恋人の不満はわかるけど…
「沙耶香は、かなり不満だと思いますよ。そりゃそうですよね。
僕と付き合っているんだから、他の男性に抱かれるわけにもいかないでしょうし、欲求不満なのはよくわかります。
でもですね、だからといってすぐに昔みたいな関係に戻れるかっていうと、それはないわけですよ。
僕、もうこのトシですからね、最近はいろんなことを悟り始めているんですよ。
恋愛っていうか男女関係についても、無常が当たり前って考えると、こういう変化も普通なんじゃないかなって。
性に関することって一喜一憂したくなりますけど、ダメなもんはダメなんだから、もう仕方ないです。
愛想を尽かされても受け入れるしかない
沙耶香がこんな僕に愛想を尽かす日がくるかもしれませんけれど、それはそれで、黙って受け入れるしかないだろうな〜って覚悟はできています。
無理に変えようとしても、こういうのってうまくいかないですよ。
僕だって、昔みたいに沙耶香を普通に抱ける日が戻ってくればそのほうがいいですけど、今の感じだと、そういう日はこないだろうなって直感がありますね」
そっとしておいてほしいのに
沙耶香さんが、夜の生活に不満がありそうな話題を口にするたびに、ムッとしてしまうと話すユウジロウさん。
「沙耶香は沙耶香で不満なんだろうけど、僕は僕で悩んでいるんだから、この話題に関しては、そっとしておいてほしいですよね。
話し合ったからって解決する問題でもないし、無理に抱こうとするほど、きっとおかしくなりますよ。
まぁ、そっとしておいてもらったからって、良い方向に行くわけでもなさそうですけどね。
難しいよなぁ、恋愛って。最初は誰だってうまくいくけど、全てにおいていい状態で持続させるのって本当に難しいですね。
いや、難しいっていうか、そんなことそもそも期待しちゃいけないのかもしれないですね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。
ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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