創価学会「芸術部」は連立離脱でどう動く? 元創価学会の長井秀和氏が読み解く公明党の将来
元創価学会で、芸能人らによる「芸術部」にいた西東京市議の長井秀和氏(55)は宗教二世の立場から、学会や公明党の暗部を批判してきた。公明党はこのほど自民党との26年に及ぶ連立を解消したが、政権与党でいることで「利するところも多分にあった」とこう指摘する。
「たとえば創価学会内部で、組織的に不正投票や期日前投票の悪用が行われ、1人で最大36回投票したケースもあったと聞いています。もちろんこうした行為は公職選挙法違反にあたりますが、実際に法的処置や捜査が行われたという形跡はないに等しいんです。また、私も学会『芸術部』にいた頃、学会の本部や会館、関連施設での政治活動に駆り出され、政治や選挙活動に加担していたのですが、そうした会館の使用費用、経費など、備品にいたるまで、ほとんど何ひとつ政治活動費として政治資金収支報告書に計上したという話を聞いた覚えがない。自前の会館であれ、目的外使用にあたり、政治資金収支報告書に記載しなければならないものであるにもかかわらず、スルーし続け、それが看過されてきたのでしょう」
ーーその背景として、政権与党であることが大きいと。
「そうですね。日本の選挙活動や政治活動における資金の報告と管理は、日本の公職選挙法や政治資金規正法に基づき厳格に規定されています。選挙運動にかかわる費用は『選挙運動費用収支報告書』として、政治団体や候補者が選挙管理委員会に対して提出しなければならない。これには選挙期間中の収入や支出の詳細を記載し、一定金額以上の寄附や支出に関しては寄附者や受領者の名前や住所なども明示します。それが無視され、また、不正確な報告や未提出は処罰の対象なのに、なっていないというのは、おかしいじゃないですか」
ーー創価学会および公明党に対して、税務調査が入っていないとの批判を繰り返していますね。
「およそ年間3000億円から4000億円の資金が動く巨大な宗教団体であるにもかかわらず、過去30年以上も税務調査が行われていないんですよ。それは財務省内部に公明党の影響力が強く及んでいるためだと私は見ています。背景として考え得るのは、財務省の財務副大臣ポストを長年公明党が占めており、財務省が税務調査の公平な実施を妨げているからではないでしょうか。また、税務調査に先立ち、国税局長と創価学会・公明党との協議があると見られ、公益事業部分への手出しを避けるように暗黙の了解があるとの指摘もあります。それもこれも政権与党であったことと無関係には思えませんね」
ーーもともと公明党はクリーンで清潔な政治を目指していたはずですが。
「仰る通り。公明党は国民全体に奉仕する大衆政党であり、下駄の雪でもなければ、創価学会も公明党の理念である『大衆福祉の実現』や『民主主義の発展』を信仰の土台とし、『芸術部』も自民党の集票マシーンではなく、文化や平和への活動を主眼としていました。しかし、自民との連立政権を樹立した1999年から、ほとんど真逆へと進んでしまった。連立入り以前、89年の『横浜捨て金庫事件』がそうした流れをつくってしまったとの見方があります。学会関連の倉庫でごみとして誤って捨てられた金庫から1億7000万円が発見され、90年から92年にかけて、東京国税局から大規模な税務調査を受けたんです。それを屈辱とし、圧力を受けるのは弱いからで、政権与党になればと権力志向にチェンジしたきっかけとみられています」
■「芸術部」所属の芸能人ら約1万人も〝集票マシーン〟として使われてきた怒り、屈辱感
ーーそれもこれも、今回の政権離脱でふり出しに。
「私はいわゆる宗教二世で、大学も創価大(文学部)卒なのですが、2012年に創価学会を脱会しました。両親の死去をきっかけに、それまで封印してきた信仰への疑問や、創価学会の組織運営および選挙活動に対する不信感を抑えきれなくなったからです。今回の政権離脱によって、私と同じような二世や今も『芸術部』所属の約1万人もの芸能人らが、集票マシーンのように使われてきた怒りや屈辱感などを思い出し、立ち上がることを期待しています。ゼロからふり出しでもう一度スタートするにはいい機会だと言いたい。それは本当に間違いないと思います」
公明党の斉藤鉄夫代表は高市新首相が所信表明演説で用いた一部の表現を「独裁」と評したことについて謝罪している。党内部も、出直しへ向け、模索中のようだ。
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