「アリーキャット」は寝る間を惜しんでも見る価値あり!

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2021-03-30 06:00
投稿日:2021-03-30 06:00
 1日24時間という時間は、人に与えられた平等な“資源”です。みなさんには“資源”を費やしてまで、もう一度観たい作品はありますか? 筆者はフリーライターという仕事柄、取材のために年間100本以上は映画やドラマ、作品が完成していない場合は台本を読むことがあるのですが、久々に見つけました。窪塚洋介さんと「Dragon Ash」の降谷建志さんが共演した映画、『アリーキャット』です。

猫が結んだ奇妙な縁

 窪塚さん演じる朝秀晃は、ボクシングの元東洋チャンピオン。ボクシングでの後遺症に悩まされながら生きる意味を見出だせず、警備会社でアルバイトとして働いています。独身で、孤独な生活を送っている唯一の癒やしが、野良猫のマル。ですがマルが失踪してしまい、保健所に向かった玄関先で、降谷さん演じる自動車の整備工場で働く、梅津郁巳と出会います。郁巳がマルを引き取り、抱っこして現れるのです。

秀晃「マルは俺の猫だ!」
郁巳「この子は俺がリリィと名づけた。今日からリリィですよ~」

 コミカルなやり取りが続けられますが、猫を通じて郁巳(降谷さん)は秀晃(窪塚さん)を「マル」と、秀晃は郁巳を「リリィ」と呼ぶ関係に。その後、お互いに本名を呼び合わないので、「マル」と「リリィ」として作品を楽しんでください。

 マルは市川由衣さん演じる元恋人にストーキングされているシングルマザー・土屋冴子のボディガードを請け負います。その場に居合わせてストーカーを殴ってしまったリリィも一緒に行動することになり、3人で東京へ。マルとリリィはバディ関係になります。

『池袋ウエストゲートパーク』の“キング”を思い出す逃走シーン

 以降は、バディ×ロードムービー×ストーカー×リベンジポルノ×ドラッグ×汚職×殺人など、内容がてんこ盛り。冴子が隠している事情によりマルとリリィ、冴子と冴子の過去の同僚(柳英里紗さん)が池袋を逃げ回るシーンは、TBS系ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(IWGP)を彷彿とさせ、“キング”を思い出す人もいるかもしれません。

 圧倒的な存在感を放つ窪塚さんがいてこそ本作が成立するのですが、降谷さんの熱くてやさしい、天然エッセンスが入ったお芝居も秀逸。撮影中は品川庄司さんに“新人俳優”とイジられたそうですが、窪塚さんからは「建志くんは懐が深くて、僕らにフルオープンハートで接してくれたから、純度と温度を上げていける現場になった」と評しています。一見、コワモテに見えますが実は降谷さんの親しみやすい人柄が、役に反映されたとも言えそうです。

女も見惚れる市川由衣のサービスショット

 筆者は本作で、窪塚さんと降谷さん以外にも、市川由衣さんと火野正平さんにも注目。市川さん演じる冴子はヒロインではありますが、泥水をすすってきた女性。“サービスショット”が満載です。「どうしたらこんなスタイルを維持できるのか」と、尊敬の念で見入ってしまいました。冴子が“サービスショット”中のまま、マルが冴子に言った「一生の選択は、いつも一瞬だ」という台詞にも、考えさせられるものがありました。今この瞬間も、なにをするかしないかは、選択の連続。「後悔しない人生を送るために今できることはなにか」と、短い台詞に胸をえぐられたのです。

火野正平の「昭和の色気」がたまらない

 登場シーンは少ないものの、火野正平さんの存在感はほかの役者さんには出せないほど重厚。役柄としては色気が必要ないのに、“昭和の色男”や“元祖プレイボーイ”と呼ばれた色気を放っています。低音ボイスと相手を思いやりながらも恐怖心を与えるお芝居が、作品をピリッと引き締めています。

 コロナ禍でも緊急事態宣言が明けた地域が多いですが、おうち生活は長引きそうです。自宅ですごすひとときに鑑賞してみては。本作は賛否両論ありますが、筆者はすでに2回鑑賞しました。仕事以外でいつか、もう一度鑑賞する予定です。

