40代半ば、歯科矯正を始めます
45歳です(もうすぐ46歳)。前歯2本が出っ歯ぎみとはいえ、マチャミのように自虐するほどではなく、自分的には許容範囲内の歯並び。なんなら小学生中学年の頃には“よい歯”賞に選ばれそうになったことがあるぐらいのポテンシャルです。
虫歯もできにくく、年に1回、定期健診を兼ねてクリーニングに行く程度の優良な口腔者と慢心してきたからこそ、このトシまで騙しだましやってきたのです。じゃあ、なぜ歯科矯正をやろうと思ったのか。
「歯」は健康の源
それはひとえに「残りの人生」をうっすらと考え始めたからにほかならない。私の寿命は神のみぞ知るわけで、一体いくつまで健康で過ごせるか分からないけれど、折り返し地点はおそらく過ぎている。肩や腰は常に痛く重く、20代30代とは明らかに違う。身体のあちこちにガタが来ているからこそ、全身の健康の源である「歯」をメンテする必要があるのではないか。
正直めちゃイタイ出費だけれど、背に腹は代えられない。そういう年頃なのだと心の底から自覚したのが、大きな理由の一つです。
夜間用マウスピースを愛用しているが…
5年ほど前から就寝時にはマウスピースを装着しています。20代前半からお世話になっているクリニックの医師から、慢性的な歯ぎしりと、歯列&噛み合わせの悪さが原因となって歯の一部が欠けてきていると告げられたのです。当時から歯科矯正も選択肢の一つだと言われましたが、
「先生、矯正っていくらかかるんですか?」
「一概には言えないけれど、結構な額はかかるよね」
「100万円ぐらい?」
「うーん、もうちょっとかな」
「200万円!?」
「うーん、そこまではかからないとは思うけれど」
「……」
治療費の問題はいつだってつきまとう。しかも歯の欠けは凝視しなければわからない程度の小さな、小さなもの。踏ん切りがつかない私は、歯の形に合わせて埋めもので補強をして自前の歯を守る、歯科矯正ではない“プランB”の治療を選んだのです。
でも、しょせんは人工物。この5年で埋めものは減り、追加で埋めるかどうかの選択を迫られます。硬い食べ物は控えるよう助言されてはいたものの、大好物のハード系のパン、タン塩、上ミノを我慢してまで歯を守りたいわけではない。食べちゃうよ。
「70代で矯正を始めた女性もいるんだから」
5年の間でマウスピースの補正は3度。すり減って穴が開いては直してもらう工程を繰り返す。治療費もろもろ、保険適用で5万円はかかっただろうか。このプランBを継続するとなれば、また5年後に5万円かかるかもしれない。ずっといたちごっこを繰り返すぐらいだったら、矯正したほうがいいような気が……。
「先生、私、矯正まだ間に合いますか?」
「十分間に合いますよ。患者さんのなかには、70代で矯正を始めた女性もいるんだから」
70代! まだまだひよっこだな、自分……。マスク生活で他人さまに口元を見せる機会が減り、「どうせ見られないからメンテする必要ない派」と「人目につきにくいからこそメンテの好機と考える派」と二極化が進んだといわれています。
そして、2023年春。マスクの規制緩和がされつつあるタイミングですが、何事もやろうと思った時が吉日。70代淑女の先輩に背中を押され、
「先生、私、矯正をやりたいです!」
そう宣言したのでした。
(編集O)
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