露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
「フジテレビはブスは採りません」
フジテレビのアナウンス部長(当時)だった露木茂は、マスコミを志望する法政大学の学生たちの前でこう言い放った。
2000年代初め、私が受け持っていた「編集学」の授業に彼を招いた時、学生から出た「テレビ局にはコネ入社はあるのか?」という質問がきっかけだった。
彼は「テレビ局だけでなく、どの企業にも多少なりともコネ入社があることは否定しません。ですが、アナウンサーだけは別です」と言って冒頭の発言になった。女子学生たちが“呆然”としていたことを記憶している。
女子アナという言葉は1980年代から使われ始めたといわれている。中でもフジは美人女子大生を積極的に採用してアイドル化していった。私がFRIDAY編集長時代(1990~91年)、フジの有賀さつき、河野景子、八木亜希子の“アナドル”が全盛で、民放ナンバーワンの座を不動のものにした。
今ではフジの“ドン”とも“老害”ともいわれている日枝久相談役(87)は、都立杉並高校の私の大先輩である。週刊現代編集長の頃だったと記憶しているが、やはり先輩の木村晋介弁護士、私と同期の渡辺一枝の亭主・椎名誠と一緒に、日枝に食事をおごってもらったことがあった。その後カラオケにも日枝と行ったはずだが、女子アナが侍ってくれたという記憶は残念ながらない。
しかし、フジの「女子アナアイドル化戦略」を他局も真似するようになり、フジ一強体制はもろくも崩れていった。だが、フジの女子アナ活用は視聴率獲得だけではなかった。今回、中居正広のスキャンダルで明るみに出たように、有力なタレントや芸能プロの社長たちを接待するための“キャバクラ嬢”としても彼女たちをコキ使っていたのである。
われわれ雑誌屋の間ではだいぶ前から、フジの女子アナは「寿退社」もあるが、早く辞める子がなぜか多いと囁かれていた。社の上司や幹部が、自分の私利私欲のために彼女たちを「上納」するシステムは、かなり前からフジの“文化”になっていたと考えていいだろう。日枝が現役時代につくり上げた悪しき「伝統」なのだろうか。
週刊文春に、自身も常務時代に「『港会』と呼ばれた会合に当時を代表する女性アナが八人ほど集められていた」(元フジ幹部)と暴露された港浩一社長は、慌てて会見を開いたが「上納疑惑」をさらに深めただけの“恥の上塗り”で、事態をさらに悪化させてしまった。
フジへのCM出稿を差し止める企業が相次ぎ、万が一、これが続くようなら経営が傾く事態もあり得るかもしれない。
このままいけば港社長と、中居や有名タレントたちに女子アナを上納してきた編成幹部はクビだろう。だが、“ドン”日枝は、ジャニー喜多川問題の時のジャニーズ事務所のように、第三者の弁護士による調査委員会をつくって時間を稼げば、離れたスポンサーは戻ってくる、視聴者もすぐに忘れてくれると高をくくっていたのではないだろうか。しかし、今回ばかりは、危機のレベルが違う。
日枝先輩! 僭越ながら、汚れちまったフジテレビは社名を変更をしたほうがいいと思います! ちなみに「美人局」というのはいかがでしょうか。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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