性交痛がつらい…それって更年期のせいかも。医療関係者が教える“40代の悩み”対策は?

コクハク編集部
更新日:2025-05-09 06:00
投稿日:2025-05-09 06:00

3. 更年期の性交痛対策はどうする?

 性交痛をそのままにしておくと、さらに症状が悪化する可能性があります。まずは婦人科を受診し、性交痛の原因が病気ではないか調べましょう。

 以下は、婦人科系疾患や感染症などが原因でなかった場合の対策方法3つです。

3-1. パートナーと話し合う

 パートナーに性交痛の原因や痛みについて話し、改善方法を探しましょう。痛みが起きにくい体位を探す、潤滑ゼリーを使用するなど、パートナーと協力することで性交痛を緩和できる可能性があります。

 また、悩みを共有して理解してもらうと、心理的要因による性交痛の解消も期待できます。

3-2. ホルモン補充療法を行う

 ホルモン補充療法は、主に女性ホルモンであるエストロゲンを補い、更年期症状を緩和する治療法です。治療方法は、飲み薬や貼り薬、塗り薬などがあります。

 更年期症状の原因である女性ホルモンの減少に対処するため、性交痛だけでなく、ほてりや動悸、めまいなどのほかの症状の改善も期待できます。

 ただし、ホルモン補充療法は乳がんや子宮がん、血栓などのリスクがあり、治療開始前にがん検診や血液検査などの準備が必要です。

 すぐに治療を始めることができず、何度も通院する手間や費用がかかる点は注意しましょう。

3-3. 漢方薬による根本改善を目指す

 更年期の性交痛には、実際に更年期外来でも処方されている漢方薬もおすすめです。漢方薬は体質の改善に働きかけることで、性交痛の根本的な解決を目指します。

 また、漢方薬は自然由来の生薬をもとに作られており、一般的に西洋薬よりも副作用リスクが低いといわれています。毎日飲むだけなので、病院よりも楽で手軽に試せるのもメリットです。

 性交痛対策には、「血流を改善して全身に栄養を届け、粘膜を強くする」「加齢により衰えた生殖器の生理機能を高める」「水分の循環をよくして膣の乾燥を改善する」といった作用を期待できる生薬を含む漢方薬を選びましょう。

<性交痛対策におすすめの漢方薬>

・加味逍遙散(かみしょうようさん):血の巡りをよくして体内にたまった熱を発散させ、さまざまな更年期症状に働きかけます。

・六味丸(ろくみがん):腎機能を高めて体内の水分バランスを整えることで、むくみやかゆみを和らげます。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

4. 性交痛対策で不安を解消しよう

「性交痛は更年期症状のひとつとして誰にでも起こる可能性があるものよ。1人で抱え込まずに、パートナーに相談したりホルモン補給療法や漢方薬を試したりしてみてほしいわ」

 えりのボスは、ミツキさんに優しくアドバイスをしました。

「痛みの原因や対策がわかって、彼にもうまく相談できそうです。本当にありがとうございました」

 ミツキさんは落ち着いた様子で、えりのボスにお礼を言いました。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 清々しい表情でサロンを去っていくミツキさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


手足が寒くて眠れない…!「冷え不眠」に心当たりない? 悪化の要因とぽかぽか快眠テク【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
食欲の秋が到来!旬の味覚に秘められた“健康”パワー。サツマイモの美肌効果に注目【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
高市首相もメイクで激変! 強そうな女→柔らかな女に印象を変える“3つの鉄則”ポイント
 第104代首相に選ばれ、今やメディアで見ない日はない高市早苗さん。かつては黒々とした力強い眉が印象的でしたが、最近では...
「生理が終わったのにだるい…」その原因、加齢じゃなくて“鉄分不足”かも。食後のコーヒーは注意して【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
夏の紫外線+秋の乾燥でボロボロ…化粧水だけじゃない「うるおい対策」で肌を守ろう【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
急に泣きたくなる…30代以降は“情緒不安定”に注意。不安定な心を整える3つのセルフケア【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
今季のプチプラは大当たり! 大人も“盛れる”目元・口元・肌の新作コスメ3選。「キャンメイク」で老け感を一掃♡
 今季のプチプラが、ものすごく「当たり!」です。コスメの進化は著しく、もはやデパコス要らずの実力!? とざわついてしまう...
女性の6割が悩む「生理前の便秘」痔やイライラ悪化の原因に? 放置せず試したい改善法4つ【医療従事者監修】
 生理前の便秘に悩む女性は、6割もいるといわれています。「でも生理が終われば治る」「便秘くらい、大したことはない」こんな...
流行りの「耳つぼジュエリーダイエット」信じていいの? 貼るだけで楽痩せできる噂の真相【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
【再現メイク】今田美桜になれるか!? 大人世代が3つのポイントを真似してみた。“への字眉”でぐっと近づく
 これまではキュートで華やかなイメージが強かった今田美桜さん。しかし今放送中のドラマ『あんぱん』では40代の役柄に挑戦し...
暑くて無理~! “ドライヤー”キャンセル界隈に捧ぐ、お風呂上りの汗だくを回避する6つの方法
 お風呂上がり、せっかくすっきりしたのにドライヤーをかけてるうちにまた汗だくに…。こんな経験、ありますよね。  髪...
30歳から「骨活」のススメ。将来の“寝たきり”リスクを防ぐため大切な3つの対策【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
健康診断でわからない「隠れ貧血」のリスク。 だるさ、イライラの原因は年齢以外にあり?【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
ブルドッグ顔におさらば! 3秒でできる若見え“メイク”テクニック。コンシーラー1本で激変するコツ【美容家解説】
 夏の疲れが、顔に出ていませんか? 鏡を見て、「なんだか不機嫌そう…」と感じるなら要注意! 年齢を重ねると、どうしても顔...
37℃の熱がダラダラ続くのなぜ? たかが微熱と放置しないで。日常に潜む「体温が上がる」生活習慣【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
えっ、納豆にタピオカも!? 実は“カロリーお化け”な食材4選。じゃあ、美容効果バツグンなおやつは?
 ダイエットの大敵といえば、「おいしい食べ物」ですよね。でも、完全に我慢するのは逆にストレス…。多くの人はできるだけ低カ...