花屋が伝える…ペットを亡くした知人の悲しみに寄り添う方法

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-09-22 06:00
投稿日:2021-09-22 06:00

花屋にやってくるペットを亡くした人たち

 元気だったのにある日突然別れが来た方も、長い闘病で別れの時がやがて来るということがわかっていた方も、共に暮らしてきた大切なペットが亡くなってすぐには、みなさん一様に「永遠の別れ」という現実を受け入れられていないように思われます。

 そして、花屋にお花を買いにいらっしゃるのが、だいたいこの「亡くなってすぐ」の状態の時期。

「死んでしまった」事実を心に落とし込んでいないから、「死んじゃったから花を買わなきゃ」という別の意識が働いて、お花を買いに行く気力が残っている状態でございます。

 時間の経過とともに「ペットにとって自分は無力」という自責の念にかられ、悲しみや怒り、後悔がまるで大波のように次々とやってきて、猛烈に悲しく溢れ出る涙を止められなくなります。 

 無気力、食欲減退、不眠など精神的・肉体的に参ってしまっても、やがてペットの死を受け入れ、喪失感や悲しみとうまく折り合いをつけて無事に心の健康を取り戻せる方がいらっしゃる反面、この状態から抜け出せず、そのままペットロスト症候群(ペットロス)になってしまう方もいらっしゃいます。

 悲しいことですが、ワタクシの店のお客様にもペットロスになってしまった方が多いのでございます。中にはペットとの楽しかった日々を思い出すと一緒に過ごした家にいることが耐え難く、お金が尽きるまで長期間ホテル暮らしをなさっていた方もいらっしゃいました。

 もはやペットの死は、たかが動物の死ではございません。「大事な家族の死」なのでございます。

知人のペットが亡くなった場合

 友人として何をしてあげられるのか。できることは全部してあげたい。

「ペットを亡くして悲しんでいる知人を慰めてあげたいけれど、具体的にどうすればいいの?」

 そんなご相談で花屋にやってくるお客様も、実は珍しくないのです。

「慰めの言葉ってなんて言ってあげるのがいいの?」

「何をしてあげるのがいいの?」

「やっぱりお花をあげるのがいいの?」など、質問はさまざま……。

 そこで以下の5つを心がけてご質問にお答えさせて頂いております。

1. お悔やみの言葉をかけてあげる

 アナタの大切な家族がある日亡くなってしまったことを想像なされば、言葉選びはしやすいのでございます。電話やメールなど、いち早くお悔やみの言葉をかけることも大事。

 ここでのNGワードは「元気出して」や「そんなに泣くと◯◯ちゃん成仏できないよ」「もっと早くに対処していれば死ななかったかも」など、飼い主が悲しむことをやめる方向へ促す言葉や、相手の気にかけているポイントを突く言葉でございます。

 家族が亡くなれば、すぐに元気が出るわけがありませんし、“死んでしまったのは自分のせいかも”と自分の無力を責めているかもしれない人に「成仏することすら邪魔をしている」などと言うのは、罪を責めることと同じことでございます。

2. 相手の望むことをしてあげる

 亡くしたペットのためにお花を買いにやってくる飼い主さんの中には、ペットの話をひたすらお話になる方も多いのですが、そんな時ワタクシはお客様の気が済むまでお話を伺うようにしております。

 もちろんそんな方ばかりというわけでもないので、お花だけサクっと買って帰られる方もいらっしゃいます。

 話をしたい方、黙ってそばにいて欲しい方、要は喪失感に苛まれているアナタの知人が何を望むのかを想像なさることが大事だということでございます。

3. お花をあげる

 相手に気を遣わせない最適ご予算は、だいたい¥2,000~¥3,000くらい。花束でも良いですが、フラワーアレンジメントや長く残るプリザーブドフラワーもオススメ。

 まだご遺体が火葬前の場合、荼毘にする前のお別れ花としてペットのお棺の中に入れるお花という選択肢もございます。

 アナタが直接お持ちになる場合は、そのタイミングで慰めのお声かけを。配達や宅配などを手配なさった場合は、メッセージカードでアナタからの慰めの言葉を付けることをオススメいたします。

