ライバル心に火が着いた
――えっ、この場所で、ですか?
「はい……ドア一枚隔てた廊下では、お客や店員が行きかうボックス内なのに。普段なら、絶対しないはず……。
でも、体がすっかり火照ってしまった私は、熱に浮かされたように彼のデニムのベルトを外し、ファスナーをさげました。『僕、立つね』彼は昂揚した声で言い、さっと立ち上がると、デニムをひざまでおろしたんです」
――けっこう強引なのですね。
「はい、私の目に飛び込んできたのは、グレーのぴっちりした下着です。ボクサーブリーフと言うのかしら……? 股間の中心は逞しく膨らみ、カウパー液が滲んで黒く変色していました。
今日会ったばかりなのに……と、一瞬、ためらった私ですが、気づけばブリーフの両脇をつかんで、引きおろしていました。ぶるんとしなるように、勃起が跳ね上がりました。眼前でそそり立つ勃起は大きく、生々しいほど静脈がうねり、浅黒い色をしていました。尿道口から透明な汁を噴きだして……卑猥(ひわい)な性臭が鼻腔に忍びこんできたんです」
――続けてください。
「勃起を前に凍りつく私に、彼は『早く、しゃぶってよ』と、立ったまま命じてきたんです。私は『もし誰か来たらどうしよう』と不安になりつつも、彼の機嫌を損ねたくない一心で、ひとおもいに亀頭を咥えました。
『ううっ』と頭上から、彼の呻きが聞こえてきます。TVでは決して聞くことのできない、特別な声に、私の心は一気に変わりました。上手なフェラチオをして、もっと彼に感じてほしい。
今まで彼と付き合った誰よりも、気持ち良くさせたいという妙なライバル心です。
女って思いがけないことを考えるものですね。公然わいせつにも値する行為なのに、気づけば、一心不乱にペニスに舌を絡ませ、ジュボジュボと首を打ち振っていました」
自分の価値をあげるためのフェラチオ
――ここで、R子さんは頬を赤らめたままテーブルの水を飲み、さらに語り続けた。
「私、今までに付き合った彼は五人ほどでした。中には十歳以上年の離れた彼もいたので、フェラチオやセックスはある程度の経験はあります。
なので、男性器の感じる部分――例えば裏スジや、カリと裏スジの交差する部分なんかを重点的に責めましたね。セックスやフェラが稚拙な女だと思われたくなかったですし、何よりも有名人である彼を引き留めておきたかった。
売れない俳優とはいえ、彼の周囲には美人女優や人気アイドルがわんさといるわけですから、別のステージで私自身の価値を上げたかった。当然、フェラチオにも熱が入りました。
そのうち、『ああ……すごく気持ちいいよ……最高だ……』と、彼はさらにうなり声を高めて、私の乳房に手を伸ばし、揉みしだいてきました。私は『ン……ンン』と喘ぎつつ、ズッポリと男根を根元まで咥えこんでは、しゃぶりあげ、緩急をつけたフェラチオを浴びせ続けたんです。
私のフェラに呼応するように、彼の手も私の乳房を揉み、乳首をひねりました。エロティックなことをしている自分に下腹が熱く疼き、欲情が体中に広がっていくのが分かりました」
――続けてください。
「個室内にはジュブジュブと、いやらしい唾音(つばおと)が響いていました。それに交じって、彼の唸り声と私の喘ぎ声も重なって……。そのうち、彼は『ダメだ……もう、出るよ』そう切羽詰まった声を上げたんです」
続きは次回。
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