姿の見えない不倫相手の女と無言の戦い…志穂さんのケース#3

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2019-08-14 17:22
投稿日:2019-08-07 06:00
 自分の夫の不倫の証拠を見つけてしまったら、女性は誰でも争いや別れの影におびえながら、愛する人の真意を確かめようとするでしょう。たとえそれによって、自分が傷つくとしても……。ところが、志穂さんのケースはそうではありませんでした。喧嘩もなければ修羅場もなく、静かに終息したように見えたその後に、いやな事件が起こったのです。

夫の気持ちが確かめられない妻、嫁の代わりに怒る姑、そして…

喧嘩さえしてもらえない…(写真:iStock)
喧嘩さえしてもらえない… (写真:iStock)

夫の心はいつ離れてしまったのか…?

「ゆうべ、お義母さんが来て……あなたのスマホ……見ていたわ」

「え、スマホの何を見たの?」

「LINEの……通知……あれ、女の人だよね?」

 もうこれで終わりか、と思った志穂さんでした。この時までは、面と向かって勇太さんを責めることをしなければ、いつかは女と別れてくれるのではないか、と密かに期待していました。でも、ついに現実に向き合う時が来てしまったのです。

「ねえ、もう私のこと……好きじゃなくなったの? いつから、そうなったの?」

 悩みに悩んで、初めて伝えることのできた苦しい問いでした。不倫の発覚から3週間が過ぎていました。しかし勇太さんは嫌いと言うでもなく、浮気相手とのことを言いわけするでもなく、平然と言いました。

夫婦喧嘩にもならずに終息した不倫騒動

「志穂ちゃんを嫌いになるわけないだろ。それよりお袋、何て言ってた?」

 言い争いになるのを覚悟していた志穂さんは肩透かしを食らった思いです。この人は、きちんと私に向かい合ってくれていないのか? バカにされているのか無視されているのか、喧嘩さえしてもらえない自分という存在は、彼にとって何なのか? 

 しかし、この日を境に女からのLINE通知はピタリと止み、勇太さんの朝帰りもなくなりました。このまま平和な日が続いてくれたら……志穂さんは祈るような気持ちでしたが、収まらないのはお姑さんです。お姑さんは、単身赴任中のお舅さんの不倫で苦しんだことがあり、

「こんなに良いお嫁さんを泣かせるようなことをして、ご実家のお父さん、お母さんに申しわけないわ」

と、いつまでも勇太さんを責めました。志穂さん本人は勇太さんに何も言えず、まるでお姑さんが代理戦争をしているようでした。

目には見えない不倫相手からの静かな圧迫行動がはじまる

非通知のワンギリが一日に10回以上(写真:iStock)
非通知のワンギリが一日に10回以上 (写真:iStock)

このまま何事もなかったことにしたい

 勇太さんは、お姑さんに、

「泊りをやめただけじゃないの? まさか、昼間会ったりしていないでしょうね?」

と問い詰められると、

「会うわけないだろ、あんな勘違い女」

と面倒くさそうに言うだけ。でも、志穂さんはそれ以上勇太さんを疑う気持ちにはなれませんでした。

「夫は収入も良かったし、新婚当時と変わらずやさしいし。喧嘩にならないなら、このままでいいやって気持ちがありました。お義母さんだけが、女関係を調べた方がいいとか、早く子どもを作りなさいとか、大騒ぎしていましたけど……」。

 志穂さん夫婦は、いつしか元通りの静かな生活を取り戻していました。

別れた不倫女から一方的に恨まれて

 お姑さんも女騒ぎのことを言わなくなったころ、突然、志穂さんのスマホに非通知の無言電話がかかってくるようになりました。電話は勇太さんのいない昼間にかかってきて、志穂さんが出ると切れます。そんなワンギリが1日に10回以上、明らかに嫌がらせ電話でした。

 勇太さんに別れを告げられた女が、一方的に志穂さんを恨み、どうにかして志穂さんの電話番号を調べてかけているのでは……志穂さんは不安にとらわれ、一人で悩みはじめました。

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