では、Tさんの恋人であるFさんの本心はどうなのでしょうか。
「彼女」になってから態度が豹変
「確かにTとは、つい最近、電話で話しているときに『付き合おう』って話にはなりましたね。もともとTのことは2年くらい前から知っていて、そこまで親しいわけではなかったんですけど、コロナ禍になってからは、時間がある者同士なんとなくLINEの頻度が増えて、いろんな話をするようになりました。
それでTとは、“気が合うな”って感じたので、付き合いたいなと思ったのも事実です」
電話でお互いに気持ちを伝え合い、その日から「恋人同士」になったふたり。しかし、「付き合う」と決めた直後から、Tさんの様子がこれまでとは変わり、困惑しているというFさん。
「付き合うって話をした翌日からですね、いきなり彼女ヅラっていうか、LINEの内容がガラッと変わって驚きました。『どこにいるの? 本当に家?』『何しているの?』としつこくLINEがくる上に、すぐに返信をしないと、すぐコールをしてきて仕事の邪魔をするんです。
僕は今、テレワークで仕事をしていますが、それでも仕事中にLINEや電話がくれば、やっぱり気が散るし、仕事にも集中できません」
恋人同士であれば、互いの心のケアをし合い、安心感を与えるのは当然だとは理解するものの、あまりにも自分の存在に依存しているように見えるTさんに、Fさんは恐怖心すら覚えているのだとか。
デートもまだなのに結婚をほのめかされ
「しかも、まだデートもしていないのに、いきなり結婚にも前のめりで……。付き合って3日後くらいに、『私たち、いつ結婚する?』とLINEをしてきたときには、さすがにゾッとしました。
もちろん、交際を続けていくうちに、“この人と結婚したい”と思えれば、そのときに結婚するのは自然だと思います。だけど、電話で付き合うって話して、まだデートもしていないうちから、『いつ?』なんて聞かれても怖いだけですよ。
そういうやりとりをしているうちに、Tへの熱が冷めてしまって。付き合うって話したのに、悪いなとは思いつつ、最近はTからの連絡を避けてしまっているのも本音です」
「付き合う」と合意をした手前、あまり冷たくするわけにもいかないけれど、Tさんから連絡がくるたびに、自分の気持ちが冷めていくのを感じるというFさん。
あんなに楽しかったはずのLINEや電話も、今では着信画面にTさんの名前があるだけでユーウツな気分になってしまうほど、嫌悪感を覚えているのだそう……。
付き合ったのは間違いだったかも
「会わないまま『やっぱり違った』って言えればベストなんですけど……。今のTのテンションを見る限り、そんなことを僕が言おうものなら、取り乱して大変なことになりそうです。
正直、付き合うって決めたのは時期尚早だったなと後悔しかないですね。
今はコロナを理由にデートを先延ばしにしていますが、それでもTの気持ちが冷めないようであれば、どこかで会って本心を伝える必要があるとは覚悟しています」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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