これまでのあらすじ
幼少期から2歳上の姉と比べられて育ってきたH子さん(27歳クラブホステス/独身)。
彼女はロングヘアの似合うスタイル抜群のエキゾチック美女だが、周囲は品行方正で才色兼備な姉ばかりをほめたたえるという、つらい子供時代を送った。
音大を卒業した姉は、自宅でピアノ教室を開いた。
H子さんは学生時代から続けていたモデル業を継続。しかし、「さほど売れないモデル」だった彼女は、ごく自然に水商売の道へと進む。銀座のクラブのホステスとなり、常にトップ5に入る売れっ子ぶりだ。
H子さんはモデルをやめ、24歳の頃には専業ホステスになった。
そんな折、モデル仲間から合コンの誘いがあり、そこで出会ったのが、のちに姉の夫となるRさん(32歳IT/当時は独身)だ。切れ長の目に長身のスタイルが韓流スターを思わせるイケメンで、2人は意気投合。その日のうちに男女の関係になった。
セックスの相性は抜群だった。
彼とは10日に一度、逢瀬を重ねた。抱かれるたび体が馴染み、敏感に反応していく。女の悦びに満たされた甘い日々が続いた。これからも続くはずだった。
最悪の事態に涙
しかし半年後、H子さんは思わぬ不運に見舞われた。
彼女が勤めるクラブのママのバースデーの予定日に、Rさんが「出会って半年目の記念デート」に誘ってくれたのだ。
心の中では「出会った日を覚えてくれていた」という喜びとともに、H子さんは究極の選択を迫られる。
彼にはホステスの件は話していない。あくまでも「モデル」として付き合っている。イケメンエリートの彼との結婚を視野に入れているだけに、水商売であることを正直に話すのはためらわれた。
だからといって、店を休むこともできない。ママの誕生日は、1年でもっとも稼ぎ時である重要な日なのだ。
不審がる彼とのデートをなんとか翌日に延ばし、クラブの仕事に徹したものの、デート時の体調は最悪だった。
前夜に飲んだ酒のせいで体がだるく、出された料理には全く手を付けられない状態だ。あげく30分もトイレにこもって吐き続けた。
いくぶんか体調がよくなった彼女が席に戻った時には、冷めた料理と仏頂面のRさんがおり、このあと行くであろうホテルもキャンセルされるという最悪の事態が待っていた。
「タクシーまで送る」と冷たく告げた彼に抵抗などできず、H子さんは帰宅。涙もこぼれないほど悲しみに暮れる結果となってしまった。
新しい男性の存在
以来、Rさんからの連絡はない。元々、モデル業に不信感を抱いていた彼のことだ。出会って半年記念のデートの失敗が、大失恋への決定打となった。
どん底に突き落とされたH子さんだが、そこはガッツの持ち主。
数日後にはクラブに出勤し、失恋などなかったかのように気丈にふるまい、接客し続けた。お客さまのありがたさも身に沁みた。「H子が休んでいると聞いて心配していたぞ」「H子の笑顔を見るとホッとする」との言葉に、どれだけ励まされただろう。
笑顔で仕事に徹することで、Rさんとの思い出は消え去っていくのを実感した。
同時に、太客であるWさん(40歳会社経営/既婚)とも男女の仲になった。以前からH子さんを指名し、口説いていた客だ。口説きといっても紳士的な彼である。失恋の傷をいやすためにも、他の男性に抱かれることが必要だった。
何よりもセックスに飢えていた。
まさか、姉の婚約者が…
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