夫と入籍し続ける意義を見つけられなくなった女性が選んだ道

並木まき ライター・エディター
更新日:2021-08-06 06:00
投稿日:2021-08-06 06:00

籍を入れ続けることに疑問

 もともと“ドライな夫婦生活”を送っていたと口にするKさん。新婚当初からベタベタとした関係はなく「夫とは、“家庭”という会社を経営する仲間みたいな関係でした」と言います。

 そして週末婚のバランスが崩れ始めてから、夫婦として居続けることに疑問が生じ始めたのだとか。

「長期に渡って会わない生活が当たり前になったときに、こんな環境で夫と籍を入れ続けておく意味ってなんだろう?と考えちゃったんです。

 ウチは共働きだったこともあって、最初から生活費も完全に別々でしたし、子どもをつくる気もなかったので、結婚はお互いの“好き”って気持ちだけでスタートした関係。

 コロナ禍になって完全に別々に暮らしてみて、相手への“好き”って気持ちすらも疑問が生じたときに『このまま籍を入れておく先にあるものは?』ってなったんです」

 夫に素直な気持ちを打ち明けてみたところ、夫もまったく同じことを考えていたとのこと。数カ月はふたりでその答えを模索してみたものの、結果として明確な答えが出ることはなく、それどころかふたりのあいだには、どんどんと精神的な距離が広がっていくのを感じたとKさん。

関係をフラットにすることに

「“子はかすがい”って本当だと思います。夫婦なんて他人なので、繋ぎ止めるものがなくなったときには、存在している意義すら疑問になってくるものなのだと痛感しました。

 ウチは急いで離婚をする必要はなかったけれど、そんな関係を続けているうちに、日に日に『このまま籍を入れていても、その先には何もないんじゃないか』って気持ちのほうが強くなりました」

 ほかに気になる異性が現れたわけでもなく、夫への嫌悪感があるわけでもなかったKさん。しかし「夫婦」という形で居続けることには、強い抵抗を感じ始めたのだそうです。

「“夫婦”って、お互いにお互いへの責任が生じますよね? あのときの関係がずっと続くうえで、相手への責任だけが生じるのはなんか違うなって感じたのが、離婚の最大の理由です。

 友人に話すと『そんなことで離婚したの!?』って驚かれることもありますけれど、私たちにとっては大問題だったんですよ。お互いの年齢的に、お互いの親の介護だって時間の問題だろうって思っていましたし、こんな関係で法律婚を続けていたら、最後はお互いに憎しみあったり負担になったりするだけなんじゃないかなって。

 それならば、一度は関係をフラットに戻したいと提案したところ、夫にも快く了承してもらえたんです」

環境でのベストを選びたい

 “離婚”と言っても憎しみあって別れたわけではないので、Kさんたち元夫妻は、今でもたまにLINEで連絡を取り合う関係が続いているのだそう。本人いわく「本当に“紙切れ1枚”の話でした(笑)」と言います。

「コロナ禍がなければ、離婚していなかったかもしれないなとは思いますね。だけど、時代がこんなふうになった以上は、その環境でのベストを選びたいというのがありますから。

 籍を抜いた今のほうが、夫とは本音で話せるようになりましたし、お互いに法的な責任を背負っていない関係だから気楽です。親にも周囲にもあまり理解されませんが、自分たちが納得して選んだ関係性なので、とても満足しています」

 ◇  ◇  ◇

 コロナ禍は、潜在的に存在していた男女の問題を、残酷とも言えるまでにあぶり出しています。異常事態でありながらも、ニューノーマルでもある今のご時世には、これまでとはまったく異なる男女模様も散見されます。コロナ禍によって、男女の恋愛観や結婚観も大きく揺らいでいるのが現実なのではないでしょうか。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ラブ 新着一覧


