なぜ出張ホストをしているの? この仕事を選ぶ男性の心理

内藤みか 作家
更新日:2019-05-30 06:00
投稿日:2019-05-30 06:00
 最近、出張ホスト(レンタル彼氏)のニーズが高まっています。おひとりさま社会と言われ、恋人がいない独身女性が増えているのも一因かもしれません。そんな女性の相手をする男性たちは、なぜ、この職業を選んだのでしょう。実際に出張ホスト何十人と話をした経験から分析します。

出張ホストには2種類ある

 出張ホストには大きくわけて2つの種類があります。ひとつはデートのみ対応のところ。そしてもうひとつはオプション料金を足せばデート以上のマッサージなどのサービスも受けられるところです。最近は個人で出張ホストなどと自称する人もいますが、個人の無許可営業だとトラブルになった時に間に入ってくれるところがありません。警察に「無店舗型風俗特殊営業」の届け出を出していると明記されているところから依頼するのが安全だと言われています。

 料金は、デートのみだと新人は1時間で2000円台からとかなりリーズナブル。料金は人気が出ると上がっていき、トップクラスになると、1時間1万円以上する人も。なぜ彼らはこの職業を選ぶのでしょう。街の中で待ち合わせたり、女性の自宅に呼ばれることなどもあり、ホストクラブで働くよりかなりのスリルを味わうことになるはずです。女性客と手をつないで歩いているところを知り合いに目撃されるリスクもあることでしょう。

ホストにはなれないから

 意外に思うかもしれませんが、出張ホストをしているのは、ホストクラブのホストよりもおとなしめの男性が多いのです。「ホストクラブで働くことも考えたけれど、集団行動が苦手なので……」と語った人が何人もいました。ホストクラブはチームに分かれて営業を頑張ったり、ミーティングがあったり、ほかのホストのヘルプに入ったりと、集団社会。女性客のほとんどはお酒を飲むので、楽しくその場を盛り上げるテクも必要です。

 けれど、単独行動が好きな男性は、ホストのそうしたまとまりに腰が引けてしまい、ひとりでできる仕事はないかと探して出張ホストに辿り着くようです。ランキングを上がってくるのはやはりルックスのいい男性。そのなかでも女性に対してきめ細かい配慮ができる優しいタイプの男性が人気なので、オラオラな感じの人が多そうなホストクラブのホストとはだいぶ色が違うのです。

やっぱりお金が欲しい

 出張ホストの仕事は24時間いつでも待機ができるので、ほかの仕事と掛け持ちをしながら予約をこなす人がほとんどです。出張ホストだけで頑張っているという人はかなりの売れっ子で少数派でしょう。つまりは副業として働いているのですが、その理由はやはりお金。車のローンや借金があるという人もいますし、起業したいとか大学に行きたいなどの理由がある人も。

 予約が立て込んでいる時期は、女性客に付き合って朝まで飲み明かした後に、仮眠だけ取って昼の仕事に向かうというハードなスケジュールをこなすことも。働いた分だけ稼ぎも増えるので、やり甲斐はかなりあるそうです。出張ホストは女性と一緒に街を歩くので「普通の格好で来てほしい」とリクエストされることが多いため、ホストクラブのホストよりも着飾ることにお金を使わなくていいのでお金は貯まりやすいのだとか。また、何度も指名してくれる常連さんが増えると、ブランド品などのプレゼントをいただけるのも楽しいのだとか。

忍耐と許容力が必要な仕事

 女性の相手をしてお金をもらえるのなら、自分もやってみようかな、と思う男性は結構多いようです。けれど、やはり人気が出るのは一緒に歩いてときめくカッコいい男性であり、マメな気遣いができるリアル社会でもモテる人。誰でも仕事にありつけるわけではないので、いざ登録しても全然指名にありつけない人も少なくないそうです。そしてホストは客を選ぶことはできません。なので女性の好みにうるさい男性は向いていないのです。