4. 差し入れをしてあげる

 元気のないときには、食べることが元気を取り戻すきっかけにもなるかもしれません。

 甘いものや飼い主さんの好きなものを差し入れにするのも良い方法でしょう。

5. 悲しみに寄り添ってあげる

 これが一番大事でございます。

「寄り添ってあげたい」というアナタの気持ちが起こす行動や言葉は、自然と相手の心に染みて、悲しみに暮れる飼い主さんにとって立ち直るきっかけになるかもしれません。

 相手を思う気持ちが肝要なのでございます。

自分が立ち直るための花

 ペットが亡くなった後、ありし日のペットの写真にお花を手向け続ける飼い主さんは割と多いのでございます。

 最初は亡くなったペットへの”祈りの花”だったものが、やがて”自分の心のリハビリ”のためへと昇華なさったのだと、会話の中で気付かされる場面にたびたび遭遇いたします。花の選定は、亡くしてしまったペットのイメージで決められていきます。

「花の水を換える気力も無かったけれど、◯◯ちゃんの写真に花を飾るようになったら、◯◯ちゃんがすごく可愛く見えて、次の花を考えることが待ち遠しくなった」「◯◯ちゃんの花の世話をすることが◯◯ちゃんを介護している気分になって、花を触ると嬉しくなる」とおっしゃる方までいらっしゃいます。

 亡くしてしまった大切な家族を柔らかく可愛らしい花の中に見ることは、亡くしたペットといつか再会できる希望をうたったアメリカの散文詩『虹の橋』と同じく、ペットロスからの解放のきっかけになっているのかもしれません。

 虹の橋のたもとでまた会う日まで。

 飼い主さんがそう思えるまで、お花には頑張って働いてもらいましょう!

 きっと今日も、泣きながら花屋にやってくる方がいらっしゃいます。

 泣くだけ泣いて、いつか笑ってご自身のための花を求めにご来店なさる日がやって来ることを……遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


は? 遅刻するのは「待たされたくないから」!? 常習者の謎ムーブ5選。待たされる気持ちにもなって!
 人と待ち合わせをしたら時間を守るのがマナーです。でも、中には約束時間を守れず、毎回遅刻してくる人も…。今回は、毎回のよ...
あれ?誰とも喋ってない… 「コミュニケーションにはお金がかかる」という現実。孤独と戦うおばさんの生存術
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
「普通が得する時代に…」キラキラネーム世代が陥る“名付け疲れ”。唯一無二の名前=愛の証だった時代の功罪
 キラキラネーム、シワシワネームなど年代によって“名前”の傾向が異なります。名前が“社会的ラベル”になる現代では、名前を...
「あと10分」で4時間待ち!“遅刻”擁護派の私がキレた瞬間。やっと来た友達の信じられない一言
 みなさんは友人間での“遅刻”について、どう考えますか? 遅刻で友情に亀裂が入ったという衝撃エピソードを、みなさんにも共...
なんで“未読スルー”するの!? LINEの返信トラブルあるある。ガン無視される理由、あなたにあるかも…?
 LINEを送っても未読のまま返信がなかったり、それまで盛り上がっていたグループLINEの会話が止まったりすると、「嫌わ...
なんて見事な“にゃんたま”…!毛繕い中のねこ様がひょいっとポージング♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「渡鬼」のよう? 娘の子どもは特別扱い、息子の子どもは…母の“孫びいき”が生んだ深い分断
 娘の孫には深く関わり、息子の孫には一歩引く――。家庭に潜む「実家びいき」と「孫差別」の背景とは?
【動物&飼い主ほっこり漫画】第106回「コテツ妖精になる」
【連載第106回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「秒(ビョウ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「気づかなかった」って本当? ズルさを感じる“忙しい”アピLINE3選。それ、やりたくないだけでしょ!
「忙しい」とアピールされたら、相手に少なからず遠慮したり気を遣ったりしますよね。しかしその心理を利用して、あえて忙しいア...
断捨離、終活…「モノを持たない」って本当に幸せなのか? 65歳童貞が提唱する“ミニマリスト”と真逆の生き方
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
お前はアイドルグループか? 更年期の味方「HRT」との出会い。婚活ぐらいマッチングが難しいやつめ
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
“にゃんたま”族が大行進!「おいしいオヤツはどこにゃ?」思わずシッポがピン♪
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ひとりって、寂しいですか? アラフィフ独女が思う“一人旅”の幸福論。「誰にも気を遣わない時間」はなんて楽しいんだ!
 20代からひとり旅を続けてきた私。気づけば、誰かと一緒よりも「ひとり」でいるほうが、ずっと自分らしくいられる気がしてい...
可愛い顔して暴れん坊!“良縁を結ぶツル”の凄まじい繁殖力と開運パワー。室内で楽しむのもオススメ
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋は、神奈川の片田舎でお商売をさせていだいておりますゆえ、応援してくださる農家さんもすぐ近...