タイパ? なにそれ。映画館で初対面の作品と出会う胸のときめき

小原玲 動物写真家
更新日:2023-10-10 06:00
投稿日:2023-10-10 06:00
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナガの写真とともに、勉強に仕事に恋愛に、毎日をがんばる私たちの背中を押してくれる、きょうのシマエナガちゃんの“ひとこと”です。

 宮﨑駿監督が82歳にして世に放った映画「君たちはどう生きるか」は、懐かしい映画体験を思い出させてくれた。

 そういえばそうだった。ネットもスマホも普及していなかった時代、頼りになるのは映画雑誌。新聞の一番下にタイトルの文字だけが書かれた小さな広告を見つけて、内容もよくわからないまま、いちかばちかで出かけたものだった。

 時間と体力だけはたっぷりあった10代後半、大学図書館に並んだDVDを内容や監督も確認せずにデザインが気に入ったモノから観ていった。

 そのすべてを理解したかと言えばそうでもないけれど、事前情報がなかったおかげで、先入観なしに作品の世界観に没入できた気がする。

 最近は老いも若きも時間と情報に追われているからね。ヒマな大学生のようにはいかないけど、予定のない週末にふらっと映画館に立ち寄ったら、人生を変えちゃうような作品と出会えるかもしれないよ?

小原玲
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動物写真家
1961年、東京都生まれ。茨城大人文学部卒。写真誌「フライデー」の専属カメラマンを経て報道写真家として国内外の雑誌での活動後、動物写真家に転身。近著に写真集「シマエナガちゃんの日々 - ぼくはここにいるよ -」(ワニブックス)や「Kiss!」(小学館)や「アザラシの赤ちゃん かわいいのヒミツ」(講談社)などがある。2021年11月、永眠。
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