必見・祖母タキ(松坂慶子)の名タンカ!高知のはちきんは頼もしい

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-05-02 13:10
投稿日:2023-05-02 13:10

NHK朝ドラ「らんまん」~第5週「キツネノカミソリ」#22

 植物学の道に進むと決めた万太郎(神木隆之介)と、峰屋のために生きると決めた綾(佐久間由衣)、「今日選んだ道を悔やまんこと」と指切りする2人。

「竹雄、おまんが証人じゃき」「わたしらがだらしなかったら、おまんが叱ってよ」と言われ、「叱りますよ。こじゃんと叱りますき。ほんじゃき、お2人は前だけ向いちょってください。後ろはわしがおりますき」と竹雄の力強い言葉。

 指切りする2人の手を包み込むように重ねるシーンは感動的でした。が、その感動も束の間、佐川への帰りに演説会に立ち寄り、またもや登壇した万太郎が突如乱入してきた警官隊に捕まってしまいます。(#21)

「仲間じゃないき、そんな奴」

 収監された万太郎。逸馬(宮野真守)の元へ連れていかれ、結社の一味だと認めろと問い詰められます。

 きつい取り調べに疲弊する逸馬を見て、「言います、白状します。わしはー」と認めそうになる万太郎を遮り、「仲間じゃないき、そんな奴」と、万太郎をかばう逸馬。おかげで、万太郎は拷問を逃れますが、逸馬がその後、どうなったのか、気になります。

 そこに、タキばあちゃんご一行さまが到着。「所長と昔馴染みだから、わしが直々に誤解をとく」と――。

【本日のツボ】

「孫を能無し呼ばわりしたら許さんぞね!」(タキの言葉)

 警官が万太郎を「能無し猿」呼ばわりしたことに腹を立てたタキ。警官相手にタンカをきります。いやあ、お見事でした。映画「鬼龍院花子の生涯」(1982年)の夏目雅子演じる松恵の「なめたらいかんぜよ!」を彷彿させる名タンカでした。そういえば、あの映画も舞台は高知でした。やはり高知のはちきんは頼もしいこと。

 そんな祖母とは対照的にダメダメの万太郎。佐川に帰る道中も逸馬のことをぐじぐじと気に悩む様子。そんな万太郎に、

「ほんならどうする? 牢に戻るか。おまんが政治の土俵で生きちゅうなが、命を取られても曲げられんもんがあるじゃろ。けんどそうではないなら、めそめそしゆうがはお門違いじゃ。おまんは棄てたがじゃ。ほんなら振り返りな。代わりに何をするかじゃろう」

 と言葉をかけるタキ。「人はすべてを持つことらできん。何かを選ぶことは、何かを棄てることじゃ」と。

 タキの言葉を殊勝に拝聴する万太郎ですが、頭の中は植物でいっぱい。自分にいいように解釈し、植物学の道を選ぶことを強く決心したのではないかと。

 明日も波乱が起こりそうな予感。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


キンプリ脱退組と残留組に待遇格差? 一大“閉店セール”にもファン辟易
 King & Prince(以下、キンプリ)から平野紫耀(26)、岸優太(27)、神宮寺勇太(25)が脱退する5月22...
こじらぶ 2023-03-25 06:00 エンタメ
大谷翔平の結婚相手に日本人はなぜそこまで関心を寄せるのか
 米マイアミで決勝が行われた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、侍ジャパンが3大会ぶり3度目の優勝を果...
竜星涼「スタンドUPスタート」敗因と中年期・反町隆史の宿命
 冬ドラマのなかで、ひそかに期待していたものの、残念な結果に終わってしまいそうなのが、「スタンドUPスタート」(フジテレ...
武田真一アナ、岩田明子氏も参戦「元NHK」強みと重用される人の特徴
 この春も、NHK出身者が民放番組の“顔”になりそうだ。2月末で同局を退職した武田真一アナウンサー(55)は4月スタート...
求む、大谷翔平専用カメラ!栗山監督の隣で見切れるイケメンは誰?
 WBC2023、盛り上がっていますね~。猫も杓子も侍ジャパン、侍ジャパンと大騒ぎ。中国戦、韓国戦、チェコ戦と開幕から3...
高身長・SixTONESジェシーが明かしたジャニーさんの言葉に納得!
 King & Princeの冠番組「King & Princeる。」(日本テレビ系)の4月以降継続が決まりました。大好...
NHKからキー局まで若手の退社続々 アナウンサーを目指す学生の価値観
 テレビ局の若手アナウンサーの転職が珍しくなくなった。すでにテレビ東京の森香澄アナ(27)、日本テレビの篠原光アナ(28...
沢田研二は元祖ビジュ系! 芸能史に残る“不倫ベスト5”入りも
 コンビニのおにぎりとカップみそ汁ばかり食べておきながら言うのもなんですが、「ていねいな暮らし」に憧れます。  特...
キンプリ永瀬廉が宝の持ち腐れ…橋本環奈が「夕暮れに」ヒロインなら?
 広瀬すず(24)主演、King & Prince・永瀬廉(24)共演のドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が苦戦している。初...
こじらぶ 2023-02-25 12:06 エンタメ
渡部建はサイン会開催まで復活 この先は宮崎謙介氏が手本?
 昨年2月放送の「白黒アンジャッシュ」(チバテレ)に出演して以来、復帰1年を迎えたアンジャッシュの渡部建(50)。現在は...
早乙女友貴・石田ニコル密会報道でも「ゲーム仲間」の“常套句”が出た!
 先日、元SPEEDの島袋寛子(38)と早乙女友貴(26)が離婚しました。正直言って「やっぱり!」と思ってしまいました。...
“強メンタル”三浦瑠麗氏の使い道 夫のトラブル渦中にデート報道も戦略?
 先月19日に夫の三浦清志氏(43)が経営する投資会社などに東京地検特捜部が家宅捜索して以来、表舞台から姿を消した国際政...
月9「女神の教室」最大の収穫は前田拳太郎!劇団EXILEの救世主に…
 学園ドラマの醍醐味は生徒役のイケメンを発掘することにあります。たとえば「ROOKIES」(TBS系)には、市原隼人や小...
佐藤健“演技派イケメン”に!お姫様抱っこから「100よか」で泣かせるまで
「100万回生きたねこ」というのは佐野洋子さんの絵本のタイトルです。昔から大好きなお話でして、その想いを共有したく、好き...
島袋寛子の離婚はやっぱり?年の差2ケタの年上妻×年下夫“円満”の条件
「SPEED」のメンバーで歌手の島袋寛子(38)と俳優の早乙女友貴(26)が離婚した。島袋は1月31日、インスタグラムを...
今さら感を覆したNHK「大奥」冨永愛、堀田真由以外の“掘り出し”役者
 昨年のわりと早い時期に、NHKがよしながふみ作の「大奥」をドラマ化するという発表がありまして、その時は「いまさら『大奥...