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

エンタメ 新着一覧


【今日のおむすびにモヤっと】当日いきなりスコッチエッグの無謀。鶏ひき肉と卵、大量に仕入れていた?
 愛子(麻生久美子)が置き手紙をして家出したため、ヘアサロンヨネダでは聖人(北村有起哉)がてんてこまいに。一方、社員食堂...
桧山珠美 2024-12-19 17:48 エンタメ
パワハラ系上司役・三宅弘城の演技が達者すぎる? 右肩異変の翔也は病院に行くべし!
 結(橋本環奈)が立川(三宅弘城)に食堂のメニューの見直しを提言。すると、立川は小娘の言うことを聞くぐらいなら辞めると言...
桧山珠美 2024-12-17 16:30 エンタメ
【写真特集】デビューは12歳! 辻希美のまだまだ子供体型なモーニング娘。時代も
【この写真の本文に戻る⇒】 娘デビューの辻希美、すべては計算通り? アンチの「なんかムカつく」を金に換えるブログの錬金術...
娘デビューの辻希美、すべては計算通り? アンチの「なんかムカつく」を金に換えるブログの錬金術師
 モーニング娘。OGのなかでもトップクラスの活躍を続けている辻希美。ブログの炎上女王として儲けまくり、とんでもない財を築...
堺屋大地 2024-12-17 06:00 エンタメ
いよいよTBSに風が吹く!? 自社番組でも愛され“芸は身を助く”なアナたち…赤荻歩、南波雅俊両アナ覚醒
 入社当初は、父親が政治家(元厚生労働大臣の田村憲久衆院議員)ということもあって、どうせ鼻もちならないお嬢様に違いないと...
【おむすびのモヤっと】モリモリの“不倫エピ”本当に必要だった? やっぱり結は星河電器の社食に就職
 結(橋本環奈)は神戸の繁華街で、モリモリこと森川(小手伸也)が見知らぬ女性と親しくしているのを発見。翌日、沙智(山本舞...
桧山珠美 2024-12-14 06:00 エンタメ
【おむすびのモヤっと】面接で敬語使えず、パラパラ? NHK制作陣、ギャルへの愛はあるんか
 結(橋本環奈)は専門学校の2年生になり、本格的に就職活動を始める。社会人野球をやっている翔也(佐野勇斗)を支えるために...
桧山珠美 2024-12-10 12:20 エンタメ
草彅剛、ジェシーらは「演技が下手」なのか? 棒読み俳優がドラマで重宝される理由を解説
 趣里さん主演『モンスター』(カンテレ/フジテレビ系)に出演するSixTONESのジェシーさんの演技が「棒読み」であると...
【おむすびのツボ!】演技派・緒形直人の泣ける墓前シーン。「ポケベルが鳴らなくて」の緒形拳が重なった!
 こども防災訓練の打ち上げがヘアサロンヨネダで行われ、さくら商店街や結(橋本環奈)が通う栄養専門学校、そして米田家の面々...
桧山珠美 2024-12-10 12:19 エンタメ
『おむすび』結と翔也の交際は「プロ野球選手と結婚=チャラい女」に対するアンチテーゼでは?
 橋本環奈さん演じるギャルの主人公が、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”という触れ込みのNHK...
ミポリン超名作とイケメン俳優たち。中山美穂さんはドラマ初出演で「オレ」ブームを巻き起こした
【燃えよ!イケメンファイル~特別編】  中山美穂さんが急逝したニュースには驚きました。享年54。美人薄命とは言いま...
【朝ドラおむすびのモヤっ】美佐江発言の矛盾とナベさんの心変わりはなぜ? “見せ場”スルーが残念すぎる
 結(橋本環奈)は、明日のこども防災訓練用の炊き出し準備を終えて、家で愛子(麻生久美子)とホッとするが、そこに聖人(北村...
桧山珠美 2024-12-10 12:19 エンタメ
【写真特集】綾瀬はるかの美し過ぎるデコルテ♡お手本にしたいデニム姿も
【この写真の本文に戻る⇒】綾瀬はるかとジェシーに無期限「結婚白紙」報道…アラフォー女性、相手に見切りをつけるタイミングは...
“おむすびチン”結の脅威の記憶力は、おばさんとの再会フラグ?
 結(橋本環奈)は、美佐江(キムラ緑子)に真紀の父親・孝雄(緒形直人)と仲直りをしたらと言うが、美佐江は大人はそう簡単じ...
桧山珠美 2024-12-05 16:45 エンタメ
【写真特集】後藤真希、幼さが残るアイドル時代。華奢な身体が目立つキャミワンピース姿も
【この写真の本文に戻る⇒】 後藤真希の「美ボディ」写真集に騒然。世間を驚かせた「平成のアイドル写真集」を振り返る
後藤真希の美ボディ写真集に騒然。世間を驚かせた「平成のアイドル写真集」を振り返る
 11月29日に発売された後藤真希(39)の写真集『flos』(講談社)が話題だ。デビュー25周年を記念して出版された同...