スズ子覚醒!茨田りつ子(菊地凛子)と渋谷のり子の表情がオーバラップ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-11-10 14:30
投稿日:2023-11-10 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第6週「バドジズってなんや?」#30

 歌うコツを掴んだスズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)とのレッスンを続け、その歌声はぐんと熱を帯びてきていた。

 そんなスズ子を励ます松永(新納慎也)は、スズ子のおでこにキスをする。スズ子は、松永を意識し始めるのだった……。

 一方、秋山(伊原六花)もダンサーの中山(小栗基裕)のことが気になり始めていた。稽古に、そして恋に、もがいて迎える梅丸楽劇団旗揚げ公演「スウィング・タイム」初日。

 幕が上がる。

【本日のツボ】

「どうしようもなく下品ね」by茨田りつ子

 ※※以下、ネタバレあります※※

「おまじないのチョコレートだ。はい、アーン」

「アーン」

 今日もまた松永に餌付けされていました。「グッドラック!」からの、おでこにキス、の「チャオ!」。グッドラックは英語で、チャオはイタリア語。海外帰りで国際色豊かな松永を表現しているのでしょうが、なんだか胡散臭く、今でいうチャラ男っぽく見えてしまいます。

 が、スズ子には王子様に見えているようです。おでこを触ってポワンとするシーン、秋山が中山と女性ダンサーの情熱的なダンスに嫉妬するシーン。乙女たち、初恋モード突入です。

 そして、梅丸楽劇団(UGD)の旗揚げ公演初日。約5分間にも渡る圧巻のステージ。スズ子覚醒!

 その成長を誰もが感じたことでしょう。「スイングの女王」誕生の瞬間に立ち会ったような気分になりました。

 梅丸歌劇団の時もそうでしたが、舞台シーンをおざなりにしないのが「ブギウギ」の最大の魅力ではないでしょうか。渾身のステージにカタルシスを得られ、こちらも「ウキウキワクワク」してきます。

茨田りつ子のモデルは渋谷のり子

 そんな熱い舞台を客席から冷静に見つめる茨田りつ子。演じるは菊地凛子。すでに「別れのブルース」は大ヒット。スズ子の「スイングの女王」に対してこちらは「ブルースの女王」。

 モデルとなった淡谷のり子は晩年、「爆笑!スターものまね王座決定戦」(フジテレビ系)の審査員をつとめていました。

 そこで有名なのが、清水アキラとのやりとり。彼のネタにはとにかく低得点をつけ、「下品ね」と忌み嫌っていたものでした。その時の淡谷のり子のなんともいえない表情と、本日の茨田りつ子がオーバラップ。

 なぜか水着に浮き輪で「メキシカンロック」を歌う清水アキラが浮かんできました。

「ブルースの女王」vs「スイングの女王」、見ものです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


魂のラインダンスに涙、涙…入浴シーンの「四季の宴」趣里、歌うまい!
 山寺でのストライキは団員たちの要求が全面的に受け入れられ、幕を閉じる。  山を降り、ようやくいつも通りの練習を始...
桧山珠美 2023-10-25 16:30 エンタメ
梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ
大和礼子(蒼井優)さまの箴言…誰にも負けないスズ子の個性とは?
 昭和8年。デビューから6年が経ち、スズ子(趣里)は脇役ながら劇団の中心メンバーとして活躍し、新人の教育係にもなっていた...
桧山珠美 2023-10-16 14:30 エンタメ
タバコの逢引き場面にズキュン!“喫煙イケメン”柳俊太郎にやられます
 コンプライアンスなるもののせいで、昨今のドラマはなにかと不自然なことが多いようで。  犯人が車で逃げるシーンで「...
朝ドラ本編とは別にオリジナルの舞台演目フルver.も制作、手が込んでいる
 鈴子(澤井梨丘)は1週間で稽古に復帰し、同期3人で切磋琢磨して稽古を続けた。  単独公演まで1カ月となり、鈴子た...
桧山珠美 2023-10-14 13:30 エンタメ
宝塚からセクシー女優に転身、“芸能人の有名税”となぶっていいのか
 セクシー女優という職業は、昔と比べると女性にとっても身近に感じる職業となってきました。モデルやグラビア、アイドルなど、...
大和礼子(蒼井優)が手渡したトンボ柄の布は…主人公・鈴子そのもの
 公演で橘アオイ(翼和希)の衣装の羽を忘れたことをきっかけに鈴子(澤井梨丘)たち3人は仲違いをしてしまう。  そん...
桧山珠美 2023-10-11 16:15 エンタメ
物語が動き出した2週目、鈴子指導役は宝塚不合格の現役OSK男役スター
 鈴子(澤井梨丘)は梅丸少女歌劇団(USK)に研究生として入団する。鈴子たち新入生は、まず先輩の稽古を朝から見て覚えてい...
桧山珠美 2023-10-09 15:20 エンタメ
ジャニーズの看板消滅…北公次のバク転から始まったイケメンアイドルたち
 ジャニーズ事務所の名称が10月17日からSMILE-UP.(スマイルアップ)に変更されるそうですね。頭では理解している...
ご意見番GACKTがバカなフリしてジャニーズ問題連投の訳、「貝」も得意
GACKT様(歌手、実業家・50歳)  GACKT様はセルフブランディングに余念がなく、常に自身の好感度アップのた...
堺屋大地 2023-11-14 16:25 エンタメ
近藤真彦がジャニーズの長男坊と呼ばれた必然、逃げ上手と無責任のプロ
近藤真彦様(歌手・59歳)  近藤真彦さんことマッチ様と言えば、40年以上にわたりジャニーズ事務所のタレントとして...
堺屋大地 2023-11-14 16:26 エンタメ