NHKからキー局まで若手の退社続々 アナウンサーを目指す学生の価値観

コクハク編集部
更新日:2023-03-03 06:00
投稿日:2023-03-03 06:00

若手アナウンサーの転職が続々

 テレビ局の若手アナウンサーの転職が珍しくなくなった。すでにテレビ東京の森香澄アナ(27)、日本テレビの篠原光アナ(28)が3月末で退社することを発表。森アナは一部週刊誌で、インフルエンサーに転身すると報じられており、篠原アナは「eスポーツ関連の仕事に挑戦したい」と公表した。

 昨年末にはTBSテレビのアナウンサーだった国山ハセン氏(32)が退職。ビジネス映像メディア「PIVOT」で映像プロデューサーを務めるかたわら、タレント活動もしている。

アナウンサー試験は倍率1000万倍以上!

 アナウンサー試験は、1000万倍以上とも言われる狭き門で、長年、憧れの職業とされてきた。在京キー局の平均年収はいずれも1000万円超え。花形アナウンサーともなれば、ステータスと安定した収入が補償されるのは間違いない(不祥事を起こしたら話は別)。

入社10年以下でなぜ辞めてしまうの?

 安定志向の高まる中、それでも入社10年以下で辞めてしまう若手アナが増えたのはなぜなのか。就職活動事情に詳しい大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が言う。

「テレビ業界に影響力があった20年ほど前までは、アナウンサーを目指す学生は、途中から管理職となって定年まで勤め上げるか、フリーランスへの転身、または知名度を生かして政治家を目指すといった限られた選択肢しかありませんでした。その前提でアナウンサーを目指していたとも聞きます。ですが、インターネットが普及し、テレビはニュースを発信する手段のひとつの選択肢にすぎないという位置づけに代わりました。

 志望者を取材をしていると、学生時代からインフルエンサーとして個人で影響力を持ったタイプは珍しくない。そもそも発信力に長けた人物であり、テレビ局のアナウンサーに受かったのは“たまたま”なので、局アナに固執していないケースが多く見られます」

近江友里恵元NHKアナは三井不動産に

 30代40代で異業種に転職する先輩社員が増えたのもデカい。日テレの元アナウンサーから、同志社大ハリス理化学研究所専任研究員に転身した桝太一氏(41)をはじめ、元テレ朝の富川悠太氏(46)はトヨタ自動車、同じく元テレ朝の大木優紀氏(42)はスタートアップの旅行会社、元NHKの近江友里恵氏(34)は三井不動産の総合職に転職。一般企業で活躍している。

自分の最適解は?

「元アナウンサーの知名度を生かしたキャリアの選択肢が増え、一般企業からも引く手あまたになりました。若い世代ほど、自分が表に出て発信する最適解は何だろうと模索しています。自分が主体で動ける場所を選び、入社後もほかにやりたいことや手段を見つけたら未練なく辞める選択肢をとる。会社名に頼らなくてもいい人材は、希望とするポジションが回ってくるのを待つ必要がないのです。

 これはアナウンサーに限った話ではなく、大手の商社や銀行など大企業に入社した学生であるほど、スタートアップなども視野に入れた転職に抵抗ないタイプが少なくありません」(前出の石渡嶺司氏)

 狭き門を突破できるレベルの学生にとっては、局アナは特別ではないのかも。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

エンタメ 新着一覧


15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...