竹もとで勉強する寅子たちは今時のノマド?法律事務所の初仕事はお茶入れ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-07 14:20
投稿日:2024-05-07 14:20

NHK朝ドラ「虎に翼」~第6週「女の一念、岩をも通す?」#27

 昭和13年春、明律大学を卒業した寅子(伊藤沙莉)たち。寅子は雲野(塚地武雅)の法律事務所で働きながら高等試験合格を再び目指すことに。

 一方、竹もとで働きながら勉強を続けていた香淑(ハ・ヨンス)のもとに、特高がやってくる。兄・潤哲(ユン・ソンモ)が思想犯の疑いをかけられたことで、香淑自身もずいぶん前から目を付けられていたのだった。寅子たちは香淑が抱えていた事情を知り、衝撃を受ける。

【本日のツボ】

辞書を手に「Uncle Tom's Cabin」を読む玉(羽瀬川なぎ)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 卒業後は雲野法律事務所で働くことになった寅子。やる気満々の寅子ですが、最初の仕事は「とりあえず、お茶入れて」。そう雲野に言われた時の寅子の微妙な表情。

 そういえば、前期のドラマ「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(フジテレビ系)でも、原田泰造演じる古い価値観をもった主人公が、「女の子が入れたお茶のほうがおいしい」などと無邪気な発言をして、社内をドン引きさせていましたっけ。

 それはともかく、卒業で離ればなれになるかと思ったら、同じ志を持つ仲間たちが、甘味処「竹もと」で勉強会を開いていて安心しました。よく見ると轟(戸塚純貴)の姿もあります。

 その中で目を引いたのが、涼子(桜井ユキ)のお付きの玉が辞書を片手になにやら神妙な顔つきで洋書を読んでいる姿です。

 表紙に「Uncle Tom's Cabin」と書かれたその本は、黒人奴隷トムの数奇な運命を描いた物語で、邦題「アンクル・トムの小屋」として知られています。玉がなぜこの本を手にしたのか、気になります。

 辞書を引きながらとはいえ、原書を読めるまでに上達した玉の語学力は努力の賜物でしょう。学ぶ意欲があれば、誰でも高みにいけることを玉が身をもって教えてくれました。

今時のノマド?

 それにしても、「竹もと」のおじさん&おばさん、人が良すぎるのではないでしょうか。香淑を住み込みで雇うだけでなく、勉強会の場所まで提供してあげるとは。

 しかも、あんなに目立つ席を占拠されても文句のひとつも言わないどころか、お茶のサービスまで。あんなところで勉強されれば、ほかのお客さんは落ち着いてあんみつやお団子を食べられないのではないかと。さしづめ、今ならスタバで勉強している高校生グループのようなものですね。

 彼らを見つけると「勉強は図書館でしろよ」などと心の中で毒づいているのは私だけではないはず。

 花岡と寅子の距離感も気になります。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


広末涼子“稚拙かわいい”謝罪文に夫の文字ナシ、W不倫に溺れた覚悟は?
 ミシュラン1つ星のフレンチレストラン「sio」のオーナーシェフ・鳥羽周作氏(45)とのW不倫を認めた女優・広末涼子(4...
「劇場版シティーハンター」プレス発表で小室哲哉が語った“自虐”コメント
 1980年代・90年代に北条司の漫画をもとに放送されたアニメシリーズ「シティーハンター」。  主人公の冴羽リョウ...
“桐島部活”への敬意、徳永助教授(田中哲司)実はいい人パターンだった
 石版印刷の技術を習得した万太郎。ようやく納得のいく刷り上がりになり、いよいよ、植物学の学会誌を大畑印刷所に注文する。 ...
桧山珠美 2023-06-13 14:00 エンタメ
「日曜の夜ぐらいは…」川村壱馬にキュン 青田買いしたい役名無し俳優は
 川村壱馬(かわむら・かずま)にキュンキュンしています。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカ...
広末涼子不倫疑惑報道で思わぬ反響が…ナマ美脚は年齢か努力の賜物か
 8日発売の「週刊文春」に不倫疑惑を報じられた女優・広末涼子(42)。10代で女優やモデルとして絶大な人気を誇ったが、な...
万太郎と竹雄、互いを呼び合う2人は「ロンバケ」名シーンを超えた!?
 昼間は大学で研究し、夕方からは印刷所で見習いを始めた万太郎(神木隆之介)に「ちゃんと寝て、食べて、笑顔でいること」と約...
桧山珠美 2023-06-07 14:18 エンタメ
万太郎(神木隆之介)が暴走! 東大と印刷所の“二刀流見習い”なるか
 白梅堂のありったけの和菓子を抱え、万太郎(神木隆之介)が向かった先は、いかつい職人さんたちが働く大畑印刷所。てっきり創...
桧山珠美 2023-06-05 14:25 エンタメ
祝・大河主演!横浜流星の魅力は「イケメンなのに演技が巧い」に尽きる
 2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」の主役に横浜流星(26)が選...
「いちゃこら」に透けた嫉妬!万太郎が寿恵子ママにプロポーズ宣言
 高藤(伊礼彼方)にお姫さま抱っこされた寿恵子(浜辺美波)の姿が頭から離れず、植物研究にも身が入らない万太郎(神木隆之介...
桧山珠美 2023-06-02 11:54 エンタメ
相席・山添、春日…芸能人は謝っちゃダメ? ネット炎上のお詫びトレンド
 お笑いコンビ「相席スタート」の山添寛(37)が5月30日、ニッポン放送のラジオ番組「ナイツ ザ・ラジオショー」に出演。...
タキの弱りっぷり、万太郎からのノーテンキな手紙の中身は…
 久々に「峰屋」が登場。酒に対しての課税がきつくなり、役人からも厳しい目を向けられる峰屋。タキ(松坂慶子)も体の具合が悪...
桧山珠美 2023-05-30 11:10 エンタメ
猿之助47歳独身報道で考える…「最後の大物独身」ってどんな存在?
 事実は小説より奇なり、などといいますが、市川猿之助(47)の事件にはほんとうに驚かされました。ここは「ラストマン-全盲...
平野紫耀号泣!キンプリ3人脱退劇…5人揃い活動する未来はなかったのか
「まだサヨナラ言うには 全然早すぎるのに」  King & Prince(以下、キンプリ)が5年歌い紡いできたデビ...
こじらぶ 2023-05-27 06:00 エンタメ
ジュリー社長“知らなかった”の代償…芸能界のハラスメント問題どう変わる
 人々に夢や感動を与える芸能界において、ハラスメント問題が相次いで発覚している。ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川...
かみきりゅうのすけ画伯こと神木隆之介の絵ゴコロにきゅん!
 植物採集から帰ってきた万太郎(神木隆之介)。藤丸(前原瑞樹)に、可愛がっているウサギにシロツメクサのお土産を渡す。(#...
桧山珠美 2023-05-25 11:15 エンタメ
万太郎(神木隆之介)初めての挫折…でも、ステーキはもりもり食べる
 植物学教室では、みんなと仲良くなりたいと話に加わろうとする万太郎(神木隆之介)だが、ことごとくよそ者扱いされる。植物学...
桧山珠美 2023-05-23 11:00 エンタメ