制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-01-04 17:50
投稿日:2024-01-04 17:50

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第14週「戦争とうた」#65

 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽をやりたいと考える。

 スズ子(趣里)は慰問で富山に訪れる。泊まった旅館で、スズ子はある女中と知り合う。りつ子(菊地凛子)は、鹿児島の海軍基地を訪れる。そこで、特攻隊員のために歌ってほしいと要請を受ける。

 戦時下で、それぞれの活動をする3人。上海で、李香蘭(昆夏美)の歌声が響き渡る。

【本日のツボ】

「夜来香ラプソティ」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 NHK紅白歌合戦のあいみょん「愛の花」は良かったですね。さらに感動なのは浜辺美波の涙です。お隣りには夫の万太郎(神木隆之介)もいて、あいみょんの歌うバックに流れた「らんまん」の名シーン、心が温かくなりました。

 これを見られただけでも紅白にお付き合いした甲斐があるというものです。音楽のチカラを感じました。

 さて。年明けの「ブギウギ」です。上海の羽鳥は、黎錦光が作曲した「夜来香」をいたく気に入り、これにブギのリズムを取り入れ、シンフォニックジャズ風にアレンジすると話します。

「中国人である君が作った曲を、日本人の僕がアメリカのリズムにアレンジして、それを世界中の音楽家が演奏するんだよ」と。

「音楽が時勢や場所で縛られるなんてバカげてる。音楽は自由だ。誰にも奪えないということを、僕たちが証明してみせよう」と決意を語る羽鳥。

スポットライトを浴びる昆夏美のシーンはなし

 大成功だった音楽会のシーンはなく、「善一が音楽監督を務めた音楽会はみごと成功。なかでもブギのリズムを取り入れた『夜来香ラプソディ』は大好評でした」とまさかのナレコン(ナレーションコンサート)。

 音楽会のシーンがなかったのは残念です。予算の都合でしょうか!? そういえば上海の場面はいつもあの店ですね(笑)。

 打ち上げで、羽鳥に促され、もう一度「夜来香ラプソティ」を歌う李香蘭。演じるは昆夏美。「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ、「ミス・サイゴン」のキムなどを演じて来たミュージカル女優なので、もっと大きな舞台でスポットライトを浴びて歌わせてあげたかったなあ、と。それだけが心残りです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


田中麗奈、45歳。心も体も変化するなか、ずっと変わらない“芝居”への気持ち
 多くの人の心をつかんだ「なっちゃん」のCMの初代キャラクターに始まり、映画『がんばっていきまっしょい』『はつ恋』、近年...
望月ふみ 2025-08-24 11:45 エンタメ
『あんぱん』のぶ、山に登って「ボケー!」は“征服欲”の成せる業か? アンパンマンの原型がついに爆誕
 のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の別居生活が続く中、登美子(松嶋菜々子)から嵩の名前の由来を聞いたのぶは、ひとり山へ向...
桧山珠美 2025-08-28 15:04 エンタメ
ラウール、22歳の色気が破壊級!「愛の、がっこう」は“代表作”になると断言してもいい
 夏ドラマも中盤にさしかかりました。そのなかでも回を重ねるごとに盛り上がっているのが、木曜劇場「愛の、がっこう」(フジテ...
【芸能クイズ】松本人志が福山雅治と「HEY!HEY!HEY!」で作った“オリジナル料理”の名前は?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」羽多子らの“あの言葉”にあんぐり…のぶも感動してる場合か。落語家の年齢も気になる
 嵩(北村匠海)は「まんが教室」という番組に出演してほしいという健太郎(高橋文哉)の頼みをしぶしぶ承諾する。そして第1回...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
「あんぱん」のぶ、議員のコネ入社なのに“クビ”の謎。急成長したアキラ君と老けないオトナ達に酔いそう…
 嵩(北村匠海)が書いた詞にたくや(大森元貴)がメロディーをつけて生まれた「手のひらを太陽に」は、「みんなのうた」でも紹...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
スキャンダル続出の花田優一、美女にモテまくるのは何故? 不誠実男に学ぶ「悪名は無名に勝る」メリット
 元横綱・貴乃花光司と元フジテレビアナ・花田景子を両親に持つ“親の十四光り”の花田優一。  現在、元テレビ東京アナ...
堺屋大地 2025-08-17 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)と蘭子(河合優実)、“何か”が始まっちゃう? 嵩は作詞能力をいつ見抜かれたのか
 舞台公演は成功裏に幕を閉じる。数日後、なぜかぼんやりした様子の嵩(北村匠海)。そこに、また一緒に楽しい仕事をしようとた...
桧山珠美 2025-09-04 12:26 エンタメ
カズレーザー、山里亮太…芸人はなぜモテる? 業界人が分析する「メロい」現象が起こりやすい納得の理由
 カズレーザーさんと女優の二階堂ふみさんが結婚した。週刊誌にも撮られなかったどころか、噂すらなかったので世間はびっくり&...
帽子田 2025-08-15 11:45 エンタメ
島崎遥香31歳、40代を迎えても「幸せの更新」方法は変わらない。カテゴライズせず“ぱるる”として生きていく
 昨年、初めての著書『ぱるるのおひとりさま論』(大和書房)を出版するなど、このところ「ひとりが好き」「結婚願望はナシ」と...
望月ふみ 2025-08-14 11:45 エンタメ
ドラマ『しあわせな結婚』の奇妙な違和感。松たか子らの“ちぐはぐさ”は計算どおりなのか?
『光る君へ』『ふたりっ子』『大恋愛』などで知られるベテラン脚本家・大石静さんの完全オリジナル作品として、夏ドラマの中でも...
「あんぱん」六原永輔=永六輔の“言葉”に違和感が…。いせたくや(大森元貴)らの記憶力も凄すぎる
 のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)は互いに隠していたことを打ち明け、新たに前を向く。それから7年の歳月が流れ――、未だ漫...
桧山珠美 2025-08-13 18:06 エンタメ
【芸能クイズ】ヒントは有名コンビ!「佐藤嘉彦・粋子」が本名な芸人は誰でしょう?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
空前のオカルトブーム! 大人も楽しめる「夏のホラーアニメ」3選。平成の“トラウマ級”作品が令和にリメイク
 近年、小説や映画を中心に巻き起こっているホラーブーム。Web記事から単行本化された小説を原作とし大ヒット映画となった「...
ヒカキンは本当に“聖人”だったのか? 炎上騒動で見えたトップYouTuberの人間くささ
 日本を代表するYouTuber・HIKAKIN(以下、ヒカキン)が、パクリ動画を公開したことで炎上しました。  ...
堺屋大地 2025-08-14 10:37 エンタメ
「あんぱん」のぶの不器用設定はどこへ? ボツ原稿を持ち歩く嵩…まだまだあるクエスチョン
 独立した嵩(北村匠海)は独創漫画派という集団に所属し、そこで割り振られた仕事をこなしていた。だが、決して順調とは言えな...
桧山珠美 2025-08-11 17:03 エンタメ