 出張ホストをしている男性は基本的に女性好き。「女性のストライクゾーンが広い」と言う人がほとんどです。「どんな体型の人でも、何歳でも、素敵だなと思える」と言い切る人もいます。いやいや相手をしていたら女性客に見破られてしまうので、おそらく相当に許容範囲が広いのでしょう。また、女性のワガママに対応したり、酔った女性のグチを、疲れた顔もせず何時間も聞き続けることができる忍耐力も必要です。

 私が見かけた人気出張ホストさんたちは、どの人も、奉仕の精神に満ち溢れていて、女性に対する愛情が豊かです。そしてなにより特筆すべきなのは、女性を尊敬しているところ。変に威張ったりせず、とことん女性に付き合い、尽くすからこそ売れています。きっとつらい思いをすることもあるのでしょうけど、そうしたことは顔に出さず、女性に寄り添い続ける。人気出張ホストの姿勢に女性は感動し、だからこそまた指名したくなるのでしょう。

内藤みか
記事一覧
作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
XInstagram

ライフスタイル 新着一覧


昭和や平成にいた“カタカナ職業”とは何だった?バブルを生きた男が思う「総クリエイター時代」の清々しさ
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
長渕剛に20代女性との熱愛報道。60代や70代を好む「桶専女子」の生態とは?“枯れ専”との微妙な違いも
 芸能界ではシニアの恋愛・結婚が話題になっている。8月27日配信の文春オンラインはシンガーソングライターの長渕剛(68)...
100均の“お掃除グッズ”でチャレンジ!夏の水回りは「凄腕くん」でピカピカになるか?
 夏は“大掃除向き”の季節だと思っています。冬のように水が冷たすぎないので、特に水回りの掃除は今がチャンス。  気...
大阪万博だけじゃない!行列で起きた“地獄と奇跡”8連発。推しの神対応、彼氏との悲劇…
 2025年4月にスタートした大阪万博も、残すところあと僅か。今回の万博は、何かと大行列ができることで話題になっていまし...
捨てにくい…!困った引き出物、賢い処分方法は?タオルは保護猫に寄付、2人の写真はリメイクで
 結婚式や祝賀会などの引き出物で、「正直いらない」と思ってしまったものはありますか? 折角の品物だと分かっていても、いら...
“にゃんたま”様の背後に潜む怪しい影…おわかりいただけただろうか
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
花屋が一押し!敬老の日に「マリーゴールド」を贈りたい理由。長持ちさせるコツはある?
 今年もシビれるくらい暑い夏でございました。  最高温度は毎日のように体温超え。心配していたのは作物の生育。備蓄米...
賛成or反対? 職場にいる“2世社員”への本音。本人的には「バレたくない」ってなんで?
 あなたの職場に、親が会社の中心人物である「2世社員」はいますか? コネ入社ゆえに対応が厄介だったり、逆に出先では信頼さ...
「都合がいい時ばっかり!」未熟な若妻にイライラ…53歳の義母が下した“自己防衛”作戦
 息子が結婚をすれば、息子の妻(いわゆる「お嫁さん」)も家族の一員。だけど、“家族”だからこそ生まれる“摩擦”や“モヤモ...
業界人「あの子、お気に入り枠だから」の噂。芸能界に渦巻くタレント達の“自尊心と屈辱”のはざま
「この子、社長のお気に入りだから」  そういう一言を、私は何度となく耳にしてきた。現場に漂う空気は一瞬で変わる。誰...
ストレスとは「心のコップ」がたまること…自分からのSOSに気付く意外なヒント【専門家監修】
 2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
公園でのケガも学校のせい! ラスボス級“モンスター保護者”のヤバすぎる行動6選
 学校などに対し、自己中心的な要求をしたり理不尽に怒鳴り込みに行ったりするモンスターペアレント。そんな保護者に悩み、現場...
“イケにゃん”の貴重な大胆ポーズ♡ テレビ番組に夢中なプリンスの休日
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
部下の妻に恋をして…不適切な関係に焦がれた男の末路。色恋沙汰のスキャンダルの恐ろしさ
 職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
昼寝中の我が子がいない! 育児の恐怖体験エピソード。前世の記憶にゾッ…
 今回は、育児の恐怖体験エピソードを集めてみました。これらは誰にでも起こり得る出来事。育児真っ最中の方はぜひ参考にしてく...