綾と竹雄の“夫婦宣言”に分家の不満爆発!そしてタキの退場を彩る満開の桜

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-07-01 06:00
投稿日:2023-07-01 06:00

NHK朝ドラ「らんまん」~第13週「ヤマザクラ」#65

 万太郎(神木隆之介)は、祝言(しゅうげん)の席で改めてこれまでの感謝を述べ、今後、槙野の家の一切を姉である綾(佐久間由衣)と、その伴侶となる井上竹雄(志尊淳)に譲ると。

 納得のいかない分家の豊治(菅原大吉)たちの怒りは収まらず、これまで分家と虐げられてきたとぶつけると、「わしがそうさせてきた。けんど時は変わった。この先は本家、分家と上下の別なく、互いに手を取りおうて、商いに励んでいって欲しい」と深々と頭を下げるタキ(松坂慶子)。

 後日、万太郎はタキを連れ、仙石屋のヤマザクラを見に行く。そこには寿恵子、綾と竹雄の姿もあった。

【本日のツボ】

「らんまんじゃ」(タキの台詞)

 これが最終回、と言われても納得してしまいそうな充実感がありました。「万太郎、わしの孫に生まれてきてくれてありがとう。おまんが生まれた時から、そして、この先もずっとワシの望みじゃ」というタキ。

 万太郎がヤマザクラを治せなかったことを謝ると、「天寿がありますきのう。ほんじゃけ、お互い精一杯生きてきましたき」と。

 ヤマザクラを接ぎ木したとタキに教える万太郎。「こんな小さな枝が、大きな木に育っていくき」と言う万太郎に、「大きゅう育つとええのう。楽しみじゃのう。いつかこの桜が咲き誇るがか」と。

 タキには大きく咲き誇ったヤマザクラの下で花見をし、笑い合う万太郎と綾たちの姿が見えたようで、「らんまんじゃ」と。

「今日からワシら家族になるがじゃ」

 さらに、ヤマザクラを介したもうひとつのエピソードが。そこには、幼い綾を連れたタキと、産まれたばかりの万太郎を抱いたヒサ(広末涼子)の姿。

「今日からワシら家族になるがじゃ。血のつながりじゃのうて、縁(えにし)で繋がる家族にのう」と綾に語るタキがいました。本家の格式をなによりも重んじていたタキでしたが、血よりも縁を大切に、ということはとうにわかっていたのかもしれません。

 ヤマザクラとタキがオーバラップ。祝言の席で、「ワシと寿恵子は峰屋という大樹を離れ、新たな地で芽吹いていこうと思うちょります」と万太郎が皆に告げた言葉も重なります。

 満開の桜がタキの退場を彩り、ひとつの時代の終わりが描かれました。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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