独占欲はもうない
千晶さんに対する愛情が消えたわけではないものの「付き合い始めた頃のような千晶さんを独り占めしたいという気持ちはもうない」と言うマコトさん。その背景にあるのは、千晶さんとの関係性だそうです。
「千晶さんがモラハラをするとか、偉そうだとかそういうことは一切ないんですよ。ただ単に、しっかりしすぎているんですよね。
彼女はきっと、自分にストイックなんだろうなぁ……。きちんと体型や見た目にも気を配っているし、仕事だけでなく家事も相当きちんとやっていますからね。
一般論で言えば、奥さんにしたら心強いタイプだと思うんですよ。実際に僕も、最初のうちはそう思って付き合っていましたから。
だけどね、一緒にいる時間が長くなるにつれて、そんな彼女との生活を思い描けなくなった。いや、もっと正確に言うと、思い描きたくないなと思うようになったんです。
プロポーズが嬉しくなかった
あの女性と夫婦になったら、僕は自分のダメなところを意識しながら一緒に居ないといけなくなりそうで。そういう生活は僕が望んでいるものではないんですよね。
もちろん結婚するなら頼りになる女性が希望ですけれど、千晶さんは頼りになるけれど安らげない。理想が高すぎると言われるかもしれないけれど、頼りにもなって安らぎも与えてくれて……っていうバランスのある女性を妻にしたいだけなんです。
実は千晶さんから、少し前にプロポーズをされたんですけど、正直を言うと『嬉しい』とは思えず、それ以来ずっと僕の中で千晶さんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいなんです。
せっかく僕と結婚したいと思ってくれているのに、僕はまったくそういう思いになれないばかりか、もう別れてもいいかなとまで思ってしまっているから」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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