おならが臭う、げっぷが出る!【医療専門家監修】腸活から知るセルフケア

コクハク編集部
更新日:2023-12-28 06:00
投稿日:2023-12-28 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. ここ最近、おならやげっぷが続いているんです

 きょうは、真理さん(28歳女性/仮名)の方からご質問をいただきました。

「最近、自分のおならやげっぷが気になっています。回数が多く、おならはニオイも気になるんです」

 真理さんは、伏し目がちに言いました。

「昔からそうだったの?」

「いいえ。ここ最近気になるようになったんです。もちろん人前では気をつけているんですが、家族に聞かれるのも嫌だし、ストレスがたまります」

 えりのボスは、深くうなずきます。

「そうよね。平気でおならやげっぷを出す人って、普通はデリカシーがない人と思ってしまうわよね」

「ええ、下品な人というイメージを持たれるのが怖くて」

 おならやげっぷで精神的にも参っている真理さん。これは放っておけません!

2. おならやげっぷが出るメカニズム

「一般的に『おなら』と言われているものは『腸内ガス』のことなの。

口からとり込んだ空気が大半で、その割合は70~90%。窒素、水素、二酸化炭素、メタンなどで構成されているの。そして、げっぷも同じように口から入った空気が大半だわ」

「へえー! 口からの空気がほとんどなんですね」

大半は無臭のガスなのよ。ただ、食事内容によっても成分の割合は異なることがあるわ。とくに炭水化物、タンパク質、脂肪などがおならの量や回数、ニオイに関係してくるの」

「食事がとても大事なんですね」

「そう。おならやげっぷが出るのは、腸の健康状態のサインなのよ。

 あまりにも多くのおならやげっぷが出る場合や、おなかの痛みなどを伴う場合は、病気が原因の場合もあるから、病院で診てもらったほうがいいわね。

 それに、『小腸内細菌異常増殖症』という疾患が原因の場合もあるわ。これは『SIBO(シーボ)』と呼ばれる場合もあるの。聞き慣れないかもしれないけど、さまざまな要因で小腸内の細菌が増殖して、栄養を分解してガスを生み出してしまう疾患なの。

 原因不明の下痢、便秘、腹痛やおなかがゴロゴロするなどの症状は、SIBOが原因の可能性があるのよ」

3. SIBOにおすすめの低FODMAP(フォドマップ)食事法

 SIBOにおすすめなのが、高FODMAP食を控える食事方法です。

「FODMAP」とは、発酵性の糖類、オリゴ糖、二糖類、単糖類、糖アルコールの頭文字をとったもので、小腸で消化吸収されずに大腸で発酵する糖質の総称です。

 低FODMAP食は、FODMAPを多く含む商品を控え、不調原因を特定することで腸内環境の改善をめざす食事療法です。

 食品アレルギーの食事制限とは異なり、長期的に続ける方法ではなく、2~4週間ほどの短期間の食事制限を行います。

 低FODMAP食品の一例をご紹介します。

<低FODMAP食品の一例>

・穀類:米、玄米、オート麦、米粉類
・野菜類:ナス、トマト、ニンジン、キュウリ、ジャガイモ
・乳製品:バター、カマンベールチーズ、チェダーチーズ
・果物:ミカン、バナナ、イチゴ、キウイ
・飲み物:緑茶、紅茶、コーヒー

 低FODMAP食の目的は、不調の原因の特定です。食事制限後、徐々に普通の食事に戻しながら、おなかの不調に関わっている原因を見つけ出します。

 食事制限の最中は、栄養の偏りや便秘に気をつけましょう。

4. SIBOの受診目安を知ろう

 SIBOの自覚症状は次の通りです。

・おならやげっぷが多い
・おならや便が臭う
・おなかや胃部の不快感
・便秘、または軟便
・牛乳を飲むとおなかをこわす
・排便に時間がかかる
・抑うつやストレスを抱えている

 このほかにも、胃腸炎を発症したあとにSIBOが発症しやすいといわれているので、もし最近胃腸炎になったことがあるなら、SIBOの可能性もありますので、以上の症状が複数当てはまる場合は、医療機関の受診を検討してみてください。

