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【今回の女ことば】秋波を送る
本来の意味から“脱線”した表現でも、一般的に使われている言葉があります。「秋波(しゅうは)を送る」もそのひとつでしょう。
秋波(を送る)の意味は、
・色っぽい、誘う目つき。色目、そこから「秋波を送る」は誘う目つきをする(三省堂国語辞典 第8版)
・秋の澄みきった波の意から、美人の清らかに澄んだ目もと(明鏡国語辞典 第3版)
・気のあるような目つきをして、異性の関心をひく(用例でわかる 慣用句辞典 第1版)
あちこちで送られまくっている
もともとは色目をつかって、異性の関心をひく表現のはずですが、どうやらそれだけではないようです。
たとえば、夕刊紙「日刊ゲンダイ」では、次のように使われています。
早くもユーチューバーのヒカル(32)が松本(人志)に秋波を送っている。(日刊ゲンダイ/1月27日号)
内閣支持率も求心力もダダ下がりの岸田首相に、思わぬところから“朗報”が届いた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹の金与正副部長が「首相が平壌を訪問する日が来るかも」とする談話を発表。秋波を送ってきたのだ。(日刊ゲンダイ/2月19日号)
疑惑のド真ん中にいる元会長の森喜朗元首相の関与についても、誰ひとり本人に問いたださない。偽証罪に問われる証人喚問を野党が要求するのは当然だ。秋波を送られる公明党がこれほど存在感を高めている時はない。(日刊ゲンダイ/3月22日号)
異性間だけでなく、同性同士、政治団体、外国からとあらゆるところで「秋波」が送られまくっています。
「下心をもって、誘いをかける」の意も
このような表現は他紙誌でも見られるため、三省堂国語辞典では「下心をもって、誘いをかける」とも表記しています。
異性の関心をひくはずの言葉が、対象はなんでもアリとなり、あわよくばと下心丸出しの“お誘い”表現へ。いまや「清らかに澄んだ目もと」よりも、浸透&馴染んでいるかもしれませんね。
(日刊現代校閲/タダ美)
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