春の行楽、御朱印集めはスタンプラリーと何が違う? 作法やタブーとは

コクハク編集部
更新日:2024-04-11 06:00
投稿日:2024-04-11 06:00
 山形県東部にある山寺(山形市)で自らの行いについて考える出来事がありました。我よ、御朱印集めがスタンプラリーと化していないかい?

「御朱印の本来の意味をご存じですか」

 山寺の正式名称は「宝珠山 立石寺」。860年に創建された寺院で東北有数の霊山として、はたまた山形の観光地としても支持されています。

 松尾芭蕉が奥の細道の旅の途中で参拝し、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだ場所でもあります。

 山門から続く1000段超の石段を登った先には国指定の重要文化財でもある本堂や支院などが点在し、お志を納めると、それぞれ御朱印がいただけますが、御朱印とはなんぞや、と改めて考える出来事がありました。

「御朱印の本来の意味をご存じですか」

 そう尋ねられたのがきっかけです。「寺社を参拝した証として受け取るお印かと…」と口ごもるのが精一杯だったわたし。

 諸説あるものの、伺えば、参詣・参拝者がお経を書き写して寺社で納める際に受け取った“受領のしるし”が始まりだとか。

 御朱印ではなく、別名・納経印ともいわれるのもそのゆえんです。

御朱印集めに翻弄されっぱなし…

 2000年代に起こったといわれる御朱印ブームや御朱印ガールもすっかり定着した感ですが、御朱印の何たるかを熟知していたわけではなく、恥ずかしい…。

 もちろん、全国各地の寺社仏閣を参拝した証しとして御朱印を集めるのは、決して悪いことではありません(ネットで転売される御朱印を購入するのは、また別の話)。

“ひとつ”として同じものはない御朱印には魅力があるし、参拝のきっかけになるのもまた事実。

 ただ、御朱印の本来の意義、そして、現在は簡略された作法なのだと身をもって知れたのは、デカかった!

 山寺の石段は一段登るごとに煩悩が消えていくともいわれています。その石段を登り切った先で、御朱印集めに翻弄される、煩悩まみれの自分の浅はかさに気づくとは…(恥)。

御朱印のタブー、マナーって何?

 改めて御朱印について調べてみると、ネット上にはあらゆる情報が出回っています。

 御朱印をもらうときにやってはいけないこととは?
 御朱印目当てで寺社仏閣をまわるのはだめ?
 神社と寺社は御朱印帳を分けたほうがいい?
 御朱印は片面、両面、どちら使いが正しい?
 同じ寺社で御朱印を何度ももらうことはできる?
 御朱印帳の正しい保管方法は?

 御朱印のタブーやご法度事項も溢れかえっています。

御朱印は何のために?

 どの情報を信じればいいのか。寺社仏閣の公式HPを参考にしたり、はたまた、宗教関連の専門書などから学ぶのもありですよね。

 そして付け焼刃ではありますが「納経のしるし」という本来の意味と、参詣・参拝を軽視するような振る舞いや行いに敏感になれば、御朱印のタブーをおかすのは避けられるのではないでしょうか。

 御朱印をいただくのは参拝の後にしよう。御朱印は記して欲しいページを開いて渡すほうが、先方の手間がひとつ省けるかな。おつりが大量発生する高額紙幣でのお納めはやめたほうがいいよね。

 そういった相手方の立場や気持ちをおもんぱかる時間こそが大事――。

 春の行楽シーズンを迎えました。節度をもって、御朱印集めができますように。

(編集O)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


茜色に心和むひと時、だからこの時間が好きなんだ
 忙しない街にも訪れる特別な時間。  足早に歩く人々は顔を上げ、しばし空を仰ぎ見てから、また現実へと戻っていく。 ...
女+家=嫁…「嫁ぐ」と「結婚」の違いはある?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第68回「コウメばあちゃんはどこ?」
【連載第68回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
貸したお金を催促するのにこんな手が…! モヤモヤを解消するLINE3選
 人にお金を貸した後、なかなか返してくれなかったら、とても嫌な気持ちになりますよね。  とはいえ、お金の話は、言い...
電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと
『電マの営業・新井です!』(略して「電マの新井」)という新作が大変好評だ。  書店員にとっての新作といえば「新しく...
口喧嘩で負けたくない! 勝ちたい時に使えるマル秘戦術3選
 みなさんは誰かと口論になった時、どんな戦法で勝ちにいきますか?  方法は十人十色ですが、今回は代表的な勝ちパターン...
凍り付いた湖の夜が更けて
 もしも突然、この瞬間に、氷が解けたらどうなるんだろう。  そう思いながら、凍て付いた湖の上に立つ自分が結構好き。...
「レンジでゆたぽん」人気じわり..足を温めると眠りやすい!
「レンジでゆたぽん」を知ったのは、年末年始に長野県の義実家に行った時。寒がりな私を気遣って、義母が用意してくれたのです。...
青空にオレンジボディが映え“たまたま”の見返りメンチにキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル
仕事のサボりがバレた瞬間4選 リモートワークは意外と見られている!
 近年では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度が導入されて、数年前よりも働きやすくなりました。  一方で、自由...
真似から始まったファッションも、いつか体に馴染むもの
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...