 SIBOの原因は、消化不良、感染性胃腸炎、神経障害、甲状腺機能低下症など多種多様に渡ります。

 まずは消化器内科を受診し、呼気検査、内視鏡検査、培養検査などを受けましょう。

5. 乱れた生活習慣を正すことも大事

「SIBOは、『間食が多くて空腹の時間が少ない』『寝る前に食べる・夜食が多い』『お菓子の食べすぎ』といった習慣がある人がなりやすいともいわれているわ。要は、生活習慣の乱れが腸内環境の乱れにもつながるのよ」

 えりのボスの指摘に、真理さんはハッとした顔になりました。

「それ、すべて私に当てはまります…。『まだ若いからいいや』と健康管理もしていなかったけど、知らず知らずのうちに不調の原因になっていたのかも」

「そんな生活をしていたら、たとえSIBOじゃなかったとしても、ほかの病気になってしまうわよ。健康管理に年齢なんて関係ないの」

「そうですね。本当に気をつけます。今日はありがとうございました!」

「またなにか悩みごとがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」

 すっかり明るい表情に変わった真理さんを、えりのボスは笑顔で見送りました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


“ながら”美容ローラーちょっと待って! やってはいけない8つの美容習慣
 年齢とともに、肌や身体の変化を感じながらも「いつまでも若々しくいたい!」と抗ってしまうのが女ゴコロ。自分なりの美容習慣...
「首&デコルテ」に年齢が出ます! 毎日習慣化させたい4つのセルフケア
 40代を超えると、シワやシミなどの肌ケアに力を入れる人は多いですよね。でも、意外と忘れがちなのが「首とデコルテ」のケア...
マッサージいらずの肩こり解消法!根本原因の改善におすすめの漢方薬3種
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
やすりで削ると逆効果?ゾウ級「ガサガサかかと」正しい角質の落とし方
 足にまつわる悩みで多いのが「ガサガサのかかと」ですよね。ひどくなると、ストッキングが伝線してしまったり、パキッと割れて...
「フェイスパウダー」の使い方をマスター! プレストとルースの違いは?
 フェイスパウダーの正しい使い方をご存知ですか? メイク用品のなかではなんとなくスタメン落ちしがちなフェイスパウダーです...
ぷりっと美尻を作る4つの簡単“ながら”体操!アラフォーは始め時です
 アラフォーになると、だんだん代謝が落ちてきて体型が崩れてきますよね。何とかしようと、ダイエットに挑戦する人は多くいます...
関節が鳴る!ポキポキの正体は気泡!? 注目の骨活を解説【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
振袖腕どうにかしたい!薄着になる前にはじめたい二の腕ケア
 アラフォーに突入し、運動不足が原因で体がたるんできたなんて人も多いのではないでしょうか? 特に薄着の季節に気になるのが...
美髪で“後ろ姿年齢”-5歳に…「夜のヘアケア」正しい順番でやってますか
 若い頃は、艶がありボリューミーな髪の毛の人でも、加齢とともに髪はパサつき、ボリュームがなくなってしまうものです。つまり...
忙しい朝の救世主!5分で「血色メイク」ができる神コスメ4選
 慌ただしい朝はゆっくりメイクする時間もなく、丁寧にメイクするのが難しいですよね。しかしテキトーなメイクでは、いかにも手...
驚愕! 雑誌の付録なのに「EMS電気ブラシ」が付いてきた
 最新号「&ROSY」には、なんとEMS電気ブラシが付録でついてきます! 超軽量で使いやすく、頭皮・顔・ボディなど毎日の...
40代女性必見! 老けて見えないアイライン5つのテクニック
「なんか、今までのメイクがしっくりこない!」と感じている人はいませんか。特に、年齢が出やすい目元のメイクは悩みのタネ。「...
「お、いい感じ」美容家が惚れ込んで実践する『40代からの美髪レシピ』
 アラフォーと呼ばれる年代を過ぎてから、髪の不調に悩む人が増えます。ツヤやうるおい不足、なんとなく頭皮がかゆい、フケが増...
プチプラで節約美容! 高価じゃなくてもキレイになれる♡
 値上がりラッシュが続く今、財布の紐を引き締めて節約したいところです。もちろんプチプラでも、良いものはたくさんあります!...
メノポーズケアって何?“更年期予備軍”35歳から始めたい【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
20代の小娘が失礼を承知で…「アラフォーアイメイク」3つの残念すぎる
 街を歩いていると、まだまだマスクをつけている人が多いですよね。マスクをつけていると、どうしても人の視線は目元に集中しが...