胡蝶蘭はお祝い専用? 寺の住職から聞いた「お悔やみ花」としての需要

斑目茂美 開運花師
更新日:2023-09-13 06:00
投稿日:2023-09-13 06:00

突然の電話

「つかぬことをお伺いしますが……」

 猫店長「さぶ」率いる愛すべき我が花屋には、お客様から毎日のように“ちょっと困ってます”的な問い合わせがございます。この日はヘビーユーザー様から沈んだ声での電話でした。

 お客様は先日、ご親戚が亡くなられ、故人に供える枕花を切り花でなく、胡蝶蘭の鉢花をお持ちになられました。そして、ご葬儀を終えたある日、お嫁さんからこのように言われたのだとか。

「枕花は“命短し”の花で良いのだから、胡蝶蘭じゃなくてもいいのよ。お義母さんには黙っておくからね」

 胡蝶蘭って枕花で持っていっちゃいけなかったのか? と考えたら、なんだかモヤモヤしちゃって……からのご質問でした。うーん、そういう言われ方もどうなんだ? とも驚きましたが、お嫁さんが言いたかった次の言葉が思い浮かびますよー!

 ワタクシはウン百回、お客様にご説明させていただいたでしょか。今回は「胡蝶蘭の鉢物はお祝いだけって誰が決めたの?」の解説でございます。

目から鱗の話から

 ご葬儀や枕花などに供える花は、胡蝶蘭の鉢物ってアリ、っていうか、大アリでございます。「根付きの鉢物って『根付く』っていうからダメなんじゃない?」や「胡蝶蘭ってお祝いの花なんじゃないの?」って思ってらっしゃるアナタ。

 まぁ25%ぐらいは合ってます。根付く問題は入院なさっている場合などに贈る際に考慮すべき話で、亡くなっている方には当てはまりません。

 お祝いに贈る花というのも確かにそうですが、お悔やみの花としても胡蝶蘭は相応しいことをお伝えいたします。

 ずいぶん昔、お得意様の寺から同じ宗派の住職が亡くなったので胡蝶蘭を届けてもらいたい、とご注文いただきました。

 この手の胡蝶蘭の注文は初めてで、ワタクシも驚き、「大丈夫かな~」などと恐るおそるお届けしたのですが……。お届け先は「胡蝶蘭の品評会でもやっているのかぃ?」と思うほど、たくさんの胡蝶蘭の鉢物でお寺が埋まっておりましたw。

 注文してくださったお寺の方いわく、「住職が亡くなったりすると、ものすごい数の花が届く。ありがたいのだけれど、切り花だと一日の大半がそのお世話で終わってしまう。胡蝶蘭の鉢物はお世話の心配がないし、鉢物はお供えしてはいけないわけではないので、今後、寺間のやりとりは鉢物が主流になるんじゃないかな」。

 まさに目から鱗な話。言われてみれば確かにそうで、固定観念で物事決めちゃいかんぜよ! な話でございます。

 それから10年ほど経ちましたが、地方や地域の違いはあるかもしれませんが、ワタクシの知る限りのお寺間でのやり取りは、胡蝶蘭の鉢物が主流に。一般のお客様も枕花をはじめとした葬儀・お悔やみ花に胡蝶蘭をチョイスなさるのは、当たり前になってまいりました。

 もちろん、故人のイメージを反映しやすい切り花のアレンジメントや花束も大アリですが、亡くなってすぐのお供えで四十九日まで花を欠かすことができなかったり、日持ち問題に話が及ぶと「胡蝶蘭もアリですよ」とオススメするようにしております。

 胡蝶蘭が比較的お求めやすい時代、「胡蝶蘭の鉢物はお祝い花」なる固定観念に凝り固まる必要はないのでございます。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


SNSの誹謗中傷、なぜするの? こじらせアンチ勢の心理8つ。冗談のつもりが攻撃に…
 SNSには匿名であることを利用して、批判や否定、誹謗中傷のコメントなどを繰り返す人がは一定数いるものです。そんな“アン...
ちょ…「パチンコ通ってそう」ってどういう意味!? 身近な女のイラつくLINE6選
 口調や仕草で可愛らしさをアピールする「痛い女」に、気遣いができない「自称サバサバ女」。女の敵はやっぱり女? あなたもこ...
にゃんたま総長、おやつをどうぞ! 猫族の頂点に君臨する風格はさすがです
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第102回「夏のバカンスだワン!」
【連載第102回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「妍(ケン)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
夫の「相手」と直接対決した結果…妻が抱いた不思議な感情。ベッドでありえない“未来”を夢想する夜
 亜理紗は夫・慶士の不自然な泊り大阪出張の真相を探るべく、浮気相手である女のインスタを見て、大磯のプールリゾートへやって...
“清純系”女の視線にゾッ…地獄を見せるはずだったのに。29歳の妻が企んだ稚拙な復讐
 亜理紗は夫・慶士の不自然な泊り出張の真相を探るべく、浮気相手である女のインスタを見て、大磯のプールリゾートへやってくる...
「なめられてたまるか」出産直前、夫は女と沖縄へ…密会場所に乗り込む“元ギャル妻”の計画
「明日の本社への出張さ、やっぱ早朝に出て新幹線で行くわ」  1カ月前から予定されていた夫・慶士の大阪出張。 ...
「ウチは犬派だ」で険悪に…義両親との会話がハードモードすぎ! 帰省時のテッパン会話5つ
 お盆の帰省で、頭を悩ませるのが義実家との付き合いです。義実家とは年に数回、長い休みの時しかにしか会わないという方も多い...
65歳の男が「完璧な人間=幸せ」じゃないと気づいた瞬間。やっぱり人間は好きなことでしか頑張れない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
スナックで見た! 実際にあった“ホステス同士”の陰湿なバトル「京都の女、嫌いなんだよねー」にヒヤッ…
 夜の世界を描いたドラマや漫画、きっとみなさんも一度は見たことありますよね。  その中に出てくる女同士のケンカって...
“毒親”に我慢しないで。酒で暴力、友人と肉体関係…絶縁を決意した5人のエピソード
 実の親子であっても分かり合えなかったり、親に苦しめられたりする人もいるもの。場合によっては、縁を切る選択がふさわしいケ...
賃貸の壁、将来の不安…独女が「ひとりで生きていく」ってどうすれば? これからの“住まい”を考える
「アラフィフ独女、51歳、フリーランス」この3点セットで生きていると、ふとした瞬間に「このまま、ひとりで歳を重ねていくの...
41.8度だってよ! 暑すぎて働けない…夏のやる気ゼロ→私がモチベUPできた対処法4つ
 夏本番。朝から照りつける日差し、ムワッとした湿気、汗が止まらない毎日…。そんな中で「今日も仕事か…無理かも」と思ってし...
ゴクリ…日本最大級“にゃんたま”様に出会ってしまった。撮影困難な生きる伝説にひれ伏す!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大切な“お盆”は何を供える? 花屋がオススメする4選。ホオズキにはご先祖様を導く願いが
 もうすぐお盆がやって参ります。  お盆の時期は地方によって7月か8月に分かれますが、お盆とは、仏教でいうところの...