祝福に花束を「復興の御礼とおもてなし」のビクトリーブーケ

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-07-28 13:05
投稿日:2021-07-28 06:00

ビクトリーブーケって何ですか?

 表彰台の上で選手が手にしている花束を「ビクトリーブーケ」と呼びます。ビクトリーブーケがオリンピックで使用されるようになったのは、1984年のロサンゼルス大会からだと言われておりますが、実はビクトリーブーケは「花の調達が困難」などの様々な理由でオリンピックの表彰台から消えた時期が一定時期ございます。代わりに、腐ることなく自国に選手が持ち帰ることができるオブジェが副賞となっておりました。

 記憶にあるのは、男子体操の団体戦で金メダルを獲得した選手の1人が、副賞のオブジェを見ながら「歯ブラシ立て?」と表彰台でこっそり隣の選手に質問していた爆笑シーンが話題になったものですが、今大会は2012年ロンドン五輪以来、冬季大会も合わせれば3大会ぶりにビクトリーブーケが大復活!  

 メダル獲得の選手たちが、ビクトリーブーケを喜びの声とともに天高く掲げている姿は、やはり絵になる光景でございますよ。

 そんなビクトリーブーケ、今大会ですっかり「置いてけぼり」になってしまっていた“最初の大会目的”をきっちり守っていることをご存知でしょうか?

ビクトリーブーケの花材が持つドラマ

 それは「東日本大震災復興オリンピック」と「おもてなしの国 日本」を世界に知らしめること、でございます。

 今回のオリンピック・パラリンピックに採用されたビクトリーブーケに使用されているお花は、震災被災地「宮城」「岩手」「福島」の3県が誇る4種類のお花と、開催地「東京」が生産している花材が使用されております。

 使用される花材が採用された理由には、それぞれのドラマがございます。

エンブレムカラー「藍」と同じ色の「リンドウ」

 まずは東京大会のエンブレムカラー「藍」と同じ色のリンドウは「岩手」でございます。

 花言葉が「勝利」のリンドウ。その国内生産量の過半数を誇っているのが「岩手」なのでございます。

「勝利」というリンドウの花言葉も、勝者に相応しいお花でございます。

「トルコキキョウ」に込められた「福島プライド」

 黄緑色の美しい大輪のトルコキキョウは「福島」でございます。

 震災までは農作物を育てていたのに福島原発被害を受け、避難や風評被害により立ち行かなくなった農家さんたちが、未来への活路を見出して取り組んだのが花栽培でございました。

 ワタクシたち花業界の人間でも、今の福島の「トルコキキョウ」の質の良さは、本当に驚嘆の一言でございます。今や県をあげて取り組んでいるトルコキキョウの栽培は、トルコキキョウの花言葉「希望」そのまま、新しい「福島プライド」になっているのでございます。

復興のシンボル「ひまわり」

 そしてオリンピックではひまわり、パラリンピックではピンクバラを生産しているのは「宮城」ございます。

 宮城だけではなく各地に甚大な被害をもたらした津波は、たくさんの命を奪ってしまいました。そんな津波に襲われて全生徒7割の死亡・行方不明者を出した宮城県石巻の大川小学校。子供たちが避難しようとめざした学校裏の丘に亡くなった子供たちの親たちが植えたひまわりは、亡くなってしまった子供たちの代わりとなって成長して遺族の悲しみを癒し、今では種となって各地に復興のシンボルとして広まっております。 

 そんな被災3県が震災から見事立ち上がり、あの時世界中からいただいた支援への感謝の気持ちを、ビクトリーブーケに形を変えてお礼をしている、というわけなのでございます。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


【動物&飼い主ほっこり漫画】第103回「みんなで百物語ニャーン!」
【連載第103回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「鎌(カマ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
40代、気づいたらぼっち…まぁ、仕方がない3つの理由と“新しいつながり”の見つけ方
 40代を過ぎてから「友達が減った」と感じていませんか? 学生時代に親友と呼べるほど仲の良かった友達でも、気がつけば年賀...
メン地下「推し活」でメンタル崩壊、ストーカー寸前…沼りすぎた女たちの壮絶リアルな体験談
 いろんな意味で話題の「メン地下(=メンズ地下アイドル)」は、激しいハマり方をする女性ファンが多いことでも有名です。 ...
義母からの過干渉が「上司より怖い…」30歳新妻を追い詰めた“凶器”のようなLINE
 私の友人ユリ(30歳・事務職)が結婚して半年。幸せいっぱいの新婚生活を想像していた彼女を待っていたのは、思わぬ“監視網...
やってもた! 買って後悔した“便利グッズと家電”無駄遣いエピソード。バナナケースってマジで何で買った?
 今日も日本中で便利グッズや便利家電が生み出されています。でも、中には便利なはずなのに使ってみると「絶対いらないわ…」と...
マイメロがちょこん♡ 100均の“ワッペン”で服がめちゃ可愛くなった! 芸能人もハマる、手芸が密かなブーム?
 もともと裁縫が好きで洋服や小物を作るのを趣味としていたのですが、引越しのタイミングでミシンを仕舞い込んでから、すっかり...
おばば軍団から聞いた不思議な話。植物のパワーって本当にある? 花屋おすすめの“魔除けになる”飾り方
 ワタクシはいわゆる「スピなお話」が「都市伝説」関連と合わせて大好物でございます。  仕事柄、葬祭や宗教関係の方々...
姑の「無事でよかった」にウルッ…。義母からの“心に染みた一言”4つ。「うちの宝よ」って照れくさいなあ!
“姑”と聞くと「うわぁ…」とマイナスなイメージが浮かぶ人もいるかもしれませんが、素敵な姑も存在するもの。そんな姑をもつ女...
猫さま「ただ受け止めよ…」風に身を任せる“にゃんたま”のありがた~い説法が聞こえる?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
スター猫ににゃんたま総長まで。個性的なモフモフが大集合! 秋に愛でたい8連発♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 2025年8月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかし...
中年の“集中力”はどこに消えた? 若い頃と「同じ脳じゃない」と気づいた私の小さな工夫
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
なんで全部マネするの?次男の妻が意味不明…悩む57歳義母が見つけた意外な突破口
 かつての嫁姑問題といえば「同居」や「家事」、「子育て」をめぐる衝突が定番でした。しかし令和の時代を迎え、別居が当たり前...
“イヤホン女子”は狙われる? 知っておきたい夜道のNG行動と自衛テクニック
 悲しいことに、女性をターゲットにした物騒な事件が続いています。日頃から防犯意識を高め、対策をしておきましょう。今回は特...
で、出た~! 絶対に謝らない奴らのお通りだ。友人・職場・恋人のトンデモエピ7連発。逆切れに納得いかない…
「明らかにあなたが悪いよね?」という場面でも、絶対に謝らない人、いますよね。素直に「ごめんね」の一言を言えば済む話なのに...
私だって一人になりたい! 家族は大切だけど…ママが「自分時間」を確保する工夫と伝え方6つ
 夫や家族と過ごす毎日は幸せいっぱいだけれど、たまには「ひとりになりたい」と感じることってありますよね。特に、小さな子供...