷めた雰囲気が漂っていたはずなのに、彼にとっては寝耳に水だったようです。私は逆に、『なぜ気づかなかったの!?』と思いました。
そのとき初めて、3年前の大ゲンカで気持ちが冷めたことを打ち明けたんです。『病院についてきてほしかった。一言でいいから、ごめんねと言ってほしかった。その一言があれば、今が違っていたのに』と。
私も働いているので、男性が働く大変さは理解しているつもりです。元夫は、仕事で疲れて話し合いを面倒くさいと思い、逃げていたのでしょう。私が戻った当日から何事もなかったかのようにお互い過ごしていたので、いつか自然に関係は修復できると考えていたのかもしれません。
元夫は、私が本心を伝えて初めて、私の3年前の状況を慮(おもんぱか)ったようです。『別れたくない』と言われましたが、気持ちが戻らず私が28歳のときに離婚しました」
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