芸人役者、オファーが続くのはひと握り
7月に入り、2024年夏の新ドラマが次々にスタートしています。なかでも話題になっているのが、宮藤官九郎脚本の『新宿野戦病院』(フジテレビ系)ではないでしょうか。この作品で好演を見せているのが、ドランクドラゴンの塚地武雅さん。
しかしこの塚地さん、気がつけばドラマで毎クールのように見ていると思いませんか? 今年の上半期だけでも、『季節のない街』(テレビ東京系/ディズニー+で配信)、『花咲舞が黙っていない』(日本テレビ系)、NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』などの作品でその姿を見ています。
また、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)には藤井隆さんが出演していますね。
昨今、役者としても活動をする芸人が増えてきました。しかし、結局ドラマで頻繁に見るのは同じ芸人ばかりです。
塚地さんの他によく見るのは、先述の藤井隆さん。そしてハナコの岡部大さん、元キングオブコメディの今野浩喜さん、東京03の角田晃広さん、ネプチューンの原田泰造さんなどでしょうか。
芸人側の意向もあるでしょうが、その後もオファーが続く人と続かない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。複数のドラマ関係者にその理由を聞いてみました。
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キャラ立ちしながらも邪魔しない存在感
「キャラがありながら、インパクトがありすぎないことですかね」と語るのは、テレビドラマ等の制作会社に勤めるAさんです。プロデューサーや演出家らが中心になって行うキャスティングの現場にも立ち会うことがあるといいます。
「芸人さんは本人の個性が視聴者に浸透しているため、ドラマ中で特別な描写をせずとも立ち位置が伝わりやすいんです。さらにドラマの世界観にハマるような個性が望ましい。つまり、キャラ立ちしながらも日常に潜んでいそうな印象の方が重宝されます」
確かに、ハナコの岡部さんは学校や会社の後輩にいそうな熱血キャラであり、藤井隆さんはなんでも相談できる優しい同僚、東京03の角田さんは、朝の電車に一人は乗っていそうなサラリーマンのような雰囲気があります。
「どこかにいそうであっても、金髪だとか見た目に癖のある芸人さんだと演じる役割も限られてしまう。その場合は『これぞ!』という役でないと起用が難しいですね」ドラマの空気になじむかが鍵
また、地上波の連続ドラマを執筆する脚本家のBさんは、過去の経験からこう言います。
「一般的にコントを主戦場とする芸人さんは演技がうまいと言われていますが、全員がそうではありません。コントは、ある程度の演技の誇張がある方が伝わりやすく、特徴ある喋り方や棒演技でも笑いの内容が伝われば良しとされますからね」
以前、自身の作品に芸人が起用され期待したところ、演技力が低くガッカリしたことがあるそう。大御所でない限り、脚本家に強いキャスティング権はないそうですが、Bさんは今後自分のドラマで芸人が候補に挙がった場合、本職での立ち回りを見た上で助言したいそうです。
オファーが続く芸人はそもそものコントの演技が自然か、あるいは「リアルなドラマ演技」と「デフォルメされたコント演技」との切り替えが巧みな人ということなのでしょう。
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