3. 更年期の不快な寝汗への対策は?
病院を受診して寝汗が更年期由来による症状だった場合、適切な治療を行うなかで、セルフケアをとり入れるのもおすすめです。対策方法を4つご紹介します。
3-1. 運動習慣をつける
適度な運動習慣は更年期症状の軽減を期待できます。ウォーキングやジョギング、ストレッチなどの有酸素運動を行いましょう。厚生労働省の国民栄養調査によると、運動習慣の基準は「週2回以上、1回30分以上、1年以上の運動」です。
運動習慣がない場合は、いきなり無理をしない程度に、短時間の運動から始めてみましょう。
3-2. 食事内容を見直す
タンパク質、ミネラル、ビタミンを中心に、バランスのとれた食事を意識して行いましょう。また、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをする作用があるので、大豆製品を意識的にとりいれるのもおすすめです。
からだに足りない栄養素を補う意味で、サプリメントの摂取もおすすめです。ただし、あくまでも栄養は食事メインで、サポートする役割としてサプリメントを摂取しましょう。
3-3. 家族と話し合う
ひとりで抱え込まずに、家族に協力してもらいながら、更年期の症状を乗り越えていきましょう。
就寝時の理想的な室温は、一般的に夏の場合は26~28℃、冬は18~23℃といわれます。もし家族が寝にくいという場合は寝室をわけ、ご自身が寝やすい睡眠環境作りを行うのもいいでしょう。
3-4. 漢方薬の服用
更年期の寝汗の症状には、漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬は、乱れた心とからだのバランスを整え、不調を根本改善に導くこと。
また、漢方薬は植物や鉱物といった、自然由来の生薬をもとにして作られていて、一般的に西洋薬よりも副作用リスクが低いといわれています。毎日飲むだけなので、生活習慣を大幅に変えるのは大変という方でも、気軽に試すことができます。
寝汗対策をするには、「ホルモンバランスや自律神経の乱れを整える」「からだに潤いを補い、内部の余分な熱を冷ます」「胃腸の機能を高める」といった作用を期待できる生薬を含む漢方薬を選びましょう。
<寝汗対策におすすめの漢方薬>
・加味逍遙散(かみしょうようさん):からだのエネルギーの巡りを整えることで、からだの熱を冷まし、のぼせやほてりを軽減します。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):胃腸機能を高めて、からだに潤いを与えることで、熱を冷まし寝汗を抑えます。
スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
4. 寝汗の原因を突き止め、適切な対処を
「多汗やほてりの原因は、更年期由来のものと、それ以外の原因によるものがあるわ。とくに、甲状腺機能亢進症は症状が似ているけど、治療方法は異なるので注意よ」
えりのボスは、改めて寝汗の原因について説明しました。
「まずは病院で診てもらうことが重要なんですね。家族ときちんと話し合って、からだの不調に向き合おうと思いました」
サトミさんから、不安げな表情は消えていました。
「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」
優しい表情でサロンを去っていくサトミさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
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<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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