更年期の“意外と知らない”基礎知識/更年期症状は遺伝する? 出産経験の有無は影響する?【医療従事者監修】

コクハク編集部
更新日:2025-02-27 06:00
投稿日:2025-02-27 06:00

3. 更年期到来に向け、やっておきたい対策

 更年期症状がつらいと感じたとき、もしくは更年期症状が始まる前にやっておきたい対策を3つ紹介します。

3-1.相性のいい婦人科を見つける

 本格的に更年期が始まる前にも、女性ホルモンの分泌量が乱れることで月経不順やほてりなどの不調があらわれる人や、生理痛が重くてピルの服用を検討する人がいるでしょう。そのような場合は、自分と相性のいい婦人科を見つけてください。

 かかりつけの婦人科医がいれば、更年期が始まったときの相談先になります。症状に合わせた対処法も教えてもらえるので、更年期症状が楽になりますよ。とくに不調がない人も、40代になったら定期的にがん検診や婦人科検診を受けるのがおすすめです。病気の早期発見だけではなく、相性のいい婦人科を見つけるきっかけになるでしょう。

3-2. 家族と話し合う

 更年期にはホルモンの分泌量が乱れて不調があらわれるため、対策をしていてもイライラや不眠といった症状が出ることがあります。それに備えて、家族と話し合いをしておくのもおすすめです。

「体調が悪いときは、自室でゆっくり横になりたい」「家事ができないこともあるので、分担を見直してほしい」のように事前に話しておきましょう。自分だけではなく、周りの人にも更年期症状を理解してもらうことで、過ごしやすくなりますよ。

3-3. 自律神経を整える

 更年期症状がつらい場合に備えるためには、自律神経を整えることが大切です。更年期は女性ホルモンの分泌量が減り、自律神経のバランスが乱れるため、不眠やイライラ、肩こりといったさまざまな不調があらわれやすい時期です。適度な運動や入浴、ストレスを感じたときのリフレッシュなどを通して自律神経を整え、不調を改善しましょう。

 自律神経の乱れには、心とからだ全体のバランスを整える漢方薬の服用もおすすめ。実際に、婦人科で更年期症状に対して漢方薬が処方されることもありますよ。

<更年期における自律神経の乱れにおすすめの漢方薬>

]
・加味逍遙散(かみしょうようさん):血行を促進したり自律神経のバランスを整えたりすることによって、疲れやすさやめまい、イライラやのぼせといった更年期症状を改善します。

・加味帰脾湯(かみきひとう):胃腸機能を改善しながら自律神経のバランスを整え、貧血や不眠症、精神不安や寝汗といった更年期症状を改善します。

 漢方薬を服用するなら、スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

4. 更年期前に正しい知識を身につけよう!

「なるほど…更年期って遺伝や出産経験の有無はそれほど関係がないんですね」

「そうよ。身近な家族や友達がつらい症状に苦しんでいると不安になる気持ちはわかるけど、不安に思いすぎるとストレスで更年期症状が重くなる恐れがあるわ。あまり心配しすぎず、正しい知識を身につけてね」

「はい、ありがとうございます!」

「実際に更年期に入ると、予想外の症状でつらいと感じることもあると思うから、そのときは遠慮せず相談してちょうだい」

 えりのボスの優しい言葉に、ハルエさんは安心したように笑います。

「ありがとうございます! そのときはぜひ頼らせてください!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくハルエさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


あっつ…夏の不眠、どうにかできない? 熱帯夜に「ぐっすり眠る」ための4つの方法【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
去年の「日焼け止め」使っていい? 意外と知らない買い替え時期、あの場所での保管は極力避けて!/医師監修
 SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマ...
「ジェネリック医薬品」って何が違うの? いまさら聞けないメリット・デメリット【薬剤師解説】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
紫外線は“顔のたるみ”の大敵です! 老化だから…って諦める前に試したい4つのこと【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
ひぃ~! ツヤ肌ファンデ→数時間でドロドロに…。大人世代が「買って後悔する」コスメのポイント【美容家解説】
 炎天下でもドロドロ顔面を回避したい40代にとってファンデーション選びは死活問題。最近では比較的安価なツヤ肌ファンデーシ...
「化粧めんどい界隈」に伝えたい。ずぼらな私が発見した“ラクして可愛いを作れる”6つのウラ技
「あと15分で家を出なくちゃいけないのに、まだメイクできてない! 手抜き感は出さずにパパッと終わらせたい!」「出勤しなき...
えっ、食物繊維が逆に「便秘の原因」になるってホント? “正しい摂り方”を知っておかなきゃ【薬剤師監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
痩せたい…でも食事制限は嫌! ダイエット中の間食、何時に何を食べればセーフなの?【医療従事者監修】
 ダイエットをしていると、厳しい食事制限をしがち。とはいえ、食事制限でストレスがたまって過食してしまっては、元も子もあり...
知ってた?「レチノール」に紫外線は大敵です。夏にヘビロテする前にちょっと待って!【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
大人だって「バブみメイク」をしてみたい! 童顔風になれる4つのコツ
 最近よく見聞きする、「バブみメイク」。「10代、20代の子がやる分には可愛いだろうけど、私の年齢ではちょっと…」なんて...
2025-05-28 22:04 ビューティー
昭和バブル→令和メイクに即変身!40代でもトレンド顔になれる簡単プチプラコスメ3品【美容家厳選】
「今どきらしさ」のあるトレンドメイクをしたいけれど、何を買ったらいいのかわからない…と感じているOVER40歳にこそ、プ...
雨の日の「頭痛」は水のせい? 梅雨の前に知っておきたい“気象病”の対策方法【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
ケアしてるのに~! 40代の「イマイチ肌」を乗り切るアイテム3つ。日焼け止めから見直して【美容家厳選】
 今年は、5月から真夏のような暑さの日も多く、「ちゃんとケアをしているのに、なんだかイマイチ」の声もチラホラ。  物価...
対策は万全に!「水虫」に感染しやすい人の特徴って? 気温15度以上は要注意【医療従事者監修】
 夏になると、水虫になる人が増えるといわれています。「自分は大丈夫」と思っていても、プールや温泉などで知らない間に感染し...
物価高の今こそ「節約美容」を! プチプラでも満足度“1万円越え”のアイテム3つ【美容家厳選】
 長引く物価高の影響で、日々の美容にもこれまで以上に「コスパ」や「お得感」を求める声が高まっています。  節約しつつも...
性交痛がつらい…それって更年期のせいかも。医療関係者が教える“40代の悩み”対策は?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...