養育費ってどうしたらいい? シンママ先輩から聞いた賢い知恵

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2021-12-20 17:03
投稿日:2021-12-14 06:00
 はじめまして。シングルマザー3年目の孔井嘉乃です。私には、6歳になる息子がいます。
 家庭の事情はそれぞれあって、離婚に至った経緯なんて誰とも分かり合えません。でも、「シングルマザー」になった女性に共通する思いは、きっとあると思います。
 まだまだシンママ歴が浅い私ですが、日々の中で感じていること、自分の中で消化したこと、解決していないこと、そんなことをこの連載「シングルマザーもいいじゃない」で、綴りたいと思います。

「養育費」ってどうしていますか?

 未成熟子がいる夫婦が離婚する時、「養育費」について考える機会があるでしょう。この「未成熟子」とは、“経済的に自立していない子供”のこと。

 私の周りのバツイチ、バツニ男性たちに聞くと、「俺は払っているよ宣言」をしてくるものの、実際のところどうなのでしょうか。

 実は、養育費を元夫から受け取るシングルマザーの割合は、24.3%というデータがあります。(参考:厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査結果報告(平成28年度)」)もちろん、元夫と関わりたくなくて「いらない」と思うケース、元夫に支払う能力がないケースなども含まれているでしょうが、その中にはもらいたいのに支払ってくれないという家庭もあるはずです。

 養育費は親権を持たないほうの親も負担しなければならない「義務」だと法律で定められているのに、なぜ? そもそも、義務を放棄している男性方は、どんな心境なんでしょうかね。なんだかよくわからない世の中です。

公正証書を作るor作らない?

 そんな私はというと、この連載の7話目でお伝えしたように、離婚前から「養育費をあてにしたくない」という気持ちで、受け取るor受け取らないについて、深く考えていませんでした。

 離婚時に役所で公正証書の作成を勧められた時も、そんなものがあることをはじめて知りましたし、「これ以上、元夫と話し合いをしたくないし、作らなくていいか」くらいの考えで、作りませんでした。

 この「公正証書」とは、簡単に言うと“養育費の支払いを強制執行できる”ほどの効力がある証書のこと。もとより、元夫は養育費を少なからず払うつもりでいたようでしたし、それに「もしも払わなかったら、それまでの男性、そしてパパだったんだろう」と、私は納得できると思っていたのです。

 でも、そんな考えは、あるシングルマザーの先輩と話した時に一変しました。

「父親から愛されているという証拠になる」

 尊敬するシングルマザーの先輩と、離婚直後にお会いする機会がありました。さまざまな話をする中で、「養育費はちゃんともらえるの?」と聞かれました。

「なんとかやっていけそうだから、あまり考えていません」と言うと、「それはだめよ! たとえ月々5千円だったとしても、しっかりもらいなさい」と。そして、「養育費は父親から愛されているという証拠になるから」「あなたのためじゃなく、息子さんのためよ」と。

 その頃は離婚直後で、面会日ですら億劫に思っていた私。さらに養育費というと、元夫となんだか金銭でつながるようなイメージがなんとなく嫌で、「もらわなくていいか」という気持ちでいました。でも、それは、私個人の気持ちでしかなかったことに気が付いたのです。

 愛情はお金で買えないとよく言いますが、親権を持たない、戸籍上もはや他人となったパパからの愛情は、お金という形で視覚化することができるのでした。

シングルマザーの先輩から教えてもらった知恵

 さらに、先輩から知恵を授けていただきました。それは「息子名義の口座を作って、そこに元夫から月一で養育費を支払ってもらうこと。それを、息子が大きくなった時に見せると伝えること」。

 そうすることで、元夫も“自分がパパ”という自覚を忘れないし、元妻名義の口座に振り込むとなると、そこに憎しみなどほかの感情が邪魔をするかもしれないけれど、子供名義の口座だったら律儀に払いやすくなる、とおっしゃっていました。

 さらに、子供が大きくなった時、パパが毎月振り込んでくれていたという愛情の大きさ&これだけもらったという振り込み額を伝えることもできる、と。

 この一石二鳥にも三鳥にもなる素晴らしい知恵に感嘆した私は、即座に先輩のおっしゃる通りにいたしました(笑)。

 元夫には「やっぱり養育費もらうことにする! いつか◯◯も、パパもちゃんと考えてくれていたことを教えたいから」と、思い切って伝えました。元夫としては、それまで「いらない」と言っていたのに!と思ったかもしれませんが、義務ですし、受け入れるしかなかった様子。

 ただ、やっぱり公正証書は作っていません。滞った時、給料の差し押さえをしてまでもらいたいお金かというとそうではないですし、それに「自分の息子にお金を差し出せない男性なんて、どうでも良い」と、根本的に思っているからです。

 と、ここで話してきたシングルマザーの大先輩とは、実はこのコクハクでも執筆されている男女問題研究家の山崎世美子さん。私の憧れの女性であり、そして、元シングルマザーでお子さんを育て上げていらっしゃいます。

