男と女の物語、だからこそ「娚」の当て字が使われた

コクハク編集部
更新日:2024-03-24 06:00
投稿日:2024-03-24 06:00
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地名などをピックアップ。
 毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように…。

【今回の女ことば】娚

 以前取り上げた嫐と嬲の読み方や由来を覚えているでしょうか?

 女と男だけで構成された難読漢字シリーズ。今回は「女+男」で「娚」です。さて何と読むのでしょう。

【読み】
ナン、ノウ、めおと

【意味】
1. ひそひそ話す。ぺちゃくちゃしゃべる。
2. たわむれる。
3. 日本で「娚杉(めおとすぎ)」は石川県金沢市にある地名。

(新修 漢和広辞典 第1版第10刷発行/当て字・当て読み 漢字表現辞典 第1版)

「娚=おとこ」は当て字

 西炯子さん原作の漫画「娚(おとこ)の一生」(小学館)のファンの方は、「おとこ」だと思われたかもしれません。

 実は「娚=おとこ」は当て字。先の漫画の原作者である西炯子氏は、「おとこのいっしょう」という音だけが先に決まっていたものの、「男」の漢字を使うのは抵抗があり、男性のみが主人公の物語に見えてしまうことを懸念したと明かしています。

 以下、2015年の映画化の際に発表された原作者のコメントを引用させていただきます。

《初恋を忘れられないまま長く生き、一生を終えようとしていたところに再び恋をして、やっとひとりの女性に行きつく話ですが、それと同時に、忙しく働き、男のように生きてきた女性の話でもあります。そこが、男として生きていかざるを得ない女性の話であり、男と女の話、という意味で“娚の一生”としました》

 読み方は「おとこ」だけど、漢字の「娚」を使うことによって、女性の方にもスポットをあてている。この漢字ならではだと思いませんか。

「娚の一生」の男女がどうなったのか? 気になる結末は、ぜひ作品をご覧ください。

(日刊現代校閲/タダ美)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


アラフォー女性のリアルがここに! 元旦に誓った今年の目標
「一年の計は元旦にあり」とも言われるように、年のはじめに計画を立てることはとてもいいことです。でも、一年の目標に何を掲げ...
話し合い好きは平和主義?むしろ支配欲強め!一歩間違えるとモラハラに…
 話し合いで解決を図る人、みなさんはどんな印象がありますか? たぶん平和的とか、論理的なイメージが強いのではないでしょう...
美STの開運マスク付録ってなに?ドモホルンリンクルは一式試せて嬉しい
 今回ご紹介する雑誌付録は、「美ST」2024年3月 増刊号(松嶋菜々子表紙)の「開運&美肌見え! PITTA MASK...
なんて素敵な夫! ド近眼の妻にICLを提案した「永久保存版トーク」
 昨年の夏頃から計画して、お正月明けに眼内にレンズを挿入して視力を矯正するICLの手術を受けました。  小学生の頃から...
「正」の字に振り回されて…
 はいっ、新しい年が始まりました。みなさん、お正月は楽しく過ごせましたでしょうか。  お正月の「正」の字には、「あ...
YOUはどうしてバンザーイ?  全開“たまたま”にあれこれ妄想
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
季節の中へ向かう道で 黄色のまぶしさに目がくらんだ
 鮮やかな黄色がまぶしくて思わず目を細める。季節の色ってなんでこんなに力強いんだろう。  葉も実も花も落ちて枝だけ...
冬の園芸は難しい?花屋が教える「ご注意あそばせ」な4項目
 お花屋さんは1年中忙しいイメージがあるかもしれませんが、寒さこたえる1、2月は比較的まったりムード。慌ただしかった年末...
「財布落とした」→先週もだよね? サボり言い訳LINEはリスト化必須
 普段、一生懸命仕事をしていても、人間なら時には「サボりたいな」と感じる日もあるはず。  でも困るのが、サボるため...
生まれた性別で誰かが誰かに恋をした きっとそれだけのこと
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
スマホ中毒な娘にお手上げ!不要で必要な事情、鍵付き棚に入れたのに…!!
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
鍵シッポでつかんだ幸せを“たまたま”にたっぷり貯めこんで♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
誰かを待つのも悪くない 夜の片隅とそれぞれの大切な時間
 誰かを待つ時間、実はそんなに嫌いじゃない。街の片隅に留まるには周囲が納得する理由が必要だったりするから。  最近...
ダブル女偏の「嫉妬」の語源は何?美容院でジェラシった話。
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
先輩から「デートのチークはピンク系」デキる女アピの熱血LINE指導w
 他人からの評価を気にして、仕事や意識の高さ、モテ力など、「デキる女アピール」をしてくる女性は多いですよね。  で...
マナーを守って一緒に楽しもう!子連れライブ参戦キホンのキ
 40代女性は子育て世代。今までみたいに気軽にアーティストのライブには行けません。諦めるか、子連れで行くかの選択肢を迫ら...