“リアル恋愛話”5選。年下男子が40代女性からの誘いに「即OK」するデート先とは?
 ひと昔前の時代と比べると、最近はドラマや漫画のストーリーで年下男子との恋愛が描かれることが増えました。でも、オトナにな...
「社交辞令でも嬉しい…」“全国TOP5”の女風セラピストとDMで、甘いやり取りを楽しむ
 パートナーなしの50歳独女ライター、mirae.(みれ)です。48歳で意を決して女風を体験しセックスの気持ちよさを知っ...
mirae.(みれ) 2024-11-20 16:32 ラブ
俺の美学は高級店を「最低価格」で楽しむこと。自称“ひねくれ者”の57歳男の主張
「冷酷と激情のあいだvol.215〜女性編〜」では、高級志向なのにセコい振る舞いをする恋人トシオさん(57歳・仮名)との...
並木まき 2024-10-05 06:00 ラブ
直売所でも飲食店でも「最安価」しか選ばない。恋人のドケチっぷりに結婚前提交際をためらう47歳女
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2024-10-05 06:00 ラブ
不倫は悪なのか。作家・鈴木涼美氏が提起する日本の結婚制度の限界…それでもなぜ結婚する?
『不倫論――この生きづらい世界で愛について考えるために』(平凡社)を刊行した作家・鈴木涼美氏とともに、現代女性における「...
ミクニシオリ 2024-10-06 17:31 ラブ
作家・鈴木涼美氏と考える 現代女性の不倫リスク「不倫って気づいたら巻き込まれているもの」
 朝スマホを開くと「またか」と思うくらい、1年に何度も芸能人の不倫ニュースを見かける。いくら有名人とはいえ、特に当人と面...
ミクニシオリ 2024-10-05 06:00 ラブ
“冬季五輪夫婦”上村愛子&皆川賢太郎離婚の衝撃。「円満離婚」するカップルは揉めてないのは本当か?
 フリースタイルスキー・モーグルで五輪5大会連続入賞の上村愛子(44)が2日、自身のインスタグラムを更新。アルペンスキー...
一児の母で現在妊娠中。「それでも抱かれたい…」35歳英会話講師の不倫欲 #1
 世の中の不倫などもはや珍しくもないが、それが「一児の母であり、現在妊娠中」の場合、人としていかがだろう? 今回、取材に...
蒼井凜花 2024-11-08 15:05 ラブ
【アラフィフ婚活】60男より58歳男がいいけど…オンラインデートでドン引き、老舗相談所にも疑心暗鬼
 アラフィフでの婚活は60代以上からの申し込みが多く、同世代とはなかなかマッチングしないとも言われています。  結婚相...
内藤みか 2024-10-03 06:00 ラブ
最強の愛され女性がやらないこと7選。彼から「追われる恋」希望なら試す価値あり
「彼に愛され続けたい」「追われる恋愛がしたい」と思う女性は要チェック! 今回は男性の意見を交えながら、愛され女性がやらな...
恋バナ調査隊 2024-10-03 06:00 ラブ
アリバイ写真で墓穴掘ってるよ。浮気する男のしょーもない弁解&ごまかしLINE6選
 LINEは浮気がバレてしまうきっかけとなることが多いようで…。今回はパートナーが浮気をごまかすために送りがちな、バレや...
恋バナ調査隊 2024-10-02 06:00 ラブ
熟年離婚を今から防ぐ方法。子どもありきの夫婦になっていませんか?
 離婚件数のうち、20%〜30%は熟年離婚が占めているということをご存知ですか。子どもが自立したタイミングで、長年連れ添...
恋バナ調査隊 2024-10-02 06:00 ラブ
ケチと節約は紙一重。ドケチな彼氏のドン引きエピ7選から学ぶこと
 節約とドケチは紙一重です。自分では「節約」だと思っていても、周囲がドン引きするようなドケチになってしまっている人も…。...
恋バナ調査隊 2024-09-30 06:00 ラブ
「飲み屋の女にハマったせいで借金が」49歳男性がラブホデートを続ける切実な理由
「冷酷と激情のあいだvol.214〜女性編〜」では、交際半年ほどになる恋人とのデートが、いつもラブホテルなのに強い不満を...
並木まき 2024-09-28 06:00 ラブ
「40代半ばで毎回ラブホデートなんて…」自分は安い女? 惨めさを募らせる44歳女性
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2024-09-28 06:00 ラブ
内田有紀の“公私相棒”柏原崇に注目。夫が妻をサポートする「裏方でもイイ男」と出会うには?
 女優の内田有紀(48)がトークバラエティー「だれかtoなかい」(フジテレビ系)に出演し、交際中とされる元俳優の柏原崇(...