 養育費については、世美子さんの以前の記事「前澤氏の新会社に賛同!離婚で養育費をもらうべき一番の理由」でも、取り上げていらっしゃるので、ぜひご覧くださいね。

「養育費のぶん、仕事増やしたんだよ」

 離婚してから半年ほど経った頃、元夫は面会日での世間話の際に「養育費のぶん、仕事を増やしたんだよ」なんて、報告をしてきたりもしました。世の元夫たちと同様、離れて暮らしていると子育てにいくらかかるのかなんて、想像することすらないのでしょう。

「だから……なに? その数倍かかってるわ!」という気持ちを抑えて、「うん! ◯◯のためだから! 今後もよろしく!」と、あっけらかんと伝えた私。

 養育費はただの「お金」で、困ったら生活費の足しとしても使えるもの。でも、それが「自分のためではないお金」と思えることは、シングルマザーにとっての強みかもしれません。

 それに、元夫たちも、月数万円の出費だけで子供からパパへの感謝や信頼をもらえるんです。そんな手軽なことはないでしょう(笑)? どうですか?

 そんなわけで、離婚から3年目の今、月一でしっかり振り込んでもらっています。現在、すでに息子にもそのことは伝えていますし、パパを立てるひとつの材料になっています。

 そのお金は高校や大学受験、もしも使わなければ、結婚の支度金など、いざという時に役立つことでしょう。そして、それを使い込まずにちゃんと貯めた私に対して、いつか息子が「ママがんばったな」と思ってくれるだろう!とも、ちゃっかり思っております(笑)。

養育費は「パパと息子の信頼関係を保つもの」

 とはいえ、人生、何があるかはわかりません。元夫が再婚することになって養育費が滞ったり、急死したりする可能性だってあります。養育費はあくまで、「パパと息子の信頼関係を保つもの」。そんなふうに私は考えます。

 あんなに「いらない」と思っていたのに、今は「パパからの愛情貯金を息子にきちんと残したい」という気持ちが強くなっている私。「この養育費は生活費には使わない。手を付けないように私もがんばる」と、元夫の責任感を煽れるくらい、がめつくなりました(笑)。

 でも、滞った時にがっかりしたり、困らない心持ちではいるんですけどね!……動けるうちに、お仕事を思い切りがんばります。

(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


オトナになっても残る呪縛!「長女をやめたい」と感じた瞬間&苦労あるある
 姉妹(きょうだい)で何番目に生まれたかどうかは、その後の生き方に大きな影響を及ぼしますよね。それぞれの立場でメリット・...
雨上がりの公園、誰にも大切な時間がある 2023.8.11(金)
 おのおのが好きな姿勢で好きなように過ごす人とハト。  近すぎず、離れすぎず。ほどよい距離感ってある。  会...
ペットボトルの炭酸水で考えてみた 物の価格・人の価値は「環境」次第!
 みなさんは“自分の価値”について悩んだ時はありますか? 職業柄と性格のせいで、私はけっこう考え込んでしまうタイプなので...
季節到来・台風や大雨が「大地震」の引き金になる研究も…相関関係は?
 九州・沖縄地方に大きな被害をもたらした台風6号に続いて、お盆休み真っただ中の14日近辺に強い勢力で関東上陸の可能性が高...
のんびりと見せかけて…カメラバックを守る“たまたま”警備隊
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
輸入ものに強い「カーニバル」初体験!高OFF率狙い 2023.8.10(木)
 前々から気になっていたグルメキッチンマーケット「カーニバル」。カルディ、成城石井、ジュピターコーヒーなどの“競合”で輸...
テッパンはなに? お世辞を言われた時の上手な返し方【職場・友人編】
 お世辞を言われた時、皆さんはどのように返事をしていますか?「お礼を言うべきなのか、否定をするべきなのか、イマイチ反応に...
屋外の鉢植え植物をレスキュー!灼熱地獄から守る「正しい置き場所」は?
 観測史上最高気温の更新上げ幅がエゲツなく「地球沸騰化時代到来」なんて言葉、聞けば聞くほど恐ろしいとしか言いようがござい...
そろそろ散髪の時期かな? 2023.8.9(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
無意識ポロリしてない? 今すぐ直したい「人に嫌われる相づち」4選
 話していて相づちが鼻につく人っていますよね。相づちの仕方は癖や習慣になっているケースが往々にしてあり、もしかしたらあな...
新幹線で帰省中、ヤバい親子に遭遇!「お互い様」の解釈について考える
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
安らかに眠れる日は来るのだろうか 2023.8.7(月)
 多くの犠牲と哀しい歴史があった。その事実と人々を決して忘れないと誓った。  いまの僕らは、次の時代に平和を託した...
兄貴に挨拶しなきゃ…ビビりなシンメトリー“たまたま”を激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
薄毛ネタは反則ですよね…めんどくさっ!返信に困った「自虐LINE」3選
 自虐ネタはその場を和ませるトークテクの1つ。ですが、相手を困らせてしまうケースもあります。今回は、皆の“対応に困った自...
生きてるだけで偉い! ゆるい人生に胸を張る 2023.8.6(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
改めてリスキリングって何? 話題の理由&40代女性におすすめ分野
 AIの発達でどんどん人間の仕事が減っていく中、40代女性の間で「リスキリング」が話題になっています。とはいえ、まだリス...