いつもより美味しく感じる
すすきのボーイとスクランブル交差点のTSUTAYAで待ち合わせる。お腹が減っていたので、まずはご飯を食べることになった。街コンでは鍋が出たのだが、彼(すすきのボーイ)と夢中で喋っていたためまったく食べてない。といっても、もう11時なので開いてるお店は居酒屋ぐらいしかないか……。
と、期待薄でスマホで検索して朝まで営業(深い意味はないっす)のもんじゃ焼き屋を提案すると「ぜひ行ってみたいな」と爽やかな笑顔で微笑んでくれた。
もんじゃ焼きやお好み焼きは、何気ないキャベツの焼き方や、その過程での手さばきで、日頃料理をどれぐらいこなしてるかが一目瞭然だ。過去のもんじゃ焼きデートでは、男性に華麗なるヘラさばきに魅せられ、と同時に圧倒されたことがあった。それ以来、なんとなく苦手意識を抱いていたのだが、このお店では出来上がった状態でも提供してくれるので、とりあえず一安心。いいお店だ。
すすきのボーイは童顔だがお酒は飲める口で、ビールを飲み終わると熱燗をやり始めた。北海道での仕事の話や趣味の話、札幌のおすすめスポットなどを事細かに教えてくれた。趣味はカメラとのことで、いままで行ったいろんな場所の写真を見せてくれた。構図的にはあまり巧くなかったが、旅行と自然が好きなのは伝わってくる。殺伐としたビル群の隙間で生まれ育った私とは対照的に、自然豊かな大地で健康的に育ったんだなぁ。と、微笑ましい気持ちになった。
もんじゃ焼きを食べ終わると、「話していて楽しかったから、明日かあさってまた食事に行きたい」と誘ってくれた。
じゃあ今日はもう遅いからと解散し、ご機嫌で家路についた私だったが、彼から連絡が来ることは二度となかったーー。
友達すらできなかった…
<あんまり女に、からかわれつづけて来たせいか、女からどんな哀れな身の上話を聞かされても、みんないい加減の嘘のような気がして、一滴の涙も流せなくなっているのだ>(太宰治「メリイクリスマス」より引用)
ねえねえねえねえ、聞いた!? 聞いたよね!?? また一緒にごはん行きたいって言ってくれたよね!?? イチオシは!?? すすきのは!?? 行かないの!?? なんで!???
何のための街コンだったんだよ……。ショックが大きすぎて太宰の一節が浮かんじゃったじゃないか。てかアナタは一体何しにここにきたの? 暇つぶし? 私の何がダメだったのか帰る前にレビュー書いてもらっていいですか!? つか私が閻魔大王だったら確実に地獄行きだからな! 覚えとけよ!!
もうこんな茶番やってらんないよ。これは一体なんの修行なんだよ。街を歩くカップルの存在自体が不思議に見える。嫉妬という感情の目盛りが振り切れて、全員不倫か浮気カップルにしか見えない……。まあせいぜいTRUE LOVE貫いてくれよな。
砕け散った私の心は人間不信に陥り、ある一つの考えに辿り着いた。そう、すべては幻想だと思うことにしたのだ。幸せそうに微笑み合うカップルも、一向に彼氏が出来ない私の存在自体も……。
果たしてこの無間地獄から救い出してくれるオトコに出逢える日は来るのだろうか。
イライラ度★★★☆☆
(次の街へつづく)
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