#2 「我慢してあげている」という優位の感覚と被害者意識

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-08-26 12:18
投稿日:2019-06-07 06:00

男としての自信を喪失しEDやうつ病を発症

 ジョギングでなくても、人にはそれぞれ、理屈のつかない苦手なものがあると思います。明日の洋服を考えること。お風呂に入ること。飲み会に出ることetc.

 誰かにとっては楽しいものが、ほかの誰かにとっては苦痛でしかない。

 でも20代までの私は、自分の苦痛にしか目がいきませんでした。

 断られる側の苦痛は想像できず、考え得る解決策は、「どうしても誰かと走りたいのなら、ほかの誰かと走って。その人のジョギングウェア代は私が出すから」という、相手によっては残酷極まりなく響くお願いでした。

 結果、当時付き合った男性のうち、ふたりがEDになりました。

 ひとりは20代前半。性格は朗らかな人でしたが、もともとペニスの大きさに自信がなく、私に拒まれたことで、ますます男としての自信を喪失しました。

 もうひとりは40代前半で、その人には最初に「セックスが苦手」であることを伝えましたが、相手は「僕がきみを治す」との姿勢となり、結局は私のセックス嫌いを「治せない」苦悩から、EDに加えて鬱病を発症しました。

射精する無防備な相手の表情を冷めた目で

 その後、付き合う人とは「ふつう」にセックスするようになりました。セックスが嫌だなんて、おくびにも出しません。たまには自分からも誘います。相手を傷つけないよう、面倒な軋轢を生み出さないよう、ひととき我慢してやり過ごせばいい。そう、割り切っていたつもりでした。

 でもこれは、相手とも、自分の性とも向き合わないこととも同義でした。

 デートの日が近づくにつれて気鬱は増し、さらに性質の悪いことに、「我慢してセックスしてあげている」という優位の感覚と被害者意識を持つようになりました。

 気乗りのしないセックスをしながら、自分の上で一心不乱に腰を振り、射精する無防備な相手の表情を、冷めた目で見ていました。

 そうやって付き合ったうちのひとりの男性と、40歳を過ぎた頃に、約10年ぶりに再会しました。そこで、思いがけないことを言われたのです。

  ◇  ◇  ◇

 次回に続きます。

うかみ綾乃
記事一覧
小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

関連キーワード

ラブ 新着一覧


不倫が成立しやすい同窓会…ヤリモク男が狙う女性の3大要素
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。不倫や浮気あるあるのシチュエーションの代表的な集まりといえば同窓会です。SN...
山崎世美子 2020-08-30 12:01 ラブ
男性が女性に冷める7つの瞬間! 可愛い彼女でいるためには?
 あんなにラブラブだったのに、なんだか急に冷たくなった彼。「自分では何をしたのかわからない……」そんな時、もしかしたら彼...
恋バナ調査隊 2020-08-28 06:00 ラブ
鬼嫁な上に不倫まで…ドン引きしかない“ママ友”の呆れた生態
 不倫をしているうえに、家庭では鬼嫁……となると、もはや夫に対しては同情しかありませんよね。ママ友にそんなタイプがいる女...
並木まき 2020-08-28 06:00 ラブ
彼氏と別れたいと思う瞬間&意識した時に行うべき3つのこと
 お互いに思い合って彼氏彼女の関係になるのは、幸せなこと。しかし、すべてが楽しいことばかりではありません。時には嫌な思い...
恋バナ調査隊 2020-08-27 06:00 ラブ
誰も好きになったことのないイケメンが恋に落ちた瞬間とは
 一部のイケメンには「恋愛に興味がない」「女性も男性も好きになったことがない」と言う人がいます。そんな人は、鏡に映った自...
内藤みか 2020-08-27 06:00 ラブ
デキる男性が選ぶ女性の特徴5つ! 選ばれるための方法とは♡
 デキる男性が選ぶ女性というと、「スタイルが良くて美人」といった外見重視なイメージを抱く人が多いでしょう。しかし、実際に...
恋バナ調査隊 2020-08-26 06:00 ラブ
どんな環境下でも自分優先…鬼嫁たちのコロナ禍な夏事情
 鬼嫁たちのコロナ禍の夏は、いかに夫を意のままに動かすか……がテーマになっているケースも目立ちます。どんな環境下であって...
並木まき 2020-08-28 03:40 ラブ
モテるのになぜ? いつも彼氏にフラれて破局する女の特徴4つ
 綺麗でモテるタイプで常に男は途切れないのに、なぜか付き合うと彼からフラれて終わるという女性、いますよね。女友達からはい...
田中絵音 2020-08-25 06:00 ラブ
違和感は強まるばかり…夫の不自然な態度に妻が発した言葉
 郊外に念願の一軒家を手に入れた、1組の「パワー夫婦」。会社への通勤には少々不便な地でも、テレワークがメインの今は「少し...
並木まき 2020-09-24 16:18 ラブ
マザコン彼氏を見抜くには? 5つの特徴&上手な付き合い方
 イケメンで優しい彼氏ができれば、誰からも羨ましがられるでしょう。しかし、"マザコン"となれば話は別! 付き合ってからマ...
恋バナ調査隊 2020-08-24 06:00 ラブ
デートに誘ったのに仕事で断られた時のオトナ女子の挽回テク
 勇気を出してデートに誘ったのに、「仕事が忙しいから……」と断られると、すごくショックを受けますよね。 「断られた後は...
若林杏樹 2020-08-24 15:45 ラブ
男友達と彼氏の5つの違い!ただの女友達から脱出する方法
 人にはそれぞれ好みがあり、恋に落ちるタイミングが異なります。時には、男友達だと思っていた相手を、急に恋愛対象として意識...
恋バナ調査隊 2020-08-23 06:00 ラブ
条件のいい男と「愛され婚」…気になる貴女の未来予想図は?
 メリさん、いつもメス力を勉強させていただいています。メリさんのおかげでど本命彼氏ができました。私のことをすごく思ってく...
神崎メリ 2020-08-23 06:00 ラブ
女友達への恋愛相談は正解? 5つのメリット&気を付けること
 片思い中や彼氏とうまくいっていない時など、恋愛中にはいろいろな悩みがつきもの。一人で悩んでいると不安になったり、どうし...
恋バナ調査隊 2020-08-22 06:00 ラブ
まわりに必ずいる…なぜか男ウケする“モテ女”の共通点とは?
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。女子力を高めるためにメイクを研究したり、流行りの洋服を購入したり、オトナ女子...
山崎世美子 2020-08-22 06:00 ラブ
節約家で浮気もしない彼氏…でも結婚向きじゃなかった理由
 新型コロナによる経済不況などから、外でお金を使う機会が減ったり、節約志向に傾いたという人も多いのではないでしょうか。結...
ミクニシオリ 2020-08-26 17:35 ラブ