更新日:2023-04-28 19:43
投稿日:2023-04-21 06:00
彼のぬくもりに心が満たされていく
――同伴でミスをして先輩ホステスからキツイ言葉を浴びせられた。そこへNさんからの優しいひと言……その後をお聞かせください。
「はい……。更衣室のドアを開けた私は、泣き崩れながらNさんの胸に飛び込みました。今までため込んでいた感情が一気にあふれ出てしまって……。そんな私を、彼は黙って抱きしめてくれたんです。彼がいつもつけているアクア系の香水が、鼻腔に忍びこんできました。
嬉しかった。彼の温もりを感じるだけで、こんなにも心が満たされるのだと思いました。
――Nさん……ごめんなさい。
――謝らなくていいよ。
彼の腕の力が強まりました。
――私……Nさんのことが……。
久しぶりの“真面目なキス”
そこまで言った時でした。顔を上げた私の唇を奪うように、彼の唇が押しつけられたんです。
(うそ……。私、Nさんとキスをしてる……)
嬉しさと驚きに、心臓がドクンと高鳴りました。キスなど、何年ぶりでしょう。店ではお客様とノリでスキンシップはするものの、真面目なキスは何年もしていなくて……。『ああ、男の人の唇ってこんなに温かだったんだ』と思いましたね。
かすかに当たる髭の感触も懐かしかったです……。先輩ホステスに怒られて自己嫌悪に陥っていた状況から、いきなり天国に舞いあがったように心が震えました。
いえ、心だけではありません……。秘かに恋焦がれていたNさんとこんな関係になるなんて……と思うと、ドレスから着替えたニットワンピースの奥が熱く湿ってきたんです」
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