コロナ禍のせいで全てが…婚約破棄を決めた男性が抱える事情

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-11-14 06:10
投稿日:2020-11-14 06:00
「冷酷と激情のあいだvol.20〜女性編〜」では、結婚の約束をした彼氏が自分を避けているように感じる女性・Tさんの心情をご紹介しました。では、Tさんと交際しているMさんの真意はどうなのでしょうか。

本気で再婚するつもりだった

「Tのことは好きだけれど、ぶっちゃけ今は、恋愛どころではなくなってしまったんです」

 コロナ禍に突入する前の夏、友人が主催した飲み会でTさんと知り合ったMさん。会ったその日に相性の良さを感じ、いわば一目惚れの状態から交際がスタートしました。その後は、あっという間にふたりの距離が縮まり、Tさんとは結婚の約束もした仲だとMさんは言います。

「あの頃は、コロナとかなかったですし、僕はバツイチですけど、そろそろ再婚もしたいなってのがあって、Tとは本気で再婚するつもりでいましたよ。

 実際、付き合ってからはほぼ毎日一緒にいましたし、半同棲みたいな時期もありましたね。

 けれど、コロナの問題が出てきて、最初のうちは仕事への影響が少なかったものの、コロナ禍が長期化するにつれ、僕の事業も厳しくなってしまって……。

 実は、彼女には言っていませんが、あまりにも会社の業績が悪いので、従業員を解雇した上で、僕は今、アルバイトをして食いつないでいる状態なんです」

真実を告げられない理由とは

 当初は、コロナ禍の影響を受けつつも、なんとか持ちこたえられる見通しだったものの、思ったより事態は甘くなく、今では経営する会社は赤字に。このままだと会社をたたまなくてはならないというところまで追い詰められているのだそうです。

 しかし、そんな状況を恋人には話したくないと口にするTさん。その理由は“プライド”だそうです。

「おそらくですけど、コロナ禍が長期化したせいで、僕の会社は遅かれ早かれ潰れると思います。だけど、Tにはそんな状況を、どうしても言い出せなかったんですよね。

 彼女は僕よりも11歳年下ですし、経営の話とかしてもわからないタイプ。だから、事情を説明しても、ただ不安になるだけだと思うし。

 けど、それよりも何よりも、僕自身が11歳年上の男としてプライドがあるので、Tにだけは今の状況を知られたくないんですよ」

 これまで、Tさんの前では「かっこいい俺」であり続けてきた自負があるMさん。遅かれ早かれTさんとは別れることになる前提で、いつまでもTさんの中で「かっこよかった彼氏」として記憶に残りたいと語ります。

せめてコロナ禍が明けるまでは

「コロナがなければ、たぶん今ごろは予定通りに結婚していたんじゃないですかね。だけど、コロナのせいですべてが変わってしまいましたよ。

 しばらくは、僕の経済状況は悪化の一途でしょうし、コロナが明けたら、会社を整理した上で、人生を立て直さなくちゃいけない。

 そんな状況だから、結婚なんてしばらくは考えられないし、正直今は、恋愛どころではありませんね」

 付き合ってきた責任はあるから、Tさんにはまだ別れ話を出していないというMさん。

 今、別れ話をしても、取り乱すだけで新たな出会いにも恵まれにくいだろうし、せめてもの思いやりとして、コロナ禍が明けるまでは恋人でいようと思っているのだそうです。

「でも、そろそろ別れたほうがTのためなんですかね? メンタルが弱い女性なので、僕から別れ話をして、ボロボロにさせてしまうのが怖いんです。

 だからせめて、コロナ禍が明けて、新しい男と出会いやすい社会に戻ってから別れるのが礼儀かなって思っているんですけどね……」

 ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ラブ 新着一覧


「色白のお肌がいっそう映えますね」呉服屋・イケメン若旦那は熱海の旅館でマクラ営業? #2
 静香さん(35歳・茶道講師/既婚子供アリ)は、祖母、母と3代にわたり、都内の邸宅で茶道教室を開いている女性だ。彼女は懇...
蒼井凜花 2025-04-11 06:00 ラブ
年親を安心させたい。でも、30代で付き合った不倫相手が忘れられません(44歳女性、IT勤務)
 都内のIT企業で働く44歳女性です。年収は1000万円弱で、経済的には自立していますし、年齢的にも子供も望んでいません...
植草美幸 2025-04-11 06:00 ラブ
どんな“優良物件”も劣化させちゃう悲しきモンスター! 男をダメにする女の5つの特徴
「男を見る目がない」「ろくな男がいない」と嘆いている女性の中には、男をダメにする女が含まれているのも事実。あなたもそんな...
恋バナ調査隊 2025-04-11 06:00 ラブ
アラフォー妻が実践するセックスレス解消の秘技。夫と再び燃え上がった3つのステップ
「ダンナがしてくれなくて…」とセックスレスに嘆く女性は少なくありません。  近頃は女性用風俗や恋人レンタルに癒やしを求...
内藤みか 2025-04-10 06:00 ラブ
「気になる人」と「好きになる人」の違いとは? 自分の恋愛感情を6つの判断軸で考えてみよう
「気になる男性がいるけど、恋愛感情として好きになっているかはわからない…」と自分の気持ちに疑問を抱いている女性、必見。今...
恋バナ調査隊 2025-04-10 06:00 ラブ
「浮気してね?」男性の怪しい言動5選。意外でも深掘りしてみる価値あり
 今回は、男性の浮気を見破ったきっかけについて女性に話をうかがいました。中には意外な言動から見抜いた女性も! ちょっとで...
恋バナ調査隊 2025-04-09 06:00 ラブ
お花見デートの失敗談5選。飲みすぎ→リバースで大ヒンシュク! 桜とともに恋が散った…
 お花見デートのシーズン到来! 「気になる彼と約束してる」なんて女性もいるのではないでしょうか?  そこで今回は、お花...
恋バナ調査隊 2025-04-08 06:00 ラブ
マッチングアプリの意外な成功談4選。まさかの恋愛成就、“加工詐欺”は悪い話とは限らない?
 今回は、マッチングアプリでの意外な成功談を紹介します。マッチングアプリには下心しかないヤリモク男が溢れている印象ですが...
恋バナ調査隊 2025-04-08 06:00 ラブ
彼が萎える彼女の言動7選。遅刻、スマホチェック以外にクチャラー、口ヒゲもドン引きの対象に…
 彼にドン引きされた経験はありませんか? 今回は男性が「マジで萎えるからやめて」とドン引きする彼女の行動をご紹介します...
恋バナ調査隊 2025-04-07 06:00 ラブ
既読スルーをくらって連絡が途絶えた…ラリーが続くやり取りとは? 思わず返したくなるLINEテク3選
 気になる男性からのLINEが途絶えると、「脈なしなのかな?」「また送ったら迷惑かな…」と考えてしまうでしょう。  そ...
恋バナ調査隊 2025-04-07 06:00 ラブ
家事をしない夫への“プチ仕返し”3選。気が済んだら、上手に心を入れ替えさせるコツ3つで改善を
 今の時代は、夫婦共働き世帯が多いですよね。それなのに家事をしない夫に、イライラがつのって爆発寸前の妻たちも大勢います。...
恋バナ調査隊 2025-04-06 06:00 ラブ
「俺のこと好き?」LINEのダメな返し方3選。“真の正解のヒント”は彼との前後の会話にあり
 好きな彼から「俺のこと好き?」とLINEがきたら、あなたはどう返すでしょうか?  3人の男性に「これは嫌だな」「ちょ...
恋バナ調査隊 2025-04-06 06:00 ラブ
「腐れ縁でも寂しくなる」社会に強い不満を持つ55歳男性の別れの予感
「冷酷と激情のあいだvol.240〜女性編〜」では法律婚を選択せず交際10年を迎えた、一回り上の恋人・ハルトシさん(55...
並木まき 2025-04-05 06:00 ラブ
老害予備軍それとも男の更年期? ひと回り上の恋人の豹変ぶりに慄く43歳女性
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-04-05 06:00 ラブ
【漫画】「彼女のフリをして欲しい」そんな顔で見ないで…元同僚がたくらむ“偽装恋人”計画『プラチナム』#3
【『プラチナム』あらすじ】  広告代理店を不当に解雇された真中愛は、現在フリーライターとして新たな仕事を探し中。今日も...
【漫画】元同期のシゴデキ男が「俺の時間、体で返してくれ」。それってどういう意味?『プラチナム』#2
【『プラチナム』あらすじ】  広告代理店を不当に解雇された真中愛は、現在フリーライターとして新たな仕事を探し中。今日も...