死の間際までユーモア忘れず、父娘で歌った「父ちゃんブギ」

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-03-07 15:40
投稿日:2024-03-07 15:40

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第23週「マミーのマミーや」#110

 久しぶりに香川に戻ったスズ子(趣里)は、梅吉(柳葉敏郎)が写真館を切り盛りし、繁盛していた話を聞く。梅吉が大切にしていた写真が倉庫にあると言われ、スズ子が倉庫にあったアルバムを見ていくと…。

 一方、愛子(小野美音)は、はじめは梅吉に近寄らずにいたが、ひとりでこっそりと梅吉の部屋を訪れる。

 やがて、医者から今夜が山だと聞かされる。スズ子は寝ている梅吉に昔を思い出しながら話しかける。

【本日のツボ】

父ちゃんブギ

 ※※以下、ネタバレあります※※

 なるほど愛子がずっとブスったれていたのはこのシーンのためだったのか、と。

 梅吉に亀と写真を撮ってもらう際、「にーっ」と促され、これまでで一番の笑顔を見せた愛子。あのブスったれ愛子からこんな笑顔を引き出せる梅吉、写真の腕はたしかなようです。

 とはいえ、女性たちのモノクロ水着写真は謎でした。あのエピソード、必要だったのかなあ、と。

 弟・六郎(黒崎煌代)の亀が久々に登場。梅吉が大切に育てて可愛がっていたというのにじーんとしました。

 その亀を怖がらず、「かわいい」と近づき、なんのためらいもなくむんずとつかんだ愛子。その後もずっと持ったままで、よっぽど気に入ったのかもしれません。スズ子の娘に可愛がってもらえれば、六郎も本望でしょう。

血の繋がり云々より心が大事

 そして、クライマックスの梅吉オリジナル「父ちゃんブギ」。母・ツヤ(水川あさみ)が亡くなるシーンでスズ子が歌ったのは「恋はやさし野辺の花よ」。子ども時代のスズ子の十八番でした。

 打って変わって、父・梅吉は「父ちゃんブギ」。死の間際まで、ユーモアを忘れない梅吉のDNAはしっかりスズ子に受け継がれています。

 血の繋がり云々ではなく、心が大事。最後、梅吉に抱きついて「お父ちゃん、いやや」と泣くスズ子、これまでの心のわだかまりがすべてなくなった瞬間